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53-なにこれ、変わんねぇ

「ひさしぶりー。大丈夫だったの?こんなところまでクールビューティな私を追いかけてきてくれたわけ!?」


 セリーヌは俺の近くまで来て、肉を分けてくれながらそう言った。

 なにこの人、相変わらずすごいナルシストなんですけど。


「いや、ごめん」

「ふふっ、照れ隠ししちゃってー」


 あー、うざい。


「それで、そっちのかなーり暗い顔のお姉さんはどちら様?」


 文字通り暗い顔をしてるミフリスを指差す。


「・・・魔王を召喚してしまった王国の恥です」


 超ネガティブっ!?


「この人は王国のすごい魔道士さんでミフリスっていうらしいよ」

「ふーん、ロロって女ったらしだよね」


 別に俺は女たらしじゃないと思う!

 っていうか人間が相手じゃどうしようもないじゃん・・・。

 それとも新しいジャンルを切り開くべきなの?


「どうでもいいけど、セリーヌはなにしてんの?」

「私?私は私の美貌を探求しつつ、心配だったからロロを探したりしてたのよ」


 なんかウソくさいなぁ。


「それでいくら入るの?」

「三毛猫発見者には5ミリドル!!!」

「・・・正直だよね」

「てへっ」


 俺って指名手配されてたもんね。あれなんでだったんだろ・・・。


「あの手配書は私が発行したものです」


 ミフリスが静かに呟いた。

 ・・・すごい近くにいましたよ。


「王国からお金が出るなんてどういうことかなって思ったんだけど、ロロってなにかやらかしたの?」

「この猫様、ロロ様というのですね。ロロ様は勇者様なのです」

「ロロが勇者?それ新しいね!今度私も使ってみよっ」

「いえ、新作のギャグとかじゃないです」


 なにこのやりとり。漫才?っていうかちょっとイラっとくるし。


「ロロ様は私が召喚した勇者様なのです」

「あぁ、そういえば今年はヤスオイヤーだよね」

「オヤスミヤー?」

「ほな、今日はこれでおやすみやー・・・って違うわっ!」


 おぉ、ノリツッコミ!?さすがセリーヌだ。

 なにヤスオイヤーって。


「初代勇者であるヤスオを記念とした100年に1回ある年のことをヤスオイヤーっていうのよ」


 勇者ヤスオってめっちゃ日本人じゃん!

 俺も日本から来たし、友達にヤスオって猫いたからすごい親近感だわー。

 ちなみにヤスオはアメリカンショートヘアだったけどね。


「へぇ、ヤスオさんねぇ」

「そうなのです。それで、筆頭魔術師である私が召喚したというわけです」

「ロロがマジで勇者とか・・・ぶぶっ」


 こいつ吹き出しやがった。


「んで、セリーヌは俺を賞金と換金するために探してたってこと?」

「まぁ、そんなとこかな」


 本人目の前にしてんだから、もうちょっと包み隠せよ。


「でもね、こっちの方にきたのはギルドの仕事も含めてなのよね」

「ギルドの?」

「いつも通り魔物退治よ」

「あなたはギルドの方だったのですね」

「まぁ、ふつーに綺麗なハンターよ」


 魔物・・・退治?

 若干イヤな予感がした。


「んで、もう魔物退治は終わってるんだよね?」

「いんや?」


 即答なんですね。その方がスッキリしますね。


「めんど・・・」

「まぁまぁそう言わないでよ。相棒なんだし、一緒に狩ろうよぅ」

「ロロ様はこれから魔王を退治しに行くので無理ですよ」

「えー、いいじゃん!勇者なら身近な敵だって倒すべきだよっ!」


 うわぁ、また本人の意思と関係ないとこで色々言ってるよ・・・。


 ポツッ


 額に水滴が当たる感触がした。


「あっ、雨だ」

連載開始からちょうど一年が経過しました!

こんな薄っぺらい内容なのになかなか更新せず、ほんとに申し訳ないっす。



補足で、指名手配の額が上がってるのは、ミフリスの焦りからです。特に強い相手を倒したからとかそういうのじゃないです。あと、手配書は国全土に出回っているわけではありません。

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