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20/82

20−なにこれ、ほぼ不戦勝

 しぶしぶ会場へと下りる。

 ってか結局ミラ一人で大丈夫なんじゃん。

 あの子の狙いはなんなの?

 もしかして猫缶?


「レディー!」


 いかつい野郎どもが構える。


「ファイトッ!!」


 とりあえずうっさい。

 この声と同時に三人の戦士たちは戦い始めた。

 俺を完全にシカトして。


「おらぁ!」


 爆力のデルジンって紹介されてたやつは、二つ名の通り筋肉馬鹿って感じ。でっかい斧を振り回している。巨人に比べたらかわいいもんだわ。

 雷光のセガルは魔法剣士かな。自分に補助をかけて、魔法で牽制しつつ片手剣で攻撃をしてる。

 双魔のヘネユミアは赤いローブを着てて、フードをかぶってたからてっきり男だと思ってたけど、どうやら女っぽい。詠唱魔法の声が女だった。完全に距離をとって、魔法を打ちまくってる。


「三毛猫のロロを除く三選手の熱いバトルだぁ!!」


 実況とかいいから。

 どうせ俺は愛玩動物ですよ。コンパニオンペットってやつですよ。

 てめーらまとめてアニマルセラピーしてやんぞ?


「ファイヤーウォール!」


 肉弾戦をやってるデルジンとセガルをまとめて炎が包み込む。

 ヘネユミアさん、なかなかうまい作戦じゃん。

 俺も詠唱魔法使おうかなぁ。

 詠唱魔法ってイメージする内容が詠唱で簡略化されてるから、下級魔法の連射に向いてるんだよね。

 教科書で一番オススメな魔法ってセリーヌが言ってたなぁ。


「これしき!」


 セガルが水の魔法で炎を消す。

 その隙を見てデルジンの斧が横薙ぎにセガルの脇腹をとらえた。

 おぉ、よく飛ぶねぇ。

 セガルはそのまま会場の観客席際のフェンスにぶつかって気を失った。


「おーっと、ここでセガルがダウンだぁ!!!」

「あとはお譲ちゃんだけだなぁ」


 いやいや、俺もいるからね。


「サンダーボルト!」


 ヘネユミアの魔法がデルジンの足元へ雷光一閃。

 セガルが使うべきだった魔法じゃね?

 ってか雷の魔法って初めて見たわ。なるほどねぇ。

 直線的な速度は申し分ない。使いやすそうな魔法だ。


「魔法は嫌いなんじゃ!」


 そう言い放ってデルジンは懐から小型のナイフを取り出しヘネユミアに投げつけた。


「きゃっ!」


 ナイフは綺麗にヘネユミアのふとももに刺さり、そのまま崩れ落ちる。

 ゆっくりとデルジンは近づいていく。


「なかなかの魔法だった。だがコントロールがまだまだだな」


 偉そうに言って斧を振りかぶる。


「うぅ・・・参った」

「ここでヘネユミアが降参を宣言したっ!!」


 振りかぶるのをやめたデルジンは笑顔で観客に片手を突き上げてポーズをとった。

 まだ終わってないっつうの。

 俺は自分に補助魔法をかける。


「さぁ、残ったのは爆力のデルジンと三毛猫のロロ!」

「ぐははは!動物虐待になっちまうぞぉ?」


 言い終わるか終わらないかの瞬間、俺はデルジンの鼻に噛みつき、顔面を引っ掻いていた。


「うぎゃああああ!」


 あっけない。

 巨人に比べたら本当に雑魚だわ。これだけで倒せるなんて。

 顔面傷だらけになり、顔を抑え込んでその場にうずくまった。


「ここで大番狂わせだぁぁぁ!!!!デルジンがダウン!よって、一回戦第五試合は三毛猫のロロの勝利ぃ!!!!」


 会場がざわつく。

 普通なら歓声が起きるはずなのに、全然歓迎されていない。

 中には野次を飛ばすやつまでいる。

 俺は全てを気にせずに観客席へ戻った。


「おっつー」


 なんだし、コイツ。

 まったくミラはいい気なものだ。

 もう成り行きだからしょうがない。

 とりあえず・・・猫缶のためってことで。

ついに20話です。

ネタが・・・(笑)

でも、先のことは考えてあるんですよ。

ただ、どうにも笑いを盛り込むのが難しいですね。

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