魔王との出会い(二)
多分これからの投稿は、毎週2〜3回になりそうです。(曜日はまだ決まっていません)
ですが、徐々に更新を増やしていく予定であります
追記 すいません、第2部で山賊という表記がありましたが、盗賊に変更しました。
自己紹介が終わり、俺はリリィに聞きたいことがあったので聞きてみた。
「あのー少し質問してもいいですか?」
「何じゃ?申してみろ」
「リリィ様って魔力がとても高いんですよね?」
「フッフーン、そうなのじゃ! 我はこの国で一番なのじゃ!」
「では何故、今までそんな魔力が有るのに人間界への影響が無かったんですか? 何故、貴方が魔王になってから人間界に魔物が侵入してきたんですか? 魔力が影響しているんですよね?」
ーーー確か、魔王の影響で人間界に魔物が侵入して来たんだよな
するとリリィは、こんなことを言い出した。
「ん? なんの事なのじゃ? いくら我でもそんなこと出来るはずなかろう。他の魔王も例外では無い」
ーーーへぇー魔王って他にもいたんだな。………って、魔王は関係ない!?
「っ、一体どういうことなんですか!?」
「そんなもの知らぬ。………それよりその話は本当か?」
そうリリィが言うと、リリィの雰囲気がガラリと変わった。
ーーーこれが、魔王。………さっきまでのリリィ様と全く違う
俺の頬に汗が伝う。
「は、はい」
「どういう事じゃ? 鏡が消えて以来、人間界の様子は確認することは出来なかった。一体その間に何があったのじゃ?」
「俺はこの話を国王から聞きました」
「名は?」
「アルド・スーンです」
「ふむ、スーン王国か」
「あの、それが何か?」
「スーン王国は転移門完成させた国じゃ。それと何か関係しているかも知れぬ………」
ーーーやっぱりあの国……いや、国王達は怪しい
「ま、それについては後で考えるとして、お主に頼みがあるのじゃ!」
「頼み?」
さっきまでの雰囲気とは一変して、努めて明るい口調で俺に言ってきた。
「この国に新たなダンジョンが発見されたのじゃ。そこを攻略してきてほしいのじゃ」
「は!? なんで俺なんですか?」
「アルバートから聞いておるぞ? お主、あの森にいたそうじゃな?」
「はぁ、森にはいましたけど……」
「彼処は詳しくは言えないが、この国では極秘扱いとなっておる。それこそ、知ってしまった者には死が与えられる程にな」
「なっ!?」
ーーーそんなやばい所だったのか!?
「お主はこのままじゃと死刑は確実じゃろうな」
「し、死刑!?」
まさか自分が死刑の対象になるなど思いもしなかったので、嫌な汗がダラダラでる。
「うむ、そこでお前に生き残るためのチャンスを与える事にした」
「それが、ダンジョン攻略……」
「そうじゃ」
「一体どれくらい危険なのですか?」
俺の質問に、答えず俯いてしまった。
「……………」
「っ、答えてください」
「ほぼ確実にお前は死ぬ。百人編成の軍で行っても、半分も攻略出来んだろう」
「そんな」
「我とてこんな事はさせたくない……しかし、我はこの国を統べる魔王じゃからな」
「リリィ様……」
ーーーそうか、彼女も一国の王だ。王は王らしくあるべきでないといけない
多分彼女にとって苦渋の選択だったのだろう。
ーーー仕方ない、俺も腹を括るか……
「分かりました。精一杯足掻いてみせましょう」
「そうか……じゃ、じゃが、攻略してきた暁には魔界での安全な生活を保証しよう!!」
ーーーおいおい、そんな顔すんなよ
リリィは無理矢理笑おうとしたが、その顔は酷くぎこちない。
「えぇ、約束ですよ」
「あ、あぁ、うっ、やくっ、そく、じゃからな」
リリィは、驚く程綺麗なその蒼い目いっぱいに涙を溜めていた……だが
「うっ、うぁぁぁぁん!」
とうとう堪えきれずに可愛らしい顔をぐしゃぐしゃにして泣いてしまった。これで今日二度目だ。
「どうして泣いているのですか?」
と、あえて俺が問う。
「うっ、だって……」
「だって、何ですか?」
「だって! 初めてあんなに楽しく話すことが出来たのじゃ!なのに……もう居なくなってしまうのじゃ……初めて友達が出来ると思ったのに……」
ーーーなぁんだそんな理由か
「何を言っているんです? リリィ様」
「うっ、ひぐっ、うぇ?」
「なら今、俺と友達になりましょう」
「っ、ほんとか?」
少し表情が晴れるリリィだが
「………じゃがお前は生きてここへ戻ってくることはできないのじゃ」
「いいえ、俺は死にはしません」
「何故そんなことが言えるのじゃ?」
「大事な友達を置いてぽっくり死ぬわけにはいかないでしょう?」
「そ、そうか/// 大事な友達か……えへへぇ///」
そう言われ、だらしなく顔が緩むリリィ。
「えぇ、だから簡単に死ぬわけには行かないんですよ。それも魔王様が友達なんですから死んだあとの方が怖いですよ」
「本当に戻ってくるのか?」
「はい!」
「本当か?」
「勿論!」
「本当に本当か!?」
「はい、必ず戻ってきます」
「そっかぁぁぁぁ!」
パァァァァ! っと満面の笑みを浮かべるリリィ。これも本日二度目だ。
ーーー前にこんなやり取りしたような気がする……でもこの約束は絶対に守り抜いてみせる! 大事な友達のために!
大切な友のために。そうアカネは決意した。
「魔王様、出発は何時にしますか?」
アルバートが問う。
「アカネに任せよう。どうする? アカネ」
「明日でいいですか?」
「明日か……そうか」
リリィは俯いて表情を暗くしてしまう。
「言ったはずですよリリィ様、俺は必ず戻ってきます」
「そうじゃったな、これでは魔王失格だな……では津田朱音よ、そなたにダンジョン攻略の任務を依頼する!!」
「では行ってきます。リリィ様」
「友達なのに様付けはよさんか」
と、不貞腐れたように言う魔王様。
「分かりましたよリリィ」
「敬語もいらん」
「んじゃ、行ってくるぜリリィ!」
「うむ!」
ドアが締まり、アカネとアルバートが退室した。
「……達者でな。我が友よ」
一人になったリリィが小さくそう呟いた。
いつも読んでいただきありがとうございます!
明日更新です
初めてブックマークをして頂きました! ありがとうございます!!
次から個人的には結構面白くなる予定ですが………どうなんだろ?