ルネ・マグリットの空の鳥に
ルネ・マグリットの
原画展を観に行く
シュールレアリスムでありながら
その視点は どこか優しい
荒天の空の中を
鳥がシルエットになって
飛んでいる
鳥は青空を内包する
希望の象徴
鳥とともに 風に乗って
この薄ら寒い雨降りの世界を
どこまで行こう
遥か北極圏の
荒れた海の 灯台守に
真夏の太陽と白い雲の想い出を届けよう
灯台守が葉巻を燻らせて
静かに目を瞑れるように
北国の窓辺に
月あかりの下
一輪の青い花を 置いてこよう
明け方 窓を開くと
やさしい風が吹くように
そうして いつか 晴れた空の下で
意外と大したことなかったねと
笑えたらよし
笑えなくてもよし
そういうことにして
会場を出たら
透きとおる青空が 待っていた