61-もう!ロロのバカ! その3
ミラ視点ですよ!
えー、なにこの川!
すっごい荒れてるし橋ないじゃん!
「これがマルチトール川?」
「そうさ」
「どうやって渡るのよ・・・」
「・・・・・・船さ」
「ムリでしょ」
この荒れた川を船で渡るとか、酔うとかそういう問題じゃないよ。
しかも結構幅もあるし。
雨降ったわけじゃないのになんでこんな急流なわけ?
「まぁ、マルチトール川は渡るものじゃないんだよ」
「どゆことよ?」
「ここから東に歩くとサンベンプール行きの船が出てるのさ」
「サンベンプール・・・?」
なんかどっかで聞いたことある地名。
「って、元々ロロと来た道じゃないっ!湖まで歩くってこと!?」
「湖じゃないと渡れないんだからしょうがないんだ」
「じゃあなんでソルビトールから北に歩いてきたのよ!」
「来た道を戻るより楽しいと思ってね」
おもしろくない!
ほんっとにゴミ勇者ね。
「ロロに乗れずにずっと飛んで来たから疲れてるのに・・・」
もう!
ロロのバカ!
ん?あれ・・・。
「って、私飛んで渡れるし!」
わぉ、なんで気付かなかったんだろう!
「おやおや、僕を置いてけぼりにするつもりなのかい?」
ぅ、正直なところ、こんなダメ勇者でもいてくれると安全なのよね・・・。
私はこの姿ゆえに戦闘には不向きだし、ちょっとした魔物にすら食べられそうになるし・・・。
「・・・ぅー、わかったわよ!飛ばせばいいんでしょ?飛ばせば」
「あっはっは。さすがミラ君だね。人ひとり飛ばす魔力のある人なんてそうそういないよ」
「褒められても嬉しくないし。私妖精だし」
「素直じゃないねぇ」
「川の途中で落とすプランBでいいわね?」
「あっはっは。困ったなぁ。どうせならプランYで頼むよ」
え?Yって勇者のY?
どうしようもなくつまんないよこの人・・・。
「Yは勇者のYだよ」
自分で説明しだしたー!?
「え、う、うん。プランAのままでいくね」
「そうかい?残念だなぁ」
なんかこいつ殺したい。
まぁ、いいわ。
とりあえずまずは勇者を向こう岸まで飛ばそう。
「フライングウィング!」
んで、私は自前の羽で渡れば万事解決!
ものすごいショートカットでシフォニシアに着いちゃうわね。
今頃ロロはどうしてるのかしら・・・?
まぁ、どうせいろんなことに巻き込まれてるんだろうけどね。
別に心配なわけじゃないのよ。
ただ、ちょっとだけ私がついてないと危なっかしいしね。
シフォニシアにいるといいな・・・。
気付いたら夏が終わってました。
アルファポリスのファンタジー小説大賞にこの作品をエントリーしました。
ですので、9月中に完結させるようにがんばります!




