何者なんですか?
しばらく進むと大きな通りに出る。
道の両サイドにはお店や建物が並んでおり、賑わっている。
その先に大きな建物が見えてきた。
全体的に白い建物で建物の端には塔のようなものが見える。
入口に馬が到着すると門番がアルに向かって会釈をしてゲートを開ける。
こんなに立派なところに入るの?と私は思う。
中は花と緑に溢れた庭があり、中央には噴水もある。
「なんて素敵な場所!」
すると耳元でアルが囁く。
「気に入ったようで良かった!」
えっ?それって…
「今ユーリの部屋を用意させるから待ってて」
そう言って馬から降りるアル。
私はこんなに立派なところにお邪魔するの?
アルに手を借りて私も馬から降りる。
「乗せてくれてありがとう」という気持ちを込めて馬の鼻?を撫でると擦り寄って来た!
可愛い!
そこに眼鏡をかけた初老の男性が現れる。
「アルフレッド様、そちらの方は?」
眼鏡の奥で目を細めるようにして私を見る。
そりゃそうよね。
私パジャマだし……浮きまくってるのはわかってます!
「こちらはユーリと言って、私の大事な人だから、セバス悪いけど部屋を用意してくれ。」
えっ?今なんて?
「この方が…アルフレッド様には本当にお相手がいらっしゃったんですね!」
セバスと呼ばれた人は急に態度を変えて急いで建物の中に入っていく。
いまいち状況が読めないのは私。
「ねぇ、アル?さっきのはどういう……」
「ユーリ、君はさっき俺のプロポーズを受けたから、、俺のフィアンセとしてここに存在する。」
はい?
フィアンセ?いつ!プロポーズ?
「いつ?わ、私プロポーズされましたか?」
アルはニヤリと笑う。
「俺のところに来るか?って言っただろ?」
ん?あれ?行くところがないなら…って流れの…
「あれですか…いやぁ~無理ありませんか?」
思わずジト目でアルを見る。
「気付いちゃったか?ユーリは鋭いな!」
「イタズラを見つかった子みたいな事しないで下さい。説明していただけますか?」
私はとりあえず聞く事にする。
「実は、縁談を無理やり入れられそうになってて、大事な人がいるからしない !と言い切って今回の任務に出て行ったんだよな…そしたらユーリに出会って…」
あはは…どっかで聞いた話だわ。
「アルは結婚したくないの?つまり…私に偽の恋人を演じてほしいって事?」
私は一気に思った事を言う。
「俺は…知らない女と結婚したいとは思わない。結婚相手は自分で見つけたいんだ。
ユーリに偽の恋人を演じてもらいたいわけじゃないんだよ。」
偽の恋人じゃない?
じゃあ…考えてる最中にセバスが来る。
「お待たせしました。ユーリ様はこちらへどうぞ。」
ユーリ様?ちょっと待って…もしかしてアルって偉い人?
不安な顔をしていたのかアルが私の耳元で囁く。
「大丈夫。君は行くところもないわけだしね。俺が責任を持って面倒をみるよ。」