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33−なにこれ、空気読め

 やべー。

 船酔いしたわぁ。

 町で一泊し、夜明けと共に出港した。

 船はゆらゆら揺れて、湖をゆっくりと前進していた。


「うぇー」


 猫って船酔いするんだね。

 乗ったことないから初めて知ったし。


「ロロだいじょぶ?」


 ミラが心配してくれる。

 心配してくれるなら、治る魔法をかけてくれ。

 向こう側では、リュカと勇者が雑談している。


「へぇ、お兄さんって勇者なんだぁ」

「ははっ、まぁね。僕にかかれば大抵の魔物は相手じゃないさ」

「大した魔物にゃ負けてたけどね」


 ボソっと付け足してあげる。


「南の王都って、魔法都市ソルビトールでしょ?商売の匂いがするのよね」

「その通りだよ。魔法の研究では大陸随一と言われているんだ」

「意外と生活必需品とかが足りてなかったりするのよね」

「高貴な魔法使いたちが優雅に暮らしているからね」


 なんとなく会話が噛み合ってないし。

 まぁ、どうでもいいけどね。

 とにかく思うことが一つある。


「全然安全じゃん」


 船が出港してから数時間、何かが起こる気配が何もしない。


「そういうこと言ってると出てくるのよ、なにかが・・・」


 ミラの一言に、思わず納得してしまい、生唾をゴクリと飲んでしまう。


「またまたそういうこと言わないでよミラったら」


 あははは、と笑っていると勇者が船の後ろの方を見て静かに言った。


「そうさ、そんなことを話しているから、ほら、船の後ろに巨大なタコがくっついているじゃないか」


 わぁ、ほんとだー。大きなタコだねー。珍しいねー。おいしいのかなー。

 って、なんでそんなに落ち着いていられんのこの勇者!

 タコにしがみつかれた船が大きく揺れた。木が軋む音がする。


「ねぇ、この船がもしも壊れたらさ、もちろん湖に落とされて、もちろん泳がないといけなくなるんだよね?」

「そりゃそうよ。まぁ私は飛べるけどね」

「・・・・・・俺さ、泳げないんだよねー」


 もう笑えません。


「ふむ、安心したまえ」


 お、なんか勇者が誇らしげだぞ。

 なんか泳げるようになるような魔法でもあるのかな。


「僕も泳げないのさ」


 ダメだったー。

 やっぱりコイツはダメだったんだね。

 少しでも期待した俺がむしろ悪かったよ。

 今は泳げない同盟とか組んでる場合じゃないから。

 空気読めよこのタコ勇者め!


「とにかくさ、このタコをどうにかしよう!あ、勇者のことじゃないからね」


 半ば涙目で俺は船のブリッジを後ろへ走った。

勇者のウザさに書いててイラだってたりwww


とにかく執筆時間がほしいです。

こんなに秋が忙しくなるとは思ってなかった作者でした。

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