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バーベナなんていらない  作者: ゆうま
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第6話 嘘吐き

生存者:園田、峯、佳賀里、畠中、岸、金井、村田、多岐川、片瀬、戸羽

死亡者:喜多、小野寺

生存者全員が広間の椅子に座った


「朝決まったのでありますから、話し合いの必要はないでありますな」

「それは分からないよ」

「何故でありますか。今日の処刑は片瀬殿と朝決まったはずであります」


園田さんはどうしても片瀬さんを処刑したいらしい

もし人狼なら確実を求めるにしても人物に拘り過ぎだとは思う


「人狼同士の会話を偶然聞いた人」


意味深に言葉を切って役職を自称している4人を見る


「――がいたりするかもしれません」


恐らく僕からのサインを待っているのだろう

だけど、僕がサインを送ることはない

片瀬さんがなにもするなと言ったからだ


どうするつもりなんだろう

なんの考えもなしにあんなことを言うとは思えない


…それにしても、僕はいつも逃げてばかりだ

片瀬さんの、峯さんの、思いを尊重

そんな言葉を使って、彼女の言葉に理由を押し付けて、ただ逃げているだけ

片瀬さんに死んでほしくないなら、どんな言葉や手段を使ってでも協力すると言わなくちゃいけなかった

結局僕は僕が一番可愛いんだ


「有益な情報を手に入れた人物はいないようでありますな。それなら今日の処刑は片瀬殿ということで良いでありますな」

「俺様は賛成だ」

「は?畠中アンタ、アタシのこと占ったんでしょ。だったらアタシが村人だって分かってるはずじゃん。なんで」

「霊能者が片瀬クンを村人側だと見れば俺様の信頼度が上がる。その嘘つき占い師の嘘を暴くことも出来るかもしれん。いくら本当のことを言おうと信じてもらえなければ意味がないのでな」

「それは…」


信じてもらえなかったことを思い出したのか、俯いてしまう

誰か指摘してくれ

僕が口をはさむと片瀬さんはきっともっと感情論を言い始めるだろう


「でもアタシじゃなくたって良いじゃん」


朝の話しに戻すのは良くない

誰だって死にたくはない

その意志があるならここまで来ていないはずだから


「それなら誰かにお願いすれば良いと思います。村人の勝利のために、自分のために、死んで下さいと」

「なっ…!」

「人狼、狂人、妖狐を暴けないのなら、それしか方法はありません」


多岐川さんは嘘吐きだ

自分の言うことが正しければ加勢してくる、だって?

まだなにも言ってないじゃないか

ただ切り捨てることをしない

それが金井さんなんだ


感情論なら負ける

理論的に勝負しろ


そう言っている

きっと理論的に勝負して、覆せそうなら味方するだろう

何人かが加勢するなら僕も加勢出来る


「アンタたち、本当に現状分かってんの?」


大きく息を吐いて、勢い良く顔を上げる


「偽物だってどうせアタシを白だって言うじゃん。アタシが人狼で、霊能者に本物がいない限り2人とも白だって言うに決まってんじゃん」

「なにを言い出すか――」

「これでアタシが人狼だったら馬鹿じゃん。もし人狼でもまだ2人いると思わせた方が良いに決まってる。そんなことも分かんないの?!」


息巻いて話したからか、肩で息をしている


「本物がいない限り、でありますか」

「まさか気付いてないわけ?占い師と霊能者が2人ずつなんて普通あり得ないじゃん。どっちかは両方偽物なんだよ!」


両人狼潜伏という可能性を忘れてはいるが、掴みにはこの方が良い

このくらいの訂正はいつでも出来るが、掴みは大切

ただ、自分を処刑しても意味がないと主張するだけでは駄目だ

誰を処刑すれば少なくとも自分より近道なのかを提示する必要がある


「僕もそう思います」

「多岐川クンは昨日片瀬クンに投票していたが、今回は片瀬クンの味方をするのか」

「味方はしませんよ。片瀬さんの「役職を自称している人数が1人少ないのでおかしい」という指摘に賛同しただけです。正しいとは思っても誰も言えないんじゃないですか?こうやって突っかかってくる人がいるから」


ずっと俯いていた村田さんが意を決したように顔を上げる


「自分もそう思いますけど…」

「自身に不利な発言をするのでありますか」

「結果的にはそうなりますけど…それが事実なんだからしょうがないです…。自分も最初、対抗が1人少ないことに疑問を感じました…。でも自分を追い詰めるんじゃないかって言えなくて…」


いつもに増して声が小さくなっていく


「だけど、この疑問を放置したまま片瀬さんを処刑する人に選ぶのはおかしいと思いますけど…!」

「私もそう思います。可能性としては本物、人狼、狂人、妖狐が1人ずつ出ている場合と本物が2人、狂人と妖狐が出ている場合です。それ以外にも組み合わせはありますが、現実的ではありません」

「僕個人としては執拗に片瀬さんを処刑しようとする園田さんが怪しいと思うのですが、どうですか?」


まただ

またゲームマスターがするような笑みを浮かべている

僕を含め本人を除いた3人以外がその笑みに釘付けになる

この3人はゲームに関してなにか隠していることがありそうだ


「昨日から園田さんは投票先をコントロールしている。人狼の可能性が高いと思う」



―――――

峯に話しを振る

佳賀里に話しを振る

畠中に話しを振る←選択

岸に話しを振る

―――――



ここで話しを振るならこれまで威勢良く話していた畠中さんが良いだろう

少なくとも「アケルナーの向こう側」の2人ではない


「僕はそう思うけど、畠中さんはどう」

「そう言って園田クンに投票先を誘導しているのではないか」


そうなるのか

これは話しを振る先を失敗したか

反省はあとで良い

どう反論するか…


「アンタ馬鹿なの?話し聞いてた?園田さんは特に大きな理由もなく誘導してる。でも戸羽はだから人狼っぽく感じるけどどう?って感想求めただけじゃん」


しまった

片瀬さんに庇われてしまった

このままではまた片瀬さんに投票する流れになりかねない


「むっ…俺様はなんと言われても意見を変える気はない。朝は全員賛成していたように思うが、意見を変えるのか」

「畠中さんは今日自分が処刑される心配がないからそんなことが言えるんです…!無駄だって、無意味だって分かってるんです。だけど自分になるのが怖いから誰もなにも言えなかったんです」


叫ぶように言った村田さんの瞳から涙がぼろぼろ零れる


「戦うと決めた片瀬さんを、勇気を持って発言した金井さん、多岐川さん、戸羽さんを馬鹿にするようなことを言わないで下さい…!」

「今日処刑される心配がないのは村田クンもだろう。無駄だと分かっているのなら最初に発言すべきは村田クンではなかったのか」

「それは…」


自分だって不用意な発言をすれば処刑されかねない

あの流れなら誰もなにも言わなくて当然だろう

ただ、今になって村田さんが発言しているのが気になる

しかも、その発言によって議論は止まっている


「それなら村田さんは誰が処刑されるべきだと思う」

「畠中さんですけど…!自分の信頼度を上げるために村人を処刑するなんて変です。これは自分だけが知ってることなので理由には出来ませんが、畠中さんは偽物ですから…!」

「理由としては不十分であります」

「分かってますけど…」


話しが進んでいるようで進んでいない

このまま時間になったら片瀬さんが処刑されるだろう


「もうアタシで良いよ。あと5分だし。最初にアタシ自身が変な動きしたことが原因じゃん?」

「本人が良いと言うなら決まりでありますな」

「でも…」

「本人が言っているのになにを躊躇う必要がある」


ふんっと鼻で笑う


「今反応した3人が人狼と狂人じゃん。こんな美味しい展開ないもんね。ちなみに残り時間はあと12分だよ」

「少し無理はありますが、十分あり得る話しです」

「ただ、この3人は今の今まで話し合いの渦中にいた人物です。少し安易だと思います」

「人狼同士が対立するのってセオリーじゃん。明らかに対立してたのってこの3人だけだよね。しかも感情論」


残り時間を片瀬さんが言ったからか、なんとなく時計を見た


「―――片瀬さん…。嘘を吐きましたね」

「気付くと思ってた」


片瀬さんが時計を指す

時刻は18時59分


「せーの!」


片瀬さんを指しているのが5人

畠中さん、園田さん、峯さん、佳賀里さん、岸さん


園田さんを指しているのが4人

金井さん、多岐川さん、僕

そして、片瀬さん


村田さんは畠中さんを指している


「あれだけ対立しておいて票を集めそうな園田に投票出来なかった村田は人狼じゃん。それくらい分かるでしょ」


昨日注射器が入っていた箱が大きな音を立てて開く

ゆっくり近づいて中に入っている物を取り出す

振り向いた片瀬さんはやはり注射器を持っている


「でもさ、アンタらが悪いわけじゃないじゃん。次も勝てよ」


自分の腕に針を刺すと、液体を押し込んだ

生存者:園田、峯、佳賀里、畠中、岸、金井、村田、多岐川、戸羽

死亡者:喜多、小野寺、片瀬

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