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5−なにこれ、兄弟ぼっこぼこ

「あのさ、名乗るの忘れてたんだけど、私セリーヌね」

「へぇ」

「ほら、この見た目でしょ?名前にぴったしっていうか、やっぱり美人とし・・・・・・」

「俺にも名前くれ」


 もういちいち自分の世界を持ってるなぁ。


「名前ないの?」

「ミケなんとかかんとかメスじゃねぇ」

「それ名前?」

「いや、だいごろう」

「ほんとに?」

「だから新しくつけてくれ」


 納得したらしい。


「じゃあ簡単よ。君は今日からロロ」

「エロ?」

「ロロ」


 人間の言葉で初めてボケたのにスルーされたし。ちょっとへこむ。


「なんで?」

「三毛はしろ、くろ、ちゃいろって全部『ろ』が入ってるじゃない」

「そしたらロロロじゃね?」

「それだとキモいじゃん」


 うん、キモいよね。

 なにこれ、すっげぇ簡単にふつうの名前が決まった。

 名前の話しながら歩いてたら、いつの間にか町の外の森に来ていた。

 話しながらだったからあんまり意識しなかったけど、この世界に来て一番歩いたかもしれない。

 もう疲れたんですけど。


「そろそろ出てくるからね」


 なにが?


「ほら、2匹」


 確かに変な気配がする。

 そう感じたと同時に2匹の変なのが現れた。

 見たことのない・・・変なの。


「これがジャッコっていう猫科のモンスターよ」

「もしかしてさ・・・倒すの?」

「へ?もしかしなくても倒すけど」

「あぁ兄弟・・・」


 あっちは全く兄弟なんて思ってくれてなさそうなほど殺気にみなぎってる。


「ほらほらボーっとしてると食われるよ!」


 すでに戦闘モードに入ったセリーヌは、自身の武器であるらしい弓を構えていた。

 なんかこの戦闘の雰囲気についていけてないんですけど。


「てぃ」


 しゅぱっ!

 うわっ、痛そう。

 矢がジャッコの腹部に刺さっている。


「あのね、本来弓はさ敵に見つかる前に先制することが一番いいんだけどさ」


 なにコイツ、頼んでないのに自分の武器の利点を喋りだしたし。


「パーティ組んでたら話は別なんだよね」


 パーティー?誕生日?クリスマス?いや、両方知らない行事だけどさ・・・。


「パーティってのは一緒に組んで狩りする仲間のことね」


 心を読まれてる?!

 ってか、ジャッコがさ、完全に俺のこと無視してるんですけど。切ない。


「二匹いるとさ、一匹相手にしてる間にもう一匹にやられちゃうんだよね」


 とか言いつつやられてないじゃん。

 めっちゃ身のこなし早いし。猫並じゃんお前。


「それでさ・・・」

「ん?」

「ロロも座って毛繕いしてないで戦ってほしいんだけど・・・」


 ご指名いただきましたー。

 無理でしょ、ふつうに。


「私一人でもなんとか大丈夫なんだけどさ。ロロってさ、魔力を感じるんだよね」

「魔力って感じられるの?」


 すっげ、今ジャッコに跳び付かれたのに、なんなくかわしたよ。


「そだよ。例えば火や水をイメージしてごらん。それでこのジャッコを倒すイメージ」


 火か水なら火の方が好きだなぁ。火は暖かいし、水は濡れるし。


「ん?あ、俺が倒すの?だからずっと攻撃避けてたの?」

「・・・・・・うん」


 全然察してなかった。すっげぇ順調に毛繕いしながら観戦してたし。

 えっと、集中して火をイメージして、解き放つ瞬間にジャッコにむかって・・・。


「にゃ!」


 ぼおぉぉぉ!!!!!!!


 なにこれ、すっげぇの出た。

 直径10cmくらいの火の球が30個くらい出たんですけど。

 ってかジャッコ燃えとる。


「うそ・・・・・・」


 セリーヌも予想だにしてなかったのか、めっちゃ燃えとるジャッコを見てドン引きしている。

 一番引いてるのは俺自身だけど。


「キモいほど火が出たんですけど」

「ロロすっご!君やっぱりただ者じゃなかったね!」


 そっか、やっぱり俺って天才だったのかぁ。

てきとーな戦闘ですみません。

これからはもうちょっと丁寧に書きます・・・たぶん。

あと、結局三毛猫の名前は安易なかたちに決定してしまいました。ミケよりは・・・いいですよね?

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