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リリィ砲


 「ふわぁ……」



 昨日は大変な一日だった。しかしお陰でぐっすりと眠ることができた。


 

 「殺されかけたんだよなぁ」



 壮絶過ぎる一日だったため、未だ実感が湧かない。



ーーーてか、よくよく考えると、なんで殺し屋がこの大会出場出来たんだよ



 そんな時に現れるのが、



ーーー《私が説明しましょう》



 クレペディア



ーーーおなしゃす



ーーー《この国の学び舎は、規模は違えど実は千を軽く超えています》



 早速目を剥く。



ーーーえっ!? 魔術大会出場校の何百倍もあんのかよ



 正直、全ての学校がこの大会に集結しているものだと思っていた。



ーーー《あの大会に出場できる学校は、国から優良な教育を施していると認められた校のみなのです》



ーーーへぇ〜



ーーー《それで、ここから面白いのですが》



ーーーな、なんだ?



 リリィの面白い発言は、こちらにとって洒落にならない事件が始まるフラグだ。



ーーー《“学び舎”という括りは、生徒を学ばせるという条件が合えば、当然学び舎として認められます》



ーーーおう



ーーー《そして今回の殺し屋の三人は、マスターと格闘した男を師とした二人の弟子で構成された組織と見られますね》




ーーーてことは、あの殺し屋も学校という組織に入るということか



ーーー《因みに存じているとは思いますが、殺し屋の組織は思いのほか勢力が大きく、数多く存在しております》



ーーーやっぱりね〜、だと思ってたわ



 ぶっちゃけ初耳。頭痛くなってきた。



ーーー《話を戻しますが、殺し屋を魔術大会の出場を許可したという事は、この大会関係者……更に言えば魔王かその直属の配下、またはその両方……最悪、国ぐるみで暗殺計画を実施したと考えられます》



 「ふぅ〜……」



ーーー大丈夫、あんまパニクってない



ーーー《あら、面白くないですね》



 この方は本当に俺の不幸が大好物なようだ。

 


ーーー取り敢えず、暫くは襲われずに済みそうだから落ち着ける



 返り討ちにしたんだから、警戒して下手に手を出してこないだろう。そう言い聞かせ、自室を出る。




 ▽



 「おは……って、そうか」



 準決勝ということで、何かあるのか、いつものようにヴァンピィを連れて、本日はいつもより早く城を出ている。



 「おっ、うまそ」



 有難いことに、朝食を用意してくれていた。



 「うめぇ〜!」



 冷めても別の旨みを引き出すのがリリィの料理。



 本日は朝からハンバーグ。普段は閉じ込められた肉汁が、口の中で広がるのだが、これは噛めば噛むほど染み出す肉の旨みが堪らない。



 「んじゃ、行くか」



 気分よく、城を後にしようとした時、




 「アカネの、バカぁあああああああああああぁぁぁ!!」



 突然のリリィと思わしき声主の叫びと、門を出た俺を目掛けて迫り来る黒い光線。




 「なっ……シールドッ!」



 地球に存在する、ライフル銃一発を凌ぐ盾を何重にも重ねて身を守る。



 「くぅぅ……っ!!」



ーーーつぇええ!



 バリバリと盾が破られていく。



ーーーこのままだと死ぬなこれ……




 そして、残りの盾が数枚となった時、



 「消去デリートッ……」



 威力の弱った光線を、己の魔力で強引に包み込み、圧縮。



 「はぁ、はぁはぁ……」



ーーーっぶねぇ……




 何とか持ちこたえることが出来た。



 「にしても、誰だこんな馬鹿みたいな攻撃してくるやつ」



 土煙に現れるのは小さな影……



 「あはは……まさか、そんなことないよな」



 淡い希望は虚しく崩れ去る。



 「グスッ……アカネは大馬鹿者なのじゃぁ」



 攻撃の正体は、何故か涙で顔を汚したリリィであった。



 



いつも読んでいただきありがとうございます!

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