3日目やで〜
「もう朝かぁ〜」
目覚まし無しで早起き。欠伸をひとつ。重たい瞼を一生懸命持ち上げる。二ミリほど開いた。視界は良好。
「ねむーい……」
目をゴシゴシ。半分開いた。
いつの間にやら一緒に寝ているを天使撫で撫で。
「おはよー俺氏」
カーテンをシャー。日差し眩しい。すぐ閉める。
「おやすみ天使ちぅわぁん」
天使にお布団掛け直し。部屋を出る。
「リリィおはよー」
「おはよ……って、此処は洗面する場所ではないぞ」
「あらー、これおしぼりか」
「まったく寝ぼけおって……さっさと目を覚まして来るのじゃぞ」
食堂でした。洗面所行ってきます。
「ちべたーい」
水ちゃぱちゃぱ。顔にちゃぱちゃぱ。顔拭き拭き。
「ふぅーい」
完全に目を覚ました。朝の早起きは中々辛い。俺より先に起きているリリィは大丈夫なのだろうか。
「つか腹減ったな」
地球での普段は朝に弱く、朝食も余り食べないのだが、リリィの作る料理は、匂いから一々食欲を刺激してくる。廊下を歩いている今も匂いが鼻腔に届き、腹が鳴る。
「おぉ、安定のハムエッグっ」
「しっかり食べて今日の試合に備えるのじゃぞ」
「これさえ食えば俺は無敵になれるな」
冗談を言いつつ、箸が止まらない俺は、早くも二杯目に移る。
「ンく……ごちそうさま。んじゃあ片付けたら行ってくるね」
「気を付けるのじゃぞ」
くそどうでもいい話だが、最近は、せめて自分の分だけはと、洗い物をするようになった。
「うし、それじゃあ行ってくるわ」
「行ってらっしゃーい」
「なの〜」
お寝坊天使登場。まだ眠たい目を擦りながら、開ききっていない反対の手をふりふりしてくれる。
「可愛いは別腹」
極めて謎な発言を残し、俺は会場へと出発する。
▽
「ギャイギャイ」
何となくベスが居そうな適当な森へ入ると、運良くベスが現れた。
「よぉベス、お前ん家ここらへんか?」
「ギャイ?」
「ははっ、通じるわけねぇか」
キョトンとするベスの頭をわしわしと撫で、森を抜ける。
途中、取り敢えず手を振っておこうと思ったのか、ベスがギャイギャイと元気よく手を振ってきたのが可愛かった。
「準々決勝……クライマックスに近づいて来ましたね」
「びくぅ!!」
ぼーっと歩いていたら、急に後ろから耳元で誰かが囁いた。
危うく腰を抜かすところだった。
「やっほ、モブ君」
「その呼び方……やっぱりミエさんか」
自分の存在価値をコントロールできるかなり凄い人。
実は校内予選の後、気に入られたようで、しょっちゅう彼女に話しかけられ、そしてからかわれる。嫌ではないが、普通に接して欲しい。
「どう、調子は」
「バッチリっすね」
「みたいだね」
「え?」
何故わかるのだろう? そう思っていると、ミエは徐ろに通りすがりの人にデコピンを食らわす。しかもその人物は中々の強面でガタイがいい。
「いてッ」
「ちょ、何してんすか」
ーーーあーあー、あの人結構怒ってるぞ
「おいてめぇ!」
見ているだけで竦み上がりそうになるというのに、ミエ本人は余裕そうな表情。
「返事しろやゴラァ!!」
「マジで謝った方がいいですって!」
必死でミエを説得するが、当の本人はニヤニヤが増すばかり。
「流石に舐めてますってそれは!」
「舐めてんのはてめぇだゴラァ!!」
「いや俺ぇ!?」
そういえば、からかわれっぱなしだったことを忘れていた。
極限まで影を薄くしたミエはデコピンした罪を俺へと移したのだ。
「ひぃぃい!!」
そして現在、必死で逃げ回っております。
▽
「こ、ここまで来れば大丈夫っしょ……」
気がつけば会場に到着していた。
「アップ完了だね」
「ひでぇよアンタ……」
「あっははは!」
会う度に毎回こんな事されて、よく怒らないな俺。と感心する。
『えー、まもなく会場準備が整いますので、選手の方は控え室でお待ちください』
「あっ、そろそろ行きますね」
「もう行くんだ」
「もう行くんですよ」
「んじゃあ、一言」
「ん?」
なにか応援メッセージでもくれるのか。
「ゼシュって奴には気を付けてね」
「……」
珍しく見るミエの真剣な表情に、ゴクリと唾を飲み込む。
「まっ、それだけねー、がんばってね」
「う、うっす」
完全にフラグが立った今、俺は脳内シュミレーションする事で精一杯であった。
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