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 「へ、変態の森とは?」


 リリィは明らかに困った顔をしている。


 「森の主……というか、彼処のオス連中が変態なんだよ」


ーーー全部とは限らないかもだけど


 「それはお主が言えたことかの?」

 「おいおい、それは心外だぜ」


 やれやれと首を振る。


 「……んまぁ良い、して、あの森の謎は解けたかの?」

 「ああ、彼処は確かにダンジョンだったよ」

 「ほうほう! どんな感じじゃった?」


 興味津々と言った様子だ。


 「んー、あれ? ヴァンピィは? あの子にも話したかったのに」

 「ふふっ、ヴァンピィなら満腹で眠ってしまったようじゃぞ」


 見ると、食堂の椅子が一つ一つ大きいため、ヴァンピィが椅子の上で丸くなって寝ていた。


 「どうりで見えなかったわけだ」


ーーーって、さっきまで寝てなかったか?


 「じゃいっか。結局あの森はダンジョンだったって話からだよね?」

 「うむ」

 「確かにダンジョンだったんだけど、それを発見するまでが大変だったんだよ……」


 思い出したら自然とため息が出てくる。


 「い、一体何があったのじゃ?」

 「んとねーー」


 

 ▽


 「そ、それは大変じゃったのう」


 発見までの道のりを説明し終えると、リリィがなんとも言えない表情をした。


 「うん、そこからダンジョンに入っても、魔物魔物魔物魔物魔物魔物……もうほんっとにうんざりだったよ!」

 「わ、わかったから落ち着け!」


 少々取り乱してしまった。


 「こほん、それからようやく休めて、さあ出発だ! ってなった時……“ヤツが出たんだ”」

 「ヤツ?」


 最強の生物……鹿(ホルン)に遭遇したんだ。


 「つまり、そこを守護する魔物だったということかの?」

 「うん」


 と言った所で、俺は思い出した。


 「あれ? でもあいつは目が普通じゃなかったんだよ」

 「普通じゃなかった? 一体どういうことだ」

 「青かったんだよ、普通は赤いのに」

 「あ、青いだと……!?」


 俺の言葉にリリィが驚いたと思ったら、直ぐに顎に手を当て考え始めた。


 「青い……青いとは一体……でも……いやまさか……しかしそれでは説明がーー」


 ぶつぶつと呟きながら、真剣にあーでもないこーでもないと悩んでいる。



 そして三分位が経ち、突然、ばっと顔を上げ、


 「我は一度だけ、古い歴史を綴った本を読んだことがある」


 と言ってこちらを向いた。


 「その本にはこう書かれていた」


 

 “魔界”に生息する“魔物”


 それには“他の生物”と同様に“長”が存在する。

 魔物達はその長に従い、群れをなしている。

 だが、魔物の中でも単独で行動する魔物がいる。


 “神獣”である。


 神獣は、群れをなすことはせず、一生をある事に費やす。

 その為に神獣は誕生する。


 “ダンジョン”にある“宝物”守護する、“守護者”を全うするために。


 宝物は魔界に数多くあるダンジョンのうち、五つのダンジョンにある。

 その宝物一つ一つが強力な力を宿し、最悪、魔界を崩壊させかねない。

 故に神獣は宝物を守護し、ダンジョンに立ち入るものを問答無用で排除する。


 しかし、そんな単独で生きる神獣にも、やはり一応、長となるものが存在する。


 それを“王”と呼び、魔物の象徴である赤い目は、青くなっている。それを“王の眼”と呼び、数百年に一度産まれてくる全ての生物の中から、一つだけそれを持つものが現れる。  

 王は、兎だったり熊だったりと様々変わる。


 王も神獣と同様に宝物を守護しているが、ある違いがある。


 それは、王が認めたものならば、王が守護する宝物を明け渡してもいいという権利があるようだ。ちなみにこれは過去に、ある冒険者から聞いた“実体験”だ。


 そして今日(こんにち)も、守護者達は宝物を守り続けている。



 「といった感じにな」

 「ふーん」


 正直、色々情報が多くてあんまりついていけなかった。


 「お主が宝物を手に入れていたのなら、その説はほぼ確実に成り立つのに……」

 「あるよ、それ」


 と言ってポケットから、ルビーのような宝物をを取り出す。


 すると、リリィの目が大きく見開かれた。


 「こ、これが宝物か? 我も初めて見るが……」


ーーーあれ、見せていいのかな? 選ばれたやつがどうのこうのとか説明あったけど


 「まぁいっか、リリィだから」

 「おぉ……」


 まだ宝物に夢中だ。


 「げふん……リリィ、この宝物の力って教えた方がいいの?」

 「へっ? あ、ああ勿論だ」


 言われたので俺は、リリィの背後をイメージして、唱える。


 「“転移”」


 一瞬でリリィの背中が見えた。


 「なっ、アカネが消えた!? どこじゃ?」


 すぐ後ろにいるのに気づかれない。


ーーー影薄いのかな……俺

 

 そう悲しく思いながら、リリィの肩をトントン。


 「うひゃあああああ!」


 飛び上がるリリィにこちらも驚いた。


 「い、いつの間に!?」

 「これが宝物の力、転移。一度行った所なら一瞬で移動可能」

 「はあ!?」


 俺と同じ反応だ。


 「す、凄いな……」

 「だろ? えっと、これってリリィに渡した方がいいかな?」


 そう聞くと、少し考えたリリィは、


  「いや、お主が持っていろ。我だと城を勝手に抜け出す訳には行かん」

 「わかった」

 「それと、話は変わるが夏休み、明日で終わるぞ」

 「はぁ!? 始まったばっかじゃん!」

 「当たり前であろう。今の時代、学生とて気を抜きすぎてはいかん」

 「そ、それ言われたら……納得するしかないじゃん」

 「ちなみに、テストもあるからの〜」


ーーーまじかよ……


ーーー《今度は”焔“でも出します?》


 「絶対にやりたくない!!」

いつも読んでいただきありがとうございます!

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