7−なにこれ、もうちょっと
どうやら、初めてセリーヌに会った場所はギルドと呼ばれている場所らしい。
「つまり、野良猫集会所みたいなものか?」
「いや、知らないけど・・・」
なにコイツ、まさか野良猫集会を知らないヤツがいるなんて・・・。
ようは、依頼をこなせば報酬がもらえるシステムだって。
「あ、これにしよ」
セリーヌは掲示板に張り出されている紙の中から一枚取って俺に見せた。
「いや、見せられても文字わからんし」
「ですよねー」
あれあれ、馬鹿にされてる?
「名付き化け猫のプリシア討伐」
「なんでまた兄弟・・・」
絶対にわざとだと思う。
「名付きってなに?」
「モンスターの中には、同じ種族でも特筆して強いものが混ざっていることがあるの」
俺みたいなヤツね。
「一度の討伐で倒せなかった筆頭株には名前が付けられて、報酬がガクッとアップするのよ」
報酬とか俺には関係ないけどね。
俺はこのギルド内居酒屋で一番安い焼き魚定食が食べられれば満足だし。
「んじゃ、行きますか」
「遠い?」
「・・・・・・ソンナコトナイヨ」
人間の何倍歩くか知ってる?遠いの嫌なんですけど。
しかも舗装されてない山道でしょ。枝とか石とか落ちてて歩きにくいし、雨とか降ったらぬかるむし、全く良いことがない。
「疲れたら美人でナイスバディーな私が抱っこしてあげるわよ」
「それはいいや」
なんかムカツクからノリで断った。
「んじゃ、てきとーに道具揃えたら出発ね」
こうして化け猫退治に出発したのだが・・・。
「疲れた」
「もうちょっとだから」
「そのもうちょっとって14回目なんだけど」
「もうちょっとだってば」
なにこれ、人間の言葉ってすっごい難しんですけど。
結局、化け猫のいる西の森アドルーンへは一週間かかった。
ちなみにセリーヌの「もうちょっと」は三日目から言い出して、途中から多すぎて数えられなくなった。
信じられん。
「ほらほら、森に着いたし、そろそろ出てくるかもよ?」
おちゃらけて喋っている割に、どこか緊張感が俺にまで伝わってくる。
どうせ俺なんてどんなモンスターにも無視されるんで、緊張とか関係ないから。
だってこの一週間、何回かモンスターに出くわしたけど、一度も攻撃されなかったもん。目すら合わせてくれなかったもん。あいつら俺がただの愛玩動物だと思いすぎだし。すっげぇ腹立ったからめっちゃ燃やしたし。
「ねぇ、なに拗ねてんのよ」
「べつに」
瞬間、眼前の茂みからなにかが飛び出してきた。
あ、猫じゃん。
野良猫集会とかその辺のネタを外伝っぽく書いてみたくなりました。
きっとこの小説と同じようにグダグダになるんでしょうね。




