1話
冒険者──ギルドと契約し、クエストによる報酬で生計をたてている者達の総称である
とある林にて天幕付きの荷馬車が三台、三角形の様な陣形で走っていた。先頭の荷馬車には御者が手綱を引いている後ろで若い男女……否、少年少女が居た。
二人は楽し気に話していると不意に金色の眼を持つ少年──クロガネが顔を顰める。
「……セラ、右に2人、左に3人。つけてる奴らが居る」
そういうや否や蒼い眼を持つ少女──セラは柔らかい表情を固くさせた。
「俺が左をやる、セラは右を頼む」
「分かった、気をつけて」
そう言い出して二人は左右二手に別れた。
感知した方向に向かうと変な靴を履いている男が三人が居た。
「な、なんでバレてんだ!」
そりゃあ”そういう概念”付与したからな、それよりも仕事だ。パッと見で分かる敵の武器は剣が二人に斧が一人。
そこまで確認したらゴールドは腰に刺してある剣を抜くとそのまま盗賊達に向けて突きつける。
「お兄さん方、我らクレア商会に何か御用でしょうか? 申し訳ありませんが商品が無いのでお帰り願いたいのですが」
「うるせぇぞガキが! 野郎共、護衛はガキだけのようだから容赦するな! 抵抗する奴は殺せ!」
「がってんだ大将!」
「分かりましたリーダー!」
そう叫んだ後盗賊のリーダー格が剣を構えながら正面、部下二人がゴールドを囲うように左右から仕掛けてきた。
「あばよクソガキ、あの世で精々俺の事を恨んでるんだな!」
そうして盗賊達の得物が青年へと肉迫し……甲高い金属音が響く。
「は?」
男達は目疑った、正面からの剣お剣で防ぐのは良い。それによってできた隙を両側から叩く作戦だったから。
だが目の前の少年はあろうことか身にまとっているコートで防いだのだ。何か下に着こんでいるのではなく、本当に衣服で刃を受けたのだ。
「こちとら伊達にガキでやってる訳じゃ、ねぇんだよ!」
そう叫びながらクロガネは受けていた剣を弾くと同時に横薙ぎし男達を吹き飛ばす。
「なんだよこのガキ、化け物か?!」
「あ? 誰が化け物だこの野郎!」
「バカ変に煽るな! それよりもとにかく攻撃だ! どういう訳かあの服はクソ硬ぇ、生身の所をチクチクなぶり殺しにするぞ!」
「「了解!」」
「フンッ一対多のやり方ぐらい分かって──どぅわ?!」
男達が再攻撃の体勢を取った直後、後方──つまりセラが戦闘してるであろう方面からドンッと重い音が衝撃と共にが響いてきた。
「あーらら、また加減ミスったか? まぁ今回は俺に被害が無い分いいか」
「な、なんだ今の衝撃と音!」
「こいつらもしかして魔道士か?! それならあの硬い服も頷ける、テメェらずらかるぞ! こんなの相手にするなんて割に合わねぇ!」
「分かりました!」
「命あっての物種ですもんね!」
そう言うと男達は履いていた変な靴に触れ、靴は形状を変え翼の様な物がはえた。
(まさか、魔道具?! それも飛行用だと?!)
「させるか!」
そう言いながらクロガネは懐からへの字型の筒を取り出すと、ソレの長い方を男達に向けながら起動レバーを人差し指で引いた。
するとその筒から白く光る縄が勢いよく出て、男達を拘束した。
「な、何だこれ?!」
「我らクレア商会の捕縛魔道具試作品だ、いやぁ持っといて良かったよ」
暴れられたら困るので無防備な体に数発喰らわした後、そのまま筒を確りと握りながら荷馬車の方へ戻って行く、そこには荷馬車達を中心とした半円状の光の膜と、クロガネ同様魔道具で気絶した男二人を引きづってるセラが居た。
「お疲れ様クロガネ」
「おう、そっちは大丈夫だったか?」
「うん、この人達って最近噂の盗賊団でしょ? 確か…………なんだっけ?」
「風の旅人っつー舐めた輩だよ、たく何だよ風の旅人って。ただの盗賊の癖に」
「それもそうだよね、盗賊の癖に名乗ったりとかしてるらしいし」
(名乗り? そんなのは無かったが……まぁいい)
「それよりもこいつらさっさと乗せるぞ、そして街に戻ったら憲兵に連れて懸賞金でも貰おうぜ。ついでにこいつらの靴だが、魔道具っぽいから貰っとこうぜ。そんで俺とセラの分以外は商会の人にでも買い取ってもらおうぜ」
「それはいいけど魔道具? クレアさんの所以外で?」
「あぁ、それも飛行用だったよ。全く、どこからこんなの取ってきたのやら」
そうボヤきながら俺らが乗っていた荷馬車に縄で縛った後再出発した。
♢
盗賊の襲撃から数時間、日が落ち暗くなってようやく都市──エルトに到着した。捕まえていた盗賊の奴らは検問所の憲兵に引き渡し、ギルドを介して金を貰う手はずになった。その後ギルドに行き、“クエスト”の報告を済ませたら盗賊の件含め報酬を貰った。
ギルドを出た時に金髪の短髪の男性──クレアさんが話しかけてきた。
「今回の護衛もありがとう二人共、あの魔道具も凄く助かるよ。これでもしかしたら僕らも飛行魔道具が作れる可能性が出來てきたよ」
「いえいえ、俺らに出来る事ならまた呼んで下さい」
「クレアさん達には私達も助けられてるので、格安は無理でもお得価格で引き受けますので」
「ハハハ、それは頼もしいな。それじゃあまた何かあったら頼むね、あとこれから皆で食事だけど二人も来るかね?」
「どうする?」
「私は行きたい! 折角臨時収入が入ったんだもん、少しぐらいご褒美があってもいいと思う!」
「──という事でご一緒させてもらいます」
「分かった、今日行く店は僕ら行きつけのお店だから期待しといてね」
クレアさんは笑いながらそう言った。その後クレアさん達と仲良く食事をした後解散し、宿で一部屋借りてその日は寝た。
余談だが一緒に行ったお店の飯は安いのにクッソ美味かった。