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2−なにこれ、捕まっとる

 なにこれ。なんか知らん間にケージの中にいるんですけど。

 しかも揺れてるし。馬の歩く音と、車輪の音もする。


「そもそもだな、魔法ってもんは考えるもんじゃねぇ。感じるもんなんだよ。んで、あとはイメージするだけ」


 タバコの臭いがする。それと図太い親父の声。


「でも、どうしてもうまくできないんだけど・・・」


 あと女の子の声。


「だから、お前は集中力が足りねぇんだって。もっとこう身体の一か所に集中してみろ。それを解き放つ瞬間に、イメージするんだよ」


 なにやら魔法について女の子が親父に教わっているようだけど、俺には関係なさそうだ。

 ってかここせまっ!ぎりぎり反転できるくらいのスペースだし。

 なんで俺今まで気付かずにここにいるんだろ。


「それにしてもおとなしいなぁ。死んでんじゃねぇのか?」


 親父が言うや否や、女の子が俺のケージを覗き込んできた。


「あ、生きてるよ」


 起きてるよ、の間違いだよ。


「三毛猫の雄は高く売れるからな。ほんとにラッキーだったぜ」


 あぁ、俺ってば売られるわけだ。


「寝てるところだって、猫だし捕獲は難しいんだけどな。今回は馬鹿猫でよかったぜ」


 そんなに動物を並べてもいいことないよ。


「猫さん売っちゃうの?」


 って俺売られるのかっ!?やべっ、起きて間もなくて頭が回ってなかったわ。


「なんだよ、飼いたいってのか?」

「うん」


 えっと、どうしよう。


「それはやめたほうがいいと思う」


 なんとなく、俺は口に出していた。


「あ?」

「え?」


 ん?


「今、リュカが喋ったわけじゃないよな?」

「うん」


 あれ?


「ってことはだ・・・」


 なにこれ、俺人間の言葉喋ったし。きもっ!

 親父は絶句していた。


「すっごーーーーい!!!!!!」


 一人、猛烈に感動してる子がいるし。

 俺が自分自身にめっちゃ引いてるのに、こいつだけ食いついてきやがった。


「ねぇねぇ、猫さん。お名前は?」


 ほっといてくれ。


「ねぇってば!」

「ない」


 ほんとに人間の言葉だ。この世界に来てから、言葉を理解することは出来てたけど、まさか喋れるようになってるとは思わなかった。


「じゃあ私が考えてあげるね」

「だいごろうで十分だろ」


 親父の横やり。それは嫌だ。


「パパさぁ、センスないよねぇ」


 娘だったんだね。ってか親父ちょっとかわいそうなくらい哀れな目で見られてるんですけど。


「むぅ・・・・・・商品に名前なんていらねぇんだよっ!」

「売るの嫌だ!」

「喋る猫で三毛猫の雄。もう一気に超金持ちになれるぞ?」

「じゃあ売る」


 売るのっ?!

 やっぱり商人の娘は商人なのね。お金が絡むとあっさりなのね。


「ちょうど次の町は商業都市だ。オークションにでも賭ければ儲けられそうだな」

「そうだね、パパ」


 この親子嫌いだわ。ってか商人嫌いだわ。


「ご飯あげていい?」

「あぁ、いいぞ」


 でもちょっと好きかも。

肝心の三毛猫の名前がまだ決まっていないというwww

このままだと「ミケ」になりそうで焦ってます。なんて安易な・・・。

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