55-なにこれ、ハゲる前に その2
「デーモンスペル!!」
ミフリスの周りに黒い大きな魔方陣が現れた。
気持ち悪い。
っていうか闇の魔法とか使えるわけこの人。
「ずいぶん物騒な魔法ね」
「私はどの属性の魔法もトップクラスに扱えますので」
なにそれ、自慢?
黒い魔方陣がミフリスの体内に吸収されていく。
うわぁ、絶対俺はイヤだなこれ。
「ダークファンシー!」
うわっ、レベッカの周りに闇がでてきた。
「闇は全てを食らい尽くします。覚悟してください」
一気にレベッカは闇に包まれ、そこには黒い球体がひとつ出来上がっていた。
あ、これ、俺が前に食らった魔法と一緒じゃん?似てるだけ?
「もー、私の出番がなかった!!華麗で華やかで美しい閃光のような私の戦いざまを見せてあげたかったよぅ」
でたよ、セリーヌの戯言。
なんか言葉の意味的にかぶってる表現あるし・・・。
って言ってるそばから、球体にヒビが入った。
そこから水が漏れ出してくる。
「あらあら、やっぱりあの空間は無限ではなかったのね、ふふ」
余裕の笑みでレベッカ登場。そんな簡単に抜け出せたっけアレ・・・。
「ど、どうやって!?」
「簡単なことよ。闇の空間を水で満たしてあげただけなのだから」
俺がそれやったら溺死するから無理だわ。
「私の出番ってことね!」
颯爽と矢を放つセリーヌ。
いとも簡単にレベッカの体を突き抜けていく。
「私の体は水なのよ。物質が効くわけないじゃない」
「あらら、そっかそっか」
レベッカは空中に水を集め、八方に水の矢を飛ばす。
雨なんていうカワイイものじゃない。
これこそ空から槍が降ってきたって感じだね。
それがふつーの雨と混じって、ものすごい見づらい。
「酸濃度を上げたステキな雨よ。溶けちゃいなさい」
「わぉ」
その攻撃を3人とも各自のやり方でかわす。
セリーヌは身軽な身のこなしで全てを避けていた。ものすごい運動神経と動体視力だね、猫顔負けかも。
ミフリスは魔法の盾を出し、全てを防ぐ。
俺はレベッカの足元で雨宿り。
「さっきからなんなのだこの猫は・・・」
超自然な動作でレベッカの近くに避難したもんだから、なんか呆れられた。
だって、ものすごい数の水の矢を放ったって、自分に食らわせるほどランダムには放たないっしょ。一番の安全地帯じゃん。
っていうかハゲるどころか溶けちゃうわけ?すげーな。溶けるって感覚が全く想像できないし。
瞬間、ふつーの矢がレベッカの腹部に刺さった。
こんな間近で矢が刺さるとこ見るの初体験!
うわぁ、痛そう。
「ま、物質が効かない敵はあんただけじゃないってことよ」
相変わらず降り注ぐ水の矢を避けつつ、弓を構えているセリーヌがいた。
ちょっと待って、セリーヌつえぇ!
「な、なにを・・・?」
「指定したどんなものにも触れることができる魔法、リアルナイトメア」
「秘術だと・・・?」
なんかレベッカがすごいビビってるんだけど・・・。
秘術ってなに?
「秘術とは、魔法を生み出したと言われる六大賢者の遺産と言われるものです」
あ、聞いてもないのに毎度説明どうもミフリスさん。
また意味わかんない単語出てきたし。
もうめんどいからなんでもいいや。
「だがっ、私はまだ負けていない!」
レベッカは次から次へと降ってくる雨を凝縮し、1つの槍を形成し始めた。
それをさせまいとセリーヌが矢を放つものの、水の壁を作られて遮られてしまう。
ミフリスの闇魔法も同様に防がれる。
こいつ強い。
2人相手に互角以上に戦ってるし。
「もっとがんばらないと負けちゃうよ!」
俺も2人の奮闘に感化されて、必死に応援した。
「じゃあ、あんたも戦いなさい!!」
「ならば、あなたも戦ってください!!」
うわー、すげぇ見事にハモったよ2人とも。
えっと、うん。
「ごめんなさい」
三毛猫の全剃り(全ハゲ)ってなに猫?って考えてるうちに55話を投稿。




