49-なにこれ、門前払い
王都へは意外とすんなり到着した。
もっと、なんかあれよとも思うし、なんにもなくてよかったとも思う。
「ここが、魔法都市ソルビトールさ」
勝手に説明しだす勇者にはもう慣れた。
っていうか王都なの?魔法都市なの?なんなの?
「南の王都と呼ばれているけどね、なんでだと思う?」
王様がいるからだろ常識的に考えて。
なんか聞き方がうざいな。
「現国王がいるのは聖都シフォニシアだ。この意味がわかるかい?」
「おい勇者」
「なんだい?」
「うざい」
「つまりここは昔の王都なのさ。もちろんここにも王がいる。ここの王は国王の弟で、南の地を任されているのさ」
なんだと!?こいつ、スルースキルを身に付けやがった。
「っというわけで、さっそく城に行ってみよう」
都市というだけあって、ものすごい建物の数だ。
なんか、魔方陣のような町並みで、その中央に城がある。
「ミラ・・・あいつの話うざい」
「え?なんか言ってた?」
もはやミラの耳には勇者フィルターが内蔵されているのか!?
スルースキルを超えてる・・・。
「とまれ!」
城の前で門番をしている兵士に止められた。
「なんだい?僕を忘れちゃったのかい?」
「いえ、勇者シェルヴィ様のご帰還はよろしいのですが、お連れに猫が混じっているのは少々問題が・・・」
「彼はロロ君だ。彼も勇者なんだよ」
俺も勇者?勇者のくせに変な説明すんなし。
っていうか入れないならこっちから入らんわ。
「俺はいーよ」
「そうもいかないだろう。王に事情を説明しなければならない」
「ミラがしてくれる」
「えー!?嫌だよ私」
なんかめんどいことになった。
「とにかく、腹話術か何かは知りませんが、妖精ならまだしも、猫を城に入れることはできません!」
なにこれ、マジ差別。うざいから俺もう行くよ。
「あっ、ロロ君待ちたまえ!」
勇者に止められたけど気にせずに俺は歩き出した。
ミラは空気読んで勇者の方に残るみたいだ。
さて、どっかでヒマでもつぶそう。
大体王様に会うとかめんどすぎるし。
勇者なんて一人で十分だろ。
「あ、あなた様はっ!?」
ん?なんか聞いたことのあるようなないような声・・・。
「勇者様!!!!」
変な色の髪をした神官っぽい女が俺を指差す。
指差すとかほんとに失礼なやつだなぁ。
っていうか誰だし。
「勇者様で間違いないですね!?」
俺に走り寄ってくる。
こんな変人に捕まりたくないから逃げよう。
俺は女とは逆方向へ駆け出した。
足に補助魔法をかけて一気に逃げ切る・・・はずだった。
「ホルドム!」
なんか魔法唱えやがったぞあいつ。
瞬間、俺の体が全く動かなくなる。
あれ?
なんか手足に光の手錠がついてて動けないし。
勢い余って顔面から地面に「こんにちは」したじゃねぇか。
「勇者様ですよね?絶対そうですね?ただの三毛猫とかじゃないですね?」
こわっ。
「ずっとお探ししておりました」
なにこいつ。
人を縛っておいてなんで勇者扱いしてるの?
言動とやってることと全然違うし。
もろ猫扱いしてるじゃん。
「私はバッゼルディア王国筆頭魔術師のミフリス。あなたを召喚したものです」
こいつ!?
俺を召喚・・・した?
した?
こいつだっけ?
やべっ、覚えてねーや。
第一話に登場したミフリスさんがここにきてようやく登場!
って作者自身も名前忘れてましたwww
筆頭魔術師は王国が有する魔術師のトップのことです。
きっとすごいんです。
きっと・・・。




