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見よ、この動きっ

 

 『さぁ続いて行われる試合は、センス学院 対 ミラ学院!』



 王国トップの学園が、予選でいきなりぶつかり合う。



 『決勝でこの組を観たかったと嘆かれる方も多いのではないでしょうか! しかし、それは間違いだ! そう思わせるほどの熱い試合が繰り広げられるでしょう!!』



 会場が沸く中、未だ心ここに在らずといった様子のレシファ。レオは空気を読んでそれに触れない。そして俺は、レシファの隣で何となく居心地が悪い気持ちでいた。


 そんな中、会場が再び盛り上がる。



 『さあ、右手に現れますのは、この国のトップ2を誇る超名門校、頂点の座を今この試合で奪い取ることが出来るのか!? ……ミラ学院!!』



 最早これは予選の盛り上がりではない。



 『そしてそして、王国の頂点に君臨する言わずと知れたあの学院……“秀才の集まる年”と呼ばれたほど、この二学年はエリートの数が半端ではない! その中から選び抜かれた天才中の、()天才がやって来ましたぁ!! ……センス学院!!』



ーーーなんというか、無駄に相手を威嚇しない両校の感じ……流石だよなぁ



 『選手は前へ』



 うちからは、カラが先鋒として出された。相手は坊主頭の男子生徒。



 『両者構えて……』



 坊主頭の構えから推測するに、少林寺拳法。



 『始めぇ!!』

 「氷剣(アイスソード)!」



 違いました。坊主頭は両手に氷剣を持ち、全く別の構えに変わりました。



ーーーなんなんだよさっきの少林寺拳法は



 氷剣でクロスの構えをとる彼は、何故か既に勝ち誇っている。



 「動いたっ」



 レオの声と同時に、坊主頭がカラ目掛けて一直線に走り出す。



ーーーそんな直線的な攻撃当たるわけ……



 その時、坊主頭が両手に持つ氷剣をカラへ投擲した。



 「ふっ!」



 そんな攻撃も、彼女は冷静に横に跳んで回避。

 しかし、避けた場所にもう一つの氷剣が待ち構えていたかのように襲いかかる。



 「ふん……」



 しかしカラ、それすらも見切り、真上に跳躍することで氷剣を回避する。



 「はっ!」



 しまったという表情のカラ。どうやら坊主頭、先程までの攻撃は彼女を空中まで誘き寄せるための釣りだったようで、坊主頭を見逃したカラの後ろから、坊主頭が現れた。



ーーーさっきからぴょんぴょんぴょんぴょんって、何メートル跳んでんだよ



 坊主頭の狙い通りなのか、ようやく理解したカラが焦りの表情を見せ、後ろを振り向く。



 「自由の短棒(スティック)



 魔術を発動した坊主頭の手には、身の丈の半分程の変哲のない棒。



 「はぁっ!」



 その棒をカラに叩きつける。



 「くっ……!」



 何とか両腕で防ぐも、そのダメージは中々のものらしく、顔を顰めている。


 体制を崩しながら()()した彼女の腕は打撲しているようで、紫色に腫れている。

 

 坊主頭も遅れて着地。彼は勿論どこも怪我をすることなく、余裕そうな表情だ。


 これまでの時間約五秒。跳躍から着地までこの時間だとすると、三メートルは跳んでいる。



 「伸びろ!」


 体制を立て直そうとするカラへ、容赦ない追撃。

 約五メートル伸びたその棒が、彼女を襲う。さながら、それは如意棒のようであった。



 しかし、そこまで受けてやらんというように、カラは伸びる棒を避け、坊主頭に向かって走り出す。



 「氷剣(アイスソード)!」



 如意棒片手に氷剣でカラを迎え撃とうとしている坊主頭。



 「甘い!」



 カラはロスのないよう、手刀に炎を纏わせ、氷剣を破壊した。

 


 「ふっ!」



 隙ができた坊主頭に、炎に包まれた拳を振り下ろす。



 「ぐっ……!」



 ようやくカラが一撃を与えることに成功した。



 「ふぅー」

 


 これまでにない程に集中した彼女は、それはそれは恐ろしいものだった。




 


 

いつも読んでいただきありがとうございます!

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