21−なにこれ、ミラの狙い?
「で、どゆこと?」
人気のないところでミラを睨みつける。
「なんのこと?」
「まだすっとぼけるの?ミラがエントリーしたんでしょ?」
「違うわよ」
即答。
「うそつきー」
「ほんとに違うんだってば」
「でも何か知ってるでしょ?」
「・・・勇者よ」
「は?」
なんでここで勇者の単語?
「賞品に興味があって、ロロが寝てる時に会場に見に行ったの。そしたらあの白い勇者に会って、挑発されたからついカッとなって、エントリーしてもらったの」
「俺を?」
「うん」
なんて勝手な・・・。
「じゃあなに?俺は勇者を倒せばいいってこと?」
「そういうこと」
なんてめんどくさい・・・。
まぁ、まだ話は終わってないんだけど。
「あのさ」
「ん?」
「それだけじゃないでしょ?」
「え?」
「優勝賞品さ、さっき見てきたんだけど猫缶じゃなかったし」
「バレた?」
「バレた。猫缶・・・ベスト4の賞品だった」
「あらあら」
「んで、優勝賞品は南のリゾートで有名なアスバルテーム五泊六日の旅だって」
「うんうん」
「まぁ、これはフェイクでしょ?準優勝の賞品が赤い魔石だったんだ。ミラの狙いはコッチなんじゃない?」
間があく。
「ロロすごいなぁ。なんでわかったの?」
うわぁ、あっけなく認めたよ。
「そもそもこの町に来る理由って特になかったじゃん。元々この魔石が賞品として出ることを知ってたんじゃないの?」
「あははー。とりあえずさ、もう二回戦始まるからがんばってきてよ」
「俺、ベスト4でわざと負けるかもよ?」
「まぁ、バレちゃったんだからしょうがないわ。ロロの好きにしていいわよ」
あれ、意外と素直。
なんか気持ち悪いなぁ。
「それではぁ!二回戦第三試合の始まりです!!」
俺さぁ、ほんとにこの実況嫌いだわ。
うるさすぎ。
きっとまだミラは何かを隠してるんだろうけど、とりあえずベスト4までは頑張ろう。
猫缶のために・・・。
最も短い話です(笑)
ロロが猫缶を手に入れたところで、いったいどうやって食べるんでしょうね〜。




