3−なにこれ、買われたし
馬車の上よりも、人に持って歩かれるほうが気持ち悪い。
「ちょ・・・酔った」
けど無視された。
すっげぇ腹立たしい。
「こちらの猫が商品でございますね?」
「あぁ」
「ほぅ、三毛猫の雄でございますか」
「人間の言葉も喋れるって言ったらどうする?」
「ふむ?」
なにやらオークション会場なる場所へ連れてこられたらしい。
俺のケージの周りには金ぴかな宝石やら絵画やらが置かれている。
あ、あの絵のざらつき感は爪を磨ぐのに良さそう。
「――続きまして、世にも珍しい三毛猫の雄の登場でございます」
会場がざわつく。
「しかも!この猫なんと人間の言葉を話すとか」
さらにざわつく。
「では実際に喋っていただきましょう」
会場が一気に静まり、ケージの中にいる俺に視線が集まった。
すげぇ視聴率にちょっと興奮したが、俺は何も喋らなかった。
さっき無視されたのをまだ俺が引きずっていたから。
「・・・・・・あれ?」
会場がまた少しずつざわつき始めた。
「で、では10ミリドルから始めましょう。喋らなくても三毛猫の雄は貴重ですよ?」
慌てた司会者だったが、なんとかオークションを再開させた。
「存外安かったな」
「うん」
商人の親子は結局12ミリドルで売れた俺に対してひどい言いようだった。
やっぱこいつら親子嫌いだわ。
でも、確かに安いとか言われるのはちょっと切ない。この値段の伸びの悪さときたら・・・。
どうせならすっげぇ饒舌に喋って、10倍くらい高く買われれば良かったかも。
まぁ、そうは言っても、親父たちの話じゃあ12ミリドルあれば2年は食えるらしい。
俺ってばやっぱりすっげぇ存在なんじゃね?
「君の名前は今日からミケレイド・ダルシアム・メディゲジャネスだ!」
三毛猫だるだるメスじゃねぇ?
オークションで買ったのはこの近辺でも有名な貴族の子息らしい。
マジで名前のセンスねぇ。もう忘れたし。だいごろうの方が100倍マシだわ。
「じゃあね、猫さん」
商人の娘が俺に別れを告げた。結局お前は俺に名前を付けてくれなかったな。
ケージに入れられて数分、なんか超でかい建物の中に俺はいた。
黒い首輪を付けられて、プレートにさっきのなんとかって名前が入っている。
え、これって俺の一生の名前になるの?まじで?
「ほらミケ、ねこじゃらしだよー」
やべっ、なにこれ。変な動きしてるし。超気になる!
でもやっぱりそれよりも名前の方が気になるわ。
「あのぉ、この名前ちょっと嫌なんすけど・・・・・・」
もう我慢できなくなって、俺はつい口走ってしまった。
「うわっ!ほ、ほんとに喋った!!!ママー!!!」
なんかどっか行ったし。
この隙に俺もどっか行こう。
あー、この首輪どうにかして外せないかなぁー。
すっごいどうでもいい補足なんですが、三毛猫の雄って実際めちゃくちゃ値が張るようです。いろんな説がありますが、億単位という噂も・・・。




