７２－なにこれ、死んじゃダメ！
女同士の醜い拳と拳の戦いが始まってるよ！
醜いとか口に出したら俺が醜い姿になる可能性があるから絶対に言えないけどね。
「てあっ！」
リュカの下段蹴りをその場で飛び上がってかわすミフリス。
その流れのままに上段回し蹴りを放ち、リュカを吹っ飛ばす。
「なんか私の方が不利な気がしてむかつく」
リュカが頬を膨らませた。
確かに、リュカが与えたダメージはなぜだかリュカに帰ってくる。
一方のミフリスが与える物理ダメージはそのままリュカにいく。
なんかこんがらがってよくわかんないけど、ミフリスがなんらかの魔法で優位に立ってるってことだよね。
「ロットウォーターアロー！」
複数の細かい水の矢が出現し、リュカを襲う。
俺がよく使う水の矢と似ている。
ミフリスにパクられたー。
「アンチマジック！」
瞬間、全ての水の矢が崩れて消滅した。
「やはり、ダメですか・・・」
「うん、ダメだよ」
「では・・・」
ミフリスがなにかを言うと、ものすごい速さでリュカとの距離を縮める。
たぶん身体能力を上げる魔法を使ったんだと思う。
またパクられたー。
「アンチマジック！」
一瞬で速度が落ち、近付ききる前にミフリスはブレーキをかけた。
そこを見逃さず、リュカの方から距離を詰めてミフリスにボディーブローを食らわせた。
「うっ・・・なるほど・・・」
「あれ、特に私にはダメージないし。もしかして見破れたってこと？」
「どうでしょうかね・・・」
この時点で俺なら戦い方のレパートリー少ないからギブアップするね。
でもミフリスは迷わず懐から短剣を取り出し、渾身の力でリュカにむかって投げた。
「ミラージュアイテム！」
短剣が複数に分裂する。
「アンチマジック！」
だが、分裂している途中で偽者の短剣は消滅し、結局投げた一本のみがリュカにむかっていた。
それをリュカは片手でキャッチする。
投げられた剣をキャッチするとか異常でしょ。
っていうか魔法がどれも効かないことに加えて、相手の体術が半端ないとか弱点なくね？
「武器くれてありがとー」
「いいえ、どういたしまして」
あくまでミフリスは冷静だ。
でも武器持ったリュカとか絶対危険だと思うんだけど・・・。
「ていっ！」
今度はその短剣をミフリスにむかって投げた。
「うそっ！？」
思わず俺も声が出た。
だって、ミフリスがなにもせずに胸の位置で短剣を受けたから・・・。
もう諦めちゃったの？
っていうか死んじゃうのミフリス？
なんか・・・ソレは見たくないなぁ・・・。
変な髪の色だけど、色々と説明してくれていい人だったし。
俺の目の前で仲間が死ぬなんて・・・許せない！
ちょっと、ハードな戦いすぎてギャグを盛り込むことができませんでした・・・。
次回はさらにシリアスーな笑いなしーな展開になってしまいそうです。
