51-なにこれ、召喚のなぞ
重たい瞳を無理やり開ける。
なんだっけ?
記憶が曖昧だ。
若干暖かくて、震動を感じる。
「気がつきましたか?」
ミフ・・・・・・あ、ミフリスに抱き上げられていた。
そんでもってどっかにむかって歩いている。
「・・・どこ?」
「さぁ?どこでしょうね」
なんでここでいじわるすんだし。
「魔王のとこ行こうとしてんでしょ?」
「はい」
「俺じゃああんなバケモノは倒せないよ?」
「そんなことありませんよ」
「みんなは?」
「さぁ?どなたでしょう?」
「ここどこ?」
「西の峡谷レイン・エイノンです」
今度はすんなり答えた。
切り立った岩場で、人間の歩く道なんてどこにもない。
登山というか、俺みたいに身軽ならアスレチック感覚で楽だけどね。
「どうしてこんな無理やりなことすんの?」
「私の使命だからです」
「あんたの使命なんて知らないし」
「では、こう言いましょう。勇者様の運命だからです」
「・・・運命?」
「そう、あなたは私に召喚されました。その時点から運命は決まっています」
「くだらない」
「あなたは勇者。魔王を滅ぼす存在です」
「無理。あと興味ない。あとあと知ったことか」
「あなたの意思なんてハッキリ言いますと、どうでもいいのです」
なにこいつ。なんかコワイ。
「勇者様はなすべきことを成せば良いのです」
俺の意思が関係ないなんてふざけんな。
「どうして魔王を倒さなきゃいけないんだ?」
「魔王がいると、魔物が活発化するからです」
「あんた、魔物の正体って知ってんの?」
「魔物の・・・正体?」
魔王ベネルの話していたことを思い出す。
「魔物は勇者の副産物。魔王もそう」
「どういうことでしょう?」
「さぁね?昔の人は勇者という絶対的な存在がほしかったんだって。その勇者を作り上げるためにいっぱい実験して、その失敗作が魔物の正体だって魔王は言ってたよ」
「魔王の戯言ですか・・・」
戯言・・・ねぇ。
俺にはどうでもいい話なんだけどね。なんで覚えてたんだろう。
「魔王も副産物と言ってましたが、どういうことです?」
「勇者召喚と一緒に召喚されるのが魔王なんだってよ」
「つまり・・・私が魔王を召喚したということ・・・ですか?」
「あぁ、そういえばそうなるよね」
「そんなの・・・ウソです」
「そうそう、ひとつ聞きたかったんだよね」
「・・・・・・」
「どうして俺を召喚したの?」
「・・・言い伝えです」
また妙な単語が出てきたな。
「100年に一度、魔王が誕生し世界は混沌に陥るだろう」
なんだそれ。
「魔王誕生と共に勇者が誕生し、世界を救うであろう」
「なんか、おかしくね?」
「おかしくなんか・・・ありません!」
ミフリスが声を荒げる。
「そんな・・・私が魔王を召喚してしまっただなんて・・・そんな・・・」
絶望って顔をして、ミフリスは立ち止まった。
「まぁ、魔王の言うことだしねー」
いまさらフォローしたとこで遅かった。
立ち止まり、俺のことを降ろし、ただ俯いて立ち尽くしてしまった。
え、こういう時どうしたらいいの?
もうすぐ連載一年ですねー
いやぁ、遅筆でごめんなさい。。。
ついに勇者誕生の秘密についてに触れてしまいました!
仲間とはぐれちゃったし、どうやって合流させたらいいんだ・・・w




