決勝です!
『いよいよやって参りました! 今年の王国トップの学校を決める大会もいよいよ本当のクライマックスだァ!!』
「すげぇ……」
これまでの予選から準決勝までの会場の雰囲気は一変して、無機質だったフィールドには、様々な学校の生徒がさらに盛り上げようと個性豊かな踊りやパフォーマンスを繰り広げている。
「余計な催しね」
サラブレが腕を組み、呆れたように言う。
「言ってやるな、彼らもこの催しの為に日々準備をしてきた事だろう」
「俺は見てて楽しいですけどね」
俺とレオのフォローにサラブレは面倒そうにため息をつく。
パフォーマンスは佳境に入り、最後は花火が打ち上がり終了。
「おぉ〜」
思った以上のクオリティに感激した。
『それでは選手の皆さん、フィールドへどうぞ!』
「えっ、あ、行く?」
「ああ」
イマイチ流れがわからない。
壮大なBGMと共にフィールドへ向かう。
『たった今! 厳しい戦いを勝ち抜いてきた正真正銘の、強豪校が相見えました!』
改めて緊張で手が震える。
『まず選手のご紹介を行います!』
ーーーまだ始まらんの!?
『センス学院から……圧倒的火力と機動性で場を掌握する、超エリート! レオ・ライオネル!!』
歓声が上がる。うちの学院の生徒も本日はほぼ全員応援に来ているようだ。
『続いて……落ちこぼれと蔑まれ、だがここまで這い上がってきた異色のダークホース! ツダ・アカネ!!』
ーーーおいおい、なんか一部だけ盛り上がり無いんすけどー
未だに俺はクラスからの嫌われ者らしい。
『さて最後は……常に瞬時な状況判断で最適解を導く、冷静沈着の秀才! サラブレ・リーロー!!』
姫カットの美しい勝色をなびかせる。
ーーー結局デレは無かったな
忘れ去られていると思うが、サラブレの初見の印象は、“ツンデレっぽい見た目だ”と期待に胸をふくらませていた。
「これはこれでアリですけどね〜」
「なに」
「あーいえいえ」
彼女の視線がグサグサと刺さって痛い。
▽
ミラ学院の紹介も終わり、いよいよ、遂に、満を持して、決勝が始まる。
『それでは各選手、前へ!』
初戦はサラブレが戦う。
ーーー相手は……うわっ、あの人かよ
ピエロに近いメイクを施した奇抜な選手。顔では性別の判断がつかないが、お胸の膨らみが無い限り男とみて間違いないだろう。
『両者構えて……』
あの様な奇妙な選手でもサラブレは動じていない。
『始めェ!!』
先手を行くのはサラブレ。
「閃ッ!!」
サラブレの光速の如き手刀。これには不意をつかれて、相手は驚きの表情と共にダウン……
だが、
「……♪」
ーーーこれは決勝、そんなに甘ったるい相手はもう居ない
消えた。まるで始めから存在すらしていなかったかのように。
「ふぅ……」
一体どんな心情なのか、サラブレは大きく息を吐いたあと、目を閉じ、その場に立ち尽くしている。
「……♪」
異様な空間の中、声なのか判断できない“何か”が響き渡る。
いつも読んでいただきありがとうございます!
※お知らせ
37話部分の『津田朱音』
38話部分の『津田朱音とツダアカネ』
107話部分の『女の戦い』
を規制の都合上、表現を比較的柔らかくして修正致しました。