73-なにこれ、策士
「これだからおばさんて・・・嫌いなのよ!」
その場で崩れ落ちたのはリュカだった。
どゆこと?
ミフリスの胸にはまだ短剣が刺さったままだ。
「ぐっ・・・!」
ゆっくりと自分で短剣を抜く。
「私の核・・・壊れちゃったじゃない!」
リュカが怒りの目でミフリスを見るが、ミフリスは辛そうな顔をしている。
っていうか本来死んでもおかしくないんだけどね。
「もう怒ったよ!粉々の塵になっちゃえばいいのよ!!」
そう言って大きな魔方陣を展開する。
発動にこれだけ時間掛けてるのに、ミフリスはそれを止める動作すらできないでいた。
「ミフリス!ムリしちゃダメだぞ!」
「大丈夫です・・・私は絶対に負けません・・・!」
「あの子・・・すごいね」
今まで黙ってたセリーヌが口を開いた。
結構セリーヌもさっきのダメージが辛いのか、変に汗をかいている。
なんか、満身創痍な奴らばっかりだ・・・。
俺だけ超元気なんだけど。
「メテオゼロ!!!」
核が壊れたって言ってたから、最後の魔力を振り絞って使う大技なんだと思う。
ものすごい大きな火の玉が頭上から降り注いでる。
ここからでも熱いし。
「くっ・・・」
ミフリスはその火の玉を辛そうな顔で見ているしかできない。
やばいよこれは!
「ミフリス!」
俺が魔法を使おうとして、
「ダメですロロ様!!」
今までで一番大きな声で怒られた。
なにがダメなんだし。
死んじゃうじゃんミフリスが!
「私は・・・必ず勝ちます・・・!」
でも何かをする気配はない。
「もう死んじゃえ!」
リュカが満面の笑みでミフリスを見下す。
「ぐぅ・・・!」
火の玉はそのままミフリスにぶつかった。
ウソだろ・・・。
あれじゃあさすがに生きてるなんてムリだよ。
「あっ、あ、あ?ああああ!!!」
リュカの声が響く。
え?なんで?
「私の・・・体が・・・焼ける!?」
ちりちりとリュカの肌が焼けていく。
「ハッ!?そ、そうなのね・・・?あんたが使った魔法・・・」
ほぼ同時だった。
「バブルウォーター!」
「アンチマジック!」
水の泡によって火は一瞬で消え去り、出てきた水の泡も一瞬で消えた。
「私の・・・かわいい顔が少し焼けちゃったじゃない・・・!」
「・・・・・・ダークファンシー」
ミフリスがボソッと呟く。
「あああぁあああああ!!!!」
「ううぅうううううう!!!!」
同時にミフリスとリュカの声が木霊する。
なにが起きてるのか全然わかんないし。
そこに立っていたのは・・・ミフリスだった。
「私は・・・負けません!」
リュカは気絶し、その場で倒れている。
「なにが起きたの?」
素直にミフリスに聞いた。
「ダークファンシーという魔法が鍵だったのです」
「うん?」
一番最初に自分に掛けてた魔法だよね。ものすごい魔方陣が出てたけど。
「あの魔法は、外傷のみを相手に返す魔法なのです」
「リュカの攻撃でリュカの頬が赤く腫れたアレ?」
「そうです。骨折や、出血など、外傷のみを返すのです。自分では気付かぬままにダメージを負うことになります。しかし、この魔法は痛覚自体は相手に返されません」
「ミフリスは散々痛い思いをしたってこと?」
「・・・はい。これは精神との勝負でした」
「俺なら絶対にすぐギブアップするわ。そういえばリュカの核が壊れたのって外傷を返せるからなのかぁ」
「そうです。そして、リュカの魔法アンチマジックは、術者が認識する魔法を全て消滅させる魔法です。なので、気付かれないように動く必要がありました」
「ふむふむ、敵の攻撃避けたりしてたのはそのためね」
「はい。最後に、ダークファンシーのもうひとつの効果は、自分の受けた|ダメージ(痛み)をそのまま相手に返すこともできるというものです」
「だから、最後その痛みでリュカが気絶したってこと?」
「ただし、そのまんまのダメージが術者にも施されます」
「え!?ミフリスはリュカの二倍のダメージを受けて、まだ立ってられるだけ余裕があるわけ?」
「・・・余裕はありません。これほどの痛みを伴ったのは初めてです・・・」
「復讐・・・?」
「いえ、復讐もそうですが・・・ロロ様のために・・・魔王を撃ち滅ぼすために・・・」
きっと、仲間のためにって言いたかったんだろうね。
そのままミフリスはその場に倒れてしまった。無傷の体で・・・。
「ロロ君!!」
うわっ、どっかで聞いたことのある声が急にしてきた。
幻聴だよね!?
気にしなくていいよね!?
っていうか幻聴であってください!
「やっと見つけた!!!」
あの勇者が走って俺の元へ来る。
カンベンしてよ・・・もう。
今回はいつもより文字数が多くなってしまいました^^;
説明しながらの戦いにしたいのですが、今回は敵にバレてしまうと全く意味をなさなくなってしまうような戦法だったので・・・
まぁ、いつも通り無理やりな戦いってやつですねw




