chapter2_2同居
「どうしてこうなった」
「あなたが望んだことだろうに」
「ちげーよ、なんで俺の解放の条件がお前と四六時中一緒にいることなんだよ。状況が悪化してるじゃねーかよ」
「というかお前人の事監禁しておいてよくそんな飄々としてられるな、死ね」
「野蛮人を野にはなっておく訳には行かないからね、死ぬなら1人で死になさい」
「.........喧嘩は良くないよ」
「「喧嘩じゃない」」
ナギの説得に成功したあと、ナギには早速次の日にヨゾラの幽閉を解いてもらった。
そこまではよかったのだが.......。
「無理に仲良くする必要はないけど、せめて穏やかに過ごそうよ.........」
「「無理」です」
その直後からこの調子である。
まあ地下室に閉じ込めたり閉じ込められていたりしたし、色々思うことがあるのかなと思うが。
いつも温厚なはずのナギが露骨な敵意を隠そうともせずヨゾラに接しているのには驚いた。
「質問なんだけど、なんでヨゾラは地下室に閉じ込められていたの?というか、あれをやったのは本当にナギなの?」
「.......ひみつ」
「かわいく言ったって駄目だからね!?」
迂闊にも少しときめいてしまった。
「きもっ、てかお前本当に何にも言ってねーんだな、正気かよ」
「正気ですよ、少なくともあなたよりはね」
「ああん?」
「.......実は仲良し?」
「「そんなわけない」です」
「「.......」」
「さっきから同じタイミングで似たようなことしゃべりやがって、真似すんじゃねーよ」
「そちらが私の真似をしている、の間違いでしょう?悔い改めなさい」
「.......お仕事行ってきまーす」
埒があかなさそうなので、とりあえずお互いが冷静になるまで放置しておくことにした。
「あ、シグレさん。私は今日は休診にします。これを連れてクズハさんのところに挨拶に行きます」
「これ? 殺すぞ」
「死ぬのはあなたです」
また喧嘩を始めたので今度こそ放置して出かけることにした。
「了解~。帰ってくるまでには仲直りしてね.......」
届かないと分かっていながらも、願いを込めて小さくつぶやく。
はじめての3人暮らしは前途多難のようだ。