飛ばしに飛ばして、第一予選終わらせとくよぉ
昨日寝落ちし、開き直って本日の12時に更新しようと思ったらこのザマです。すいません。
――VIPルーム――
「あんたが期待してたミラ学院の相手、すこし呆気なかったわね」
「いやはや、まさかセンス学院のコも“神能”があるなんてね」
「そりゃ今回の大会は、神能所有者が最も多いって噂らしいじゃない」
神能……文字通り、神から与えられた異能。常人とはかけ離れた、魔術とはまた違う力を手に入れたものは、その事実に気づかずに生涯を終えることもある。
神能は、生まれつき又は、神の気まぐれによって手に入れることが可能だ。
「まっ、その神能を使いこなす奴を含めるとなりゃぁ、この大会にいるかいないか。いたりゃそいつは間違いなく天才だな」
ヘリィ、オーマン、オーガスの三人ががやがやと話する中、リリィが一言
「なぁお主ら、うちのアカネはお主らから見てどう思う」
一瞬場が静まり、オーガスが先に口を開く。
「正直言うと、俺は今のところ旦那様に期待してねぇな」
「僕もかな」
「んー、私はちょっと面白そうだなぁ程度」
話を中断した隊長達の評価は今のところ厳しめ。
「私は魔王様のお城での居候期間しかあまり見ていないので、その期間で評価するなら……まぁまぁ。といった所ですね」
「私、ゼロ・アルバートから見れば、下の下。伸びしろしかありませんね」
アルバート兄妹も少し厳しめ。
「成程のぅ……」
それを聞いたリリィは、にやりと意味深な笑みを浮かべるのであった。
▽
『さぁ、続いては三学年による予選!! 最上級生故、今回が最後となる大会に、他とは比較にならない熱を感じさせ、暑い意地と根性のぶつかり合いに目が離せない試合になりそうだぁ!!』
最早己の希望をぶつける実況。
『早速試合を始めていこう! それでは審判、よろしくぅ』
審判が頷き、フィールドへ上がる。
『これより第一試合、フォルネル学院 対 ストル学院を開始します』
ーーー《小一時間飛ばしますね》
▽
ーーー《いやー、泥臭い試合が多かったですねー》
ーーーそ、そうだな
おかしい。確かに俺は三年生の試合を観戦した。ウチを含めた上位校以外は、お互い一歩も譲らないぎりぎりの戦いを見せてくれた。
しかし何処か言いようのない、謎の違和感がある。
ーーーあのさ、俺って本当に三年生の試合見たよな?
ーーー《はいそうですよつい先程までのことをお忘れになるほど脳が萎縮してしまったのですねそうですかやっぱりそうなのですね》
どうやらクレルが何かやらかしたようだ。
ーーー時間飛ばすとか、流石に神界の奴らにも出来ないよな?
ーーー《当たり前ですなんなのですか神界の皆様を神だと勘違いしておりませんかいえ神ですけど流石にそのような芸当ででで出来るわけありませんよ》
ーーーもうお休み、何も追求しないから
察した。
▽
「ふぃ〜」
帰宅し、自室のベットへダイブ。
ーーー明日はいよいよ第二予選か……
「あートイレトイレ」
なんか緊張とわくわくが混ざると、う〇こしたくなる。
うちのトイレというか、魔界のトイレは大体水洗トイレだ。
「ふぃ〜」
スッキリした俺は身体が軽くなり、運動をしたい気分になった。
「外にで……いや面倒臭いけどぉ……」
▽
という訳で、カスラと修行したあの地へ向かった。
リリィは仕事があるらしく、城へは今日帰らないらしい。リリィと共に着いてきたヴァンピィも同様。
「さて、始めるか」
ウォーミングアップの魔力操作を行いながら、目を閉じ、風で木々の葉が擦れる音に安らぎを感じている時、
ォオオオオォオォォォ!!
遠くで魔物の雄叫びが聞こえた。
ーーー珍しいな、ここら辺でそこまで凶暴なやついないと思ってたけど……
そう思いながら、気になって聞こえた場所へ向かった。
居たのは、そこそこ凶暴な熊の魔物。
ーーーんで、襲われてんのは……
「あー、なんだったかな……あっ、ゴブリンか」
群れから外れたのか、一人犠牲として残されたのか、一匹のゴブリンがぷるぷる震えて蹲っている。
「ったく、自業自得だな」
おそらく集団で行動するゴブリンだから、数段力が上の熊でも倒せると思ったのだろう。
「そしてこのザマ」
ため息をつき、さっさと戻ろうと歩き出す……のだが
「監獄」
熊を無数の魔力棒が取り囲む。
「暫く大人しくしてくれや」
何故だか知らないが、俺はゴブリンを助けたようだ。
ギャイギャイ!
修行場へ戻る俺の後ろから鳴き声が響く。なんて言っているのか分からない。それはおそらく俺の姿が見えなくなるまで、鳴きつづけていたのだろう
ーーーゴブゴブとか、そんな可愛い声してねんだなやっぱり
いつも読んでいただきありがとうございます!