目を常に閉じているキャラは大体強いって皆知ってるよね
ーーー魅惑の戦場、か
またフィールドへ干渉する魔術。
ーーー流れで行くと、アイツもフィールド系の魔術を使うと思うんだけど……
俺はチラリとレヴィに目を向ける。
ーーーん〜、アイツはアイツで魔王軍の隊長だからなー……わからん
と、レヴィが俺の視線に気が付き、ニコッと輝かしい笑みを向けてくる。
思わず釘付けになるが、ブンブンと首を振って無理やり意識を逸らす。
ーーーいかんいかん、それよりレオの試合に集中しないと!
見ると、レオが盲目の男に属性弾を連射していた。
「ちっ、これもダメか」
舌打ちをするレオ。
同時に、土煙が晴れ、そこからは命中した筈の男が悠然と佇んでいた。
「ふむ、威力と発動速度は並外れていますね」
「そう言っておきながら無傷とはな」
薄く微笑む男に、レオは久々に背後がゾクリとする感覚を味わう。
「おや、恐怖を感じているな」
瞬間、先程まで正面にいた筈の男の声は、自分の耳元にねっとりと響く距離まで近づいていた。
「なっ!?」
声を上げて驚くのも久々だろう。
無理もない。
男は高速で移動したのではなく、“転移”したのだから。
「恐怖を感じている……いいですね、まだまだ伸び代を感じる」
一体この男は何者なんだ。
同じ位の歳のはず。だが、彼の言葉はヤケに重みがあり、諭されている気持ちを覚える。口調がはっきりしないことはともかく。
レベルが違う。
初めて体感する圧倒的な力。
恐らくこれ以上攻撃したとしても、相手には何のダメージも与えられないだろう。
感じているのは、恐怖……
それと、
「くくっ、ふっ、ははははっ!」
面白い、ならば存分にぶつけてやろう。
彼の好奇心と、対抗心に火がついた。
「ほほぅ、これはこれは……」
男は感嘆を上げ、一層笑みを深める。
「貴方の全力を見せてもらいましょう」
両手を広げ、さぁ来いと言わんばかりの仁王立ち。
「だァッ!!」
男へ走り出す。
「何? 近接戦に持ちかけるのか」
レオが放つ連撃は、彼の回避能力に、虚しくも空を切るばかり。
「では、次お願いします」
速度が衰えたところで、男がレオの鳩尾に手のひらを当てる。
「うぐぅ!!」
近距離からの魔弾に、思わず膝をつく。
「やけクソな攻撃ほど、避けやすいものはない」
傍から見れば、稽古をつけているようにも見えるこの戦い。
「ふんッ、言ってろ」
ゆっくりと立ち上がったレオは、髪をかきあげて言う。
「いいですね、まだ元気がある」
男の言葉を無視し、両手に魔力を込める。
「ハァアアアアアアッ!!」
「む?」
レオの掌から浮き上がるのは、凝縮された高圧力の魔力。
「アァアアッ!!」
それを握りつぶすと、魔力は全身にまとわりつくように広がり、それはまるで鎧のように彼を覆っていく。
「魔装・純光ッ!」
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