俺、いつの間にか魔人になっていましたw……笑えねぇよ!!
「早速だがアカネには、我が国の魔術学院へ入学してもらうのじゃ!」
ーーー早速すぎんなおい
「なんで?」
「お主はまだ子供じゃろう?」
「リリィもな」
「う、うるさいのじゃ! 我は魔王だから良いのじゃ!」
「分かってるって」
「本当かのう?………まぁ良い、お主にはこの世界での暮らし方を学んで欲しいのじゃ」
疑うことをやめたリリィがその目的を説明した。
「でも、それはここでも出来るんじゃないか?」
「いや、それだけでは無い。お主と歳の近い者達と関わり、共に学んで欲しいという事もある。……我にはそれが出来なかったからの」
ーーーなんか、悪い事した気分だな……
「つーか、俺と同じくらいの歳って言っても何歳くらいなんだよ」
俺は話題を変えるためにそう聞いた。
「四百八十歳くらいじゃな」
ーーー大先輩じゃないっすか……
ーーー《いえ、魔界の人々は人間とは違い寿命が長いのです。大体三十倍ですね》
ーーーという事は人間で言うと……十六歳くらいってことか?
ーーー《そう考えて良いでしょう》
ーーーじゃあリリィは十二歳くらいって事だから………お! まだ成長する希望があるじゃないか!
と、希望が見えてきたところでクレルが
ーーー《いえ、魔人は魔力の質の影響で人間年齢で言うと十八歳から四十歳くらいまで見た目は変わりません。それにリリィ・サタンは、魔力の質が魔人の中でもかなり高いのでもう暫くは成長しないでしょう》
その希望をバッサリ切り捨てる。
ーーーそれってどのくらい?
ーーー《大体後千四百年ですね》
ーーー千四百年……すまねぇリリィ、どうやら俺はとんでもねぇ嘘をついてしまったようだ。せめてお前が大人になった姿を見てみたかったぜ……
ーーー《心配いりませんよ。マスターは見た目は人間でも、中身はもう魔人なのですから寿命はかなり延びていますよ》
ーーーふ〜ん、魔人ねぇ〜…………
「はぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!」
ーーーはぁぁぁぁぁぁぁあ!?
思わず声も出して叫んでしまった。
「!? ど、どうしたのじゃ!? アカネよ!」
いきなり叫んだ俺にビクッとしたリリィが問う。
「へ!? あ、あぁ、なんでもない……悪い、ビックリさせたな」
「本当に大丈夫か? すまんのう、ダンジョンから帰ってきたばかりじゃと言うのになかなか休ませてやれなくて……」
「ん? いや、別にそこまで疲れてねぇよ。ちょっと驚いただけだ。心配すんな」
「そうか、魔人は人間と比べて寿命が長いからの。それにしても、驚くタイミングが少々遅いのじゃな。我もビックリしたのじゃ」
「マジでゴメンなさい」
「まぁ良いのじゃ」
ーーーふぅ……って思わずマジで叫んじまったじゃねぇか!
ーーー《全くです。これではいきなりトチ狂って発狂してしまった様に思われますよ》
ーーー誰のせいだよ誰の!!
ーーー《はて?》
ーーーて、てめぇ………まぁいい、取り敢えず説明してくれ
俺は一先ず怒りを抑えて聞くことにした。
ーーー《マスターが転移した時、我が神がマスターが生きられる環境の世界という設定で、この世界に転移させられたという事は伝えましたね?》
ーーーああ
ーーー《この世界には人間界と別次元の魔界があります》
ーーー魔界って別の次元だったのか……まぁそうだよな。そうじゃなきゃ鏡が見からなくてもその存在は知れていたし、何より魔力の質が人間界とは比べ物にならないらしいからな
ーーー《その通りです。話を戻しますが、我が神が見つけた『マスターが生きられる世界』という対象は、別次元でもある魔界でも適応されます》
ーーーうん。それで?
ーーー《ということは、魔界から見た人間界も別次元ですので質が高い魔界でも生きられる体になっている。つまりは、魔人と同等の、いやそれ以上の魔力を保有できるということなのです》
ーーーそれで俺が中身は魔人って事になったんだな。まぁ、それもそうだよな。普通の人間は魔界に入ることすら出来ないってことなんだからな
ーーー《はい、魔界に入った時点で気が付くと思っていましたが、まさかまだ気付かないでいたとは……それは……その……》
何故かいつも通り、速攻でズバッと毒を吐かない。
ーーーな、なんだよ……いつもみたいにはっきり言えよ。逆に怖いぞ
俺にとって、それは余りにも不自然であった。
ーーー《では、遠慮なく申し上げます》
ーーーこ、来い!
ーーー《呆れて物も言えません。前から思っていたのですが、やはりマスターは小学校、いや、幼稚園や保育園、いやいや、産まれる前から人生をやり直しておいた方が良いかもしれませんね。本当に何故魔界に来た時、自分に異変が無いのか不思議に思いませんでしたか? なんなのですか一体? 馬鹿ですか? いや、それは言い過ぎですね。では単なる鈍感なのですか? いえ、やはり単なる馬鹿でした。そうです。そうなのです! 私のマスターは馬鹿なのです! 大馬鹿なのです!! なので学院に入学し、その何も入っていない空っぽの頭に、沢山の知識を詰めて詰めて詰めまくって来てください!》
「ぐぼはぁっ!」
俺のメンタルのHPがゴリゴリと削れていく。
「なっ! 次は何が起こったのじゃ!?」
「い、いや、なんでもねえ………マシンガンを……俺の心で受け止めただけだ…………」
「!?」
何も知らないリリィは俺の言っている意味が全く分からなかった。当たり前だけど。
「俺、負けねぇからよォ…………」
「そ、そうか、一体何が起こったのかよく分からんが我はアカネの味方じゃからな。何かあったら我に頼るんじゃぞ!」
「そうか………頼む! 学院へ入学させてくれ!! もう、馬鹿は嫌なんだ!!」
「う、うむ、ちなみにその学院は我が国でも上位のところじゃ。しっかりするんじゃぞ」
「覚悟は出来た……」
こうして俺はこの国の魔術学院、センス学院へ入学する事になった。
いつも読んでいただきありがとうございます!
気が付いたらPVが1000超えてました! ありがたやありがたや………
これからもよろしくお願いします!