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仲間


 「……ん、 ……くん!」



 後頭部が柔らかな感触に包まれている。どうやら誰かに寝かせられているようだ。



 ーーー……誰だ?



 失っていた意識が、何者かによって覚醒される。



 「ツダ君!」

 「れしふぁ、さん?」



 未だぼんやりとした視界でも分かる、艶のある美しい黒い髪と聞き覚えのある声にその名を口にする。



 「あぁ、よかった……」



 心底安堵しているようだ。


 だが、状況がイマイチ掴めない。



 「どうして……」



 そうだ、俺は誰にも気付かれない程存在価値が薄れているはずだ。   

 なのに何故彼女がいるのか。



 「貴方の味方皆が助けに来たわよ」

 「え、」



 そう言えば今も敵からの攻撃は受けていない。



 ーーーうそだろ



 見渡すと、本当はここにいるはずのない、チームメイトや大会出場メンバーの先輩達が敵の攻撃を食い止めていた。



 「こ、これってどういう……」

 「ミカさんが教えてくれたんです」



 ゼシュの魔術の発動によって、離れていたミカが魔力の流れを感じ取り皆に俺の危険を知らせたという。



 「どう、感謝したい?」



 起き上がった俺の横に、ひょこっとミカが登場。



 「えぇ、言うまでもない。ミカさんは命の恩人です。ありがとうございます……!」



 頭を下げると、ミカがたじろぐ。



 「え、えぇと、改まって言われると照れるなぁ……えへへ」



 和やかなムードに包まれる。


 が、今はそんな時では無い。  



 「敵の数は大分減りましたね」

 「だね、でも減ってるだけじゃなくて寧ろ増えてるっぽい?」



 ゼシュは戦いながら味方を増やしているらしい。



 「じゃあゼシュを倒さないとだめですね」

 「うん……でも、アイツは恐ろしく強い。多分今戦ってる生徒会長よりもずっと」



 生徒会長も、キリのない敵の数に体力も大分削られている様子。



 「他の皆も持たないみたい」

 「なら、すぐそこの隊長達に助けを……」



 言い終わる前にミカが首を振る。



 「ここはもう檻の中みたいなもの。どう足掻いても私達じゃ出られない。そして誰にも気付かれない……それにフィールドに入る前に彼に気づかれて、いつの間にかここに閉じ込められちゃったからもう手遅れってね」



 どうやら、ゼシュを倒す以外の方法はないらしい。


 ゼシュはひとり佇み、戦いを愉しそうに見ている。



 「ラァッ!」



 レオがゼシュへ、極太い光線を放つが、新たに山のように生み出される敵にが壁となり攻撃を受け付けない。


 

 「クククッ」

 「ちぃ!」



 直後にレオへ敵が襲いかかる。



 「クソがァ!」



 纏めて敵を倒すがキリがない。レオの体力の底はもう近い。



 「俺、行ってきます!」

 「無茶よ!」

 「それに、ゼシュには近づくことすら出来ないんだよ?」



 それでも俺は何もしないで終わりたくない。



 「……!」

 「ツダ君!」



 走る。目標はゼシュただ一人。アイツをぶっ倒せばいい。ただそれだけだ。



 ーーーなんか、気が楽になってきた



 一度に襲いかかる敵の数は恐ろしい程。



 「ふっ、」



 ーーー倒しても意味が無いのなら、そのまま突っ切る



 敵の攻撃を縫うようにくぐり抜け、ゼシュの間近まで迫る。



 「さぁ、どうかな?」



 まるでボス直前の試練のように、立ち塞がる敵の山。



 「意味ないさ」



 数は多くても、弱いのならどうて事ない。


 レヴィひとりより楽だ。



 「ほっ、はっ」



 避ける。進む。避ける。進む。   


 そして、



 「来たよ」

 「ぐぁっ!」

 


 腹を蹴り、雑魚も巻き込みぶっ飛ばす。



 「ぐっ!」



 ゼシュの武器の影響で反動が生じる。



 「先ずは……その武器からだな」

 「なっ!」



 見えたか? いや見えまい。



 「“神速”」



 そう、覚えのある単語を呟く俺の手には、ゼシュの持っていた斧が握られていた。

いつも読んでいただきありがとうございます!

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