chapter1_2 診療所にて
疲れたー!
もう、クズハは人使いが荒いよぉ。
仕事の説明一通りしたらどっかいっちゃうし・・・・・・。
資材の運搬も量が多くてもなかなか大変だったしなぁ。
お腹も空いたし、ナギを迎えに行ってご飯にしよーっと。
ナギは普段島の外れにある診療所で住民の健康相談とか怪我の治療をしている。
島のお医者さん的立ち位置だ。
急患がない限りナギの仕事は日中に終わるので、私の仕事が終わったタイミングで合流して家にもどり、のんびり家事をするのが私たちのルーティンである。
とかなんとか考えているうちに診療所に到着した。
「到着ー!ナギー、お仕事終わったよー、帰ろう!」
ナギを呼んだが返事がない。
おかしいな、今ぐらいのときはまだ診療所にいるはずなんだけどなあ。
中を覗いてみるがナギはいない。
部屋の様子を見るとナギが今日ここに来た痕跡はあるので私が訪ねる前にはいたようだが.......。
何か用事ができたのかな、でも予めわかってたら朝私に教えてくれるはずなんだけどなぁ。
ざっと見回したが手掛かりになりそうなものは特になかった。
仕方ないので1人で家に帰ろうとした時ー。
ガシャン。
「!?」
何か、金属が擦れる音が聞こえた。
「な、なになに!?」
周囲は無人、ここに居るのは私だけ。
本来ならきこえるはずのない音がこの空間のどこかから聞こえた。
「………」
気の所為、ということにしたい。
そもそも、金属なんてどこにあるんだよ。
うん、気の所為、幻聴、聞かなかったことにしよう。
ジャラ、ジャラ。
やっぱり聞こえるー!
どこから!? どこから聞こえるの?これ!?
気の所為では許してくれないようだ。
壁に耳をくっつけたり色々試してみるとどうやら床の下から音が聞こえていることが判明した。
てか床の下って何!?
このまま放置するのも怖いし、何よりこんな危険な場所にナギを居させ続けるのも怖いので家宅捜索を続行する。
30分後
あらかた調べ終わりあとは机の下を残すのみとなった。
机の下に潜り床を叩いてみるとそこだけ他と異なる材質だった。
詳しく調べてみるとその部分だけ床板がはずせる、蓋のような構造になっていることが分かった。
「………」
家主不在の元、家探しの挙句勝手にいじってもいいのだろうか。
今更かもしれないが、一応同居人と言えどプライバシーは尊重されるべきな気もする。
でも、もしここで見ないふりをしてナギに何かあったら私はずっと後悔するのだろうな。
ナギに危害が及ぶようなことがあったら、私はー。
「そんなのいやだ。怒られるより、ずっとずっと嫌だ」
「.......あーもう考えても仕方ない!確認しよう!ばれたら謝る!はい決定!」
決心を固め、床板を外してみると、そこには地下に続く階段があった。
私は部屋にあったマッチで燭台に明かりを灯し、隠し部屋へと続く階段を降りていった。