56-なにこれ、ハゲる前に その3
「なんかヤバそうな一撃がきそうだよ?」
と、助言してみる。
「全てを貫く槍を味わいなさい!ウンディニール!!!」
極限まで水を凝縮させた槍はどう見たって危険。
やばい、これは食らったら死ぬわ。ご愁傷様だねセリーヌ&ミフリス。
「だ・か・ら、あんたも戦いなさいっての!」
セリーヌが素早い身のこなしで俺の背後に回った。
ふつーにお座りしてるだけの俺の背中をつかむ。
あれー、なんかイヤな予感しかしないよ。
思った瞬間、背中の皮をぐいっと引っ張られ、俺は宙を舞っていた。
なんか投げられたし。
「ごめんねロロ!盾になって!」
「ふざけんなー!!」
宙を舞いながら体勢を取る。
ったく、ミラじゃないんだから結界とかムリだし。
うわっ、考えてる暇なさそう。
「ハァ!!」
レベッカが振りかぶって槍を思いっきり俺にむかって投げた。
いや、俺に投げるのおかしいでしょ!まだ一撃しかあんたに攻撃してないし!
「にゃ!!」
見よう見真似!ミラの結界だ!!
一点を集中した結界を瞬時に展開させる。
これをなんとか切り抜けたら、とりあえずレベッカよりも先にセリーヌを殺す。
結界と槍がぶつかる。
とんでもない重圧がかかってきた。
なにこれ、魔力で結界を維持しないと押されて終わるし。
ミラってこんなキツイ魔法使ってたのか・・・。
離れて初めてわかるお互いの事情ってやつだね。
結界を維持しつつ、水の槍に意識を向ける。
水が広がるイメージ。
「にゃあ!!」
シュパーン!!
「なんてことっ!?」
鋭い音とレベッカの叫びと同時に水の槍が消滅した。
「さっすがロロ!この私が見込んだ猫なだけあるね!」
調子に乗るなよセリーヌ。
「今のは魔法のコントロールを奪ったのですね?」
「ふっふっふー」
さっきミフリスが言ってたことを意識してみました。
やっぱり俺って天才だわ。
「わ、私の水魔法が奪われるなんて・・・」
ここぞと言わんばかりに隙ができる。
すかさずセリーヌの矢とミフリスの魔法がレベッカを襲った。
うわっ、容赦ないねぇ。
「ぐぁああ!!!」
矢と魔法に打ち抜かれたレベッカが倒れた。
同時に、雨がやんだ。
なんとなく、魔力の流れやコントロールについてわかった気がする。
自分自身の魔力の流れも感じれるようになった。
これってものすごい進歩だよね?
「セリーヌさん、ちょっとお話があるんですけどー」
極力優しい口調で俺はセリーヌに話しかけた。
「うん、私はないから帰るね」
「ふざけんなー!!!」
そういえば俺、ハゲてないよね?
次回は番外編(ミラ編)をお送りしたいと思います。




