22−なにこれ、打たれ弱いドS
「三毛猫のロロ対、魅了のウェンディ!!!」
めっちゃ美人で、胸元が広いセクシーな服を着た女の人が鞭を持ってにこにこしてる。
どうやら二回戦からはタイマン勝負になるみたい。
「あらぁ仔猫ちゃんじゃない。いたぶっちゃって大丈夫かしら?」
あぁ、そっちのお仕事の人?
鞭で叩きたくてしょうがないって目してるよ。
「ファイトッ!!」
始まったと同時に鞭が空気を裂いて飛んでくる。
パチン!!
地面には痛々しい傷が残る。
牽制のつもりだったのだろう。初撃は避けることが容易かった。
ひっそりと補助魔法を掛ける。
「あら、すばしっこいのね仔猫ちゃん」
ヒュンヒュン音を鳴らして鞭が右往左往。
「当たってくれないと、肉の感触がわからないじゃない」
うわぁ、めっちゃ悪趣味だよこの人。
ここまでサディスティックな人も珍しいんじゃない?
だんだん軌道がわかるようになってきた。
少しずつ距離を詰める。
「このっ!」
鋭い一撃が一閃、俺の上空から落ちてきた。
それをギリギリで横にかわし、隙のできたウェンディの足元へ一気に詰め寄る。
避けられると思ってなかったのか、鞭の動きが鈍る。
「いたっ!!」
決して戦闘向きとは思えないような高いハイヒールを履いている足首に思いっきしかぶりついた。
「いたいー」
その場に崩れ落ちる。
サディスティックなだけに、自分に対してのダメージには極端に弱いらしい。
なにこれ、弱すぎ・・・。
「もうやだぁ。帰る!」
そう言って泣き叫ぶ。
うっわぁ、めんどくさい女だなぁ。
しかも会場からは男の声で大ブーイング。
なにこれ、俺超悪役じゃん。
「ここでウェンディがリタイヤを宣言!ロロの勝ちだぁ!!」
こんなんで勝負が決まっちゃったし。
よく一回戦勝ち上がったなぁ。
ブーブー!!!
なんか、むしろ俺が帰りたいよ。
超アウェイな雰囲気ってずっと続くわけ?
ってか絶対裏でトトカルチョとかされてるよコレ。
俺の予想じゃ、ウェンディが倍率1.3くらい。俺に賭けてるやつなんて、頭のイカれたおっさんくらいなものだよきっと。
あ、もう一人いたわ。
うん、ミラ。
あいつなら絶対俺に賭けてるわ。
「あら、お帰りなさい」
ミラ、すっごいにこにこしてる。
「よくあんな鞭を避けれたわね」
「うん、そうだねー。それでいくら儲かった?」
「えっと2ミリドルと500ジャムくら・・・あ」
気まずそうな顔。
「ぃ、いーいロロ?だって、お金って大事だと思わない?」
「うっさいわ」
「もうゴミ箱漁りとかやりたくないんだもん」
「もうミラ嫌い」
もう知らんし。
「わぁわぁ、ほんとにごめんってば!ねぇ、ロロったら!」
「知らないしー」
もう今日は試合がない。
ミラはそのお金でどうやってか知らないけどかわいい赤い小銭入れと首輪を買ってきた。
「ほら、これで全部ロロのものだよ?」
勝手に首輪をつけて、それに小銭入れをぶら下げる。
中には数枚のお札と小銭が入っていた。
「あのさ、首に付けてたらさ・・・」
「うん?」
「俺どうやって取り出すん?」
「あぁ、無理だね」
もうどっか行けし。
「明日もよろしくね」
全然反省してないじゃん。
あぁ、もうどうでもよくなってきたわ。
明日は三回戦と準決勝。
テキトーに勝ち残って、猫缶だけもらうとしよう。
足を噛んだだけで負けるって、書いてて弱すぎってつっこみました(笑)
まぁ、まだ二回戦なんでね。
ただ三回戦とかになったからってすごい戦闘が待ってるとは限りませんけどね。
あと、猫がお財布持ってても本当に意味ないですね。
これぞほんとの猫に小判って。
・・・すみませんでした。




