45-なにこれ、竜笛
力技すぎて美しさに欠ける・・・。
そんなことにこだわるのは勇者だけで十分だ。
俺は勝てればいいし。
「こ・・・こうなったら・・・」
お尻がなにか言ってる。
「これが何か・・・わかるな?」
ボロボロのズボンのポケットから出てきたのは・・・笛?
「知らね」
「・・・ドラゴンホーンじゃ」
「ほぅ・・・それがドラゴンホーンか」
ど、ドラゴンホーンってなんだ?
ちょっと見え張って知ってる風な感じにしちゃったし。
最初の返答通り知らないことにしておけば良かった。
「これを吹けば・・・ドラゴンが来るってわけだな」
「ぁ、あぁ。そうだろうな」
「ふふ・・・焦っているようじゃな。ドラゴンといえばこの世界そのものと言われる。猫ごときが敵う相手じゃない」
・・・バレてないよね?
俺が無知なことがバレるかどうかが一番焦ったよ。
で、ドラゴン?あの黒いやつ?
あ、ミラたちはもう外に出てるかな。
俺も行かないと置いてけぼりになっちゃう。
「じゃあな。おっさん、元気でな」
「なんだと?・・・ドラゴンを呼ぶと威しているのにその反応とは・・・」
そう言って、おっさんはうつ伏せのままで笛を吹いた。
ピーーーーーー!!!!!
高音が耳障りな音だ。
ドラゴンとか呼ばれてもいいし。
勇者があの状態の今、もはやここに用はないもん。
さっさとどっか行こう。
洞窟を出ると、ミラと死にぞこないの勇者が座り込んでいた。
「あ、ロロ!やったねっ!」
ミラの言葉にVサインを作ろうとするが失敗した。
俺の手ってそんなに器用じゃなかったのか・・・。
「なんかさ、ドラゴンが来るらしいから逃げよう?」
「なんだって!?くっ、この町を守らないと・・・!」
うそっ!勇者が出しゃばっただと!?
これだけボロボロなら出しゃばる元気もないと思ってたのに。
「ドラゴンだよ?ブラックドラゴンの時忘れたわけじゃないでしょ。俺ら危なかったじゃん」
「そんなことは・・・関係ない!僕は守りたいものを守るんだ!」
え?なに今のセリフ。ツッコミ待ちなの?なんなの?
なにこれ、この展開。
逃げるっていう選択肢が消えるパターンのやつじゃん!
「ロロ、守ろう?」
あぁ、ミラ。まさかお前が勇者側につくとは思わなかったよ。
まぁ、そっか。ミラは自分の森も侵略された経験を持ってるからね・・・。
「じゃあ・・・戦うよ」
渋々と言う俺に笑顔を向けるミラと勇者。
むかつく・・・勇者の笑顔。
なんだかんだ言っていつも君は正義を貫くね・・・って言わんばかりの顔。
「なんだかん―――」
「言うなしっ!」
本当に言いそうになったから思わずつっこんじゃったし。
そういえば街中にドラゴンの爪痕があったっけ。
あぁ、どんなでっかいドラゴンが来るんだろう。
・・・やだなぁ。
戦闘続きですね。
戦闘書くの・・・苦手なんですけどね。




