19−なにこれ、猫缶?
「もうすぐ試合が始まるね?」
だから興味ないっつうの。
「ほらぁ、行こうよ?」
「一人で行ってきたらいいじゃん」
「そういうこと言うわけ?私一人じゃ色々危ないのよ」
「俺と一緒でもさほど状況は変わらないでしょ?」
「だれもこんな汚い三毛猫には近づかないわ」
うわぁ、すっごいひどいこと言われた!
「ってのは冗談だけど、ほら行こう?」
「やだー」
「逃げるの?」
「いや、意味わかんね」
「勇者に楽しみにしてるって言われたじゃない」
「エントリーとかしてないから」
「優勝賞品・・・」
「ん?」
「優勝賞品・・・猫缶って言ったらどうする?」
「え!?うそっ!?」
いやいやいや、絶対ウソでしょ。
武術大会の優勝賞品が猫缶っておかしいもん。
「あら、ロロったらなんにも知らないの?」
「絶対ウソじゃん」
「ウソじゃなわよ」
「ウソだ!」
「ウソじゃない!」
「ウソウソウソ!」
「そんなに言うなら確かめに行きましょう?」
「いいよ!行ってやんよ!」
あれ?いいのか?
まぁ、いっか。
会場は異様な熱気に包まれていた。
「どこで賞品なんて確かめられるのさ?」
「きっとこっちよ」
ミラに案内されて観客席へと降りていく。
「あれぇ、おっかしいわねぇ」
多くの客が中央に視線を置いている。
まだ誰も登場してないのに。
最前列まで来たけどなんにもない。
あるのは闘技会場のみ。
へぇ、ここで試合するのかぁ。
「つづいてのカードはぁぁぁぁ!!!!!!」
うるさっ!
なんか急にでっかい声が響いてきたし。
「爆力のデルジン!雷光のセガル!双魔のヘネユミア!そしてぇぇ!」
なにこれ、人の名前言ってるだけじゃん。
「三毛猫のロロォ!!!!」
へぇ。
ん?
「一回戦第五試合はこの三人と一匹の前代未聞のカードとなりました!さぁ、一体誰がこのバトルロワイヤルを勝ち上がるのでしょうか!?」
一匹?
あ、俺のこと?
「いってらっしゃい」
あれぇ、ミラがにんまり笑顔だぞぉ?
「いってきまーす。なんて言うか!」
「じゃあ行ってきなさい」
命令形になったぁ。
「どゆこと?」
「こゆこと」
なんにもわかんねぇ。
もう帰りたい・・・。




