っと、その前に準決勝あるやんけ
控え室には既に、レオとサラブレが作戦会議をしていた。
「遅い」
「ごめんなさい!」
急いで俺も合流。
ふと周りを見ると、三学年はいるようだが、二学年がいない。
ーーーいつもだったら、ウザ絡みしてくるあの人が今日になっていないな
「二学年はもう間もなく試合だ」
流石レオ。俺の考えていることが何故わかる。
「そうなんですね〜」
「それより、私達もゆっくりしている暇はないわよ」
「そうだな。アカネ、遅れたお前にもう一度今回の相手を確認する」
前にも遅刻して、こんな風に作戦の確認をしたことあった気がする。だとしたら、尚更申し訳ない。
「今回の相手は、べヒム学院。守りを固めつつ、隙を見て強力な一撃を与える戦いを主としているようだ」
「今まで私達は、風変わりな戦い方の学校と多く対戦してきたけど、今回みたいに確実に相手を仕留めにくる敵はかなり苦戦を強いられると思うの」
「だから今回は、相手の守りを崩すか、相手の攻撃をいかに防ぐかがポイントになっていくわけですか?」
その戦い方だと難しいな、とレオが言う。
「相手の守りは恐らく相当なモノだろう。現にここまで駒を進めているという事実がそれを如実に表している」
「そして、その事実を踏まえて、相手の攻撃を防いだとしても、攻撃を与えられないんじゃ、ジリ貧ね」
ーーーならどうすれば……
考え込む俺に、レオがヒントを出してくれる。
「鉄壁の守りだったら、守っている間は動きが鈍いはずだよな」
「あっ、わかったかも」
「試合前だというのに楽しそうね」
はしゃいでいるように見えたのか、サラブレが呆れたように言った。
「えっと、相手が鈍いってことは攻撃が俺たちに当たらない。ということは、キレのある動きを出すためには守りを解かなければいけない。その解いた隙を突けば――ってことですね?」
レオが頷く。
「アカネ、サラブレ、勝てば次は決勝……このまま優勝まで突っ切るぞ」
▽
『さぁ、やって参りました一学年準決勝! 対戦します学校は、流石名門、ここまで上り詰めることなど朝飯前! 絶対王者、センス学院!!』
割れんばかりの声援が会場を揺らす。
『対するは……守って守ってそして突く! 彼らと戦ってきた相手は尽くこの動きに翻弄された。この戦法が実は一番強力なのかもしれません!! The堅実、べヒム学院!!』
男男女のパーティ。ゴリゴリのマッチョマンを想像していたが、実際を見ると、至って平均的な体格。
ーーーん〜、てことは盾とか? そんなの使う感じかな
準決勝の二つ前の試合から、出場選手は試合を観戦できなくなったため、情報無しからの戦いになる。
『各選手前へ』
初めは俺が戦う。相手は清楚な黒髪のストレートの女子。
『両者構えて……始めぇ!』
先ずは俺が早速攻撃を打ち込む。
魔力弾を一発放つ。
「反射的防御」
弾が届く直前、彼女がそう呟いた気がした。
途端、目では到底捉えることが出来ない速度で振られた、彼女の腕が魔力弾を防いだ。
ーーーそれに腕は無傷ときたか
それならと、十発程度連続で放つが、同様に、高速に動く腕で全てを防がれてしまう。勿論腕は無傷。
「もうちょっと腕遅く出来ませんかね?」
冗談交じりでそう言ってみると、
「お断りします」
と丁寧に切り捨てられた。
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