表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/7

第6話

 試験が終わった。結果はどの教科も学年平均以上だった。北条君なんて、英語は満点だった。


 試験が終わると始まるのが文化祭の準備である。出し物を決めて、夏休み中に準備するのだ。クラス委員が黒板の前に立ち、板書していく。今、出ているアイデアは『お化け屋敷』『演劇』『喫茶店』の3つ。高校生らしいものだ。


「では、多数決を取ります。挙手してください」


 北条君はどれにするんだろう?席が離れていて手を上げるタイミングが掴めない。仕方ない、自分の意志で決めてしまおう。私は準備が少なそうな『喫茶店』を選んだ。


「多数決の結果、『喫茶店』をやることになりました。喫茶店どんな喫茶店にするか考えのある人」


 皆の意見は「メイド喫茶」と「執事喫茶」に別れた。・・・執事姿の北条君、カッコいいだろうな。


「では、女子はメイド服、男子は執事で良いですね」


 考えている間に決まってしまった。私は裏方が良いな。メイド服とか・・・ねぇ。ミサトが話しかけてくる。


「かわいいメイド服だと良いな」

「私は裏方が良い」


「ええ!?熊ちゃんメイド服着ないの?」

「ほ、北条君」

「熊ちゃんが着ないなら、僕も執事服、着なーい」

「え!?」


 クラスがざわめき始める。それは困る。とか集客が・・・とか。


「熊ちゃんが裏方やるなら、僕も裏方が良い」

「え~っと」

「ヒカリ・・・メイド服着るよね」


 クラスからの圧がスゴイ・・・負けた。


「メイド服着るよ」

「わ~。じゃあ、僕も執事やろ」


 メイド服を着るなんて、前世では考えられなかった。良い経験だと思おう。


 演劇やお化け屋敷と違い、そんなに装飾に凝らなければ喫茶店の準備は簡単だ。夏休み中に数回集まるだけで済む。でも、確か北条君は・・・。


「あ、僕は欠席で。夏休みはドイツに行かないといけないから」

「そうなの北条君?」

「うん。ごめんね」

「準備しとくね」

「ありがとう」


 ミサトが小声で話しかけてきた。


「知ってたの」

「うん。この間、聞いた」

「じゃあ、夏休みは遊べるね」

「・・・そうだね」


 絶対に東雲君と遊ばないでねとお願いされていることをミサトには話しておかないとな。


「お土産、楽しみにしててね~。向こうから連絡するから」


 そんな言葉を残して北条君はドイツに旅立って行った。そして、言葉通り一日に一回、連絡が来た。毎日返信することが、夏休み中の私の課題になった。


 ミサトから連絡が来て、夏祭りに行く事になった。東雲君は暑いから来ないそうだ。久々に女子三人で集まる。


「え?じゃあ、毎日連絡が来るの」

「うん。今日も『浴衣の写真送って~』って」

「マメだね~」

「本当にね。取り巻きにそこまでするかって感じ」

「・・・取り巻きねぇ」

「何?」

「いや、なんでも」


 三人で花火を見た。プールにも行った。宿題もやった。文化祭の準備もした。

 

 夏休みが終わる一週間前、北条君が日本に帰って来た。空港まで迎えに来て~というオネダリ付きで。


「熊ちゃん!ただいま」

「・・・おかえり。北条君」

「お土産、買ってきたよ」

「ありがとう。荷物、持つの手伝おうか?」

「大丈夫。ウチ来てよ。お土産、渡したいから」


 久しぶりに北条君の家へ遊びに行った。本当にたくさんのお土産を貰った。


 こうして、私の夏休みは終わった。二学期が始まる。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ