表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
145/227

初めて

やっと、やっとクソ忙しい休日が終わりました……


 ハッと我に返る。



 「戻ろう」



 先程までの事故は、過去の出来事だ。レヴィと過ごした短い間の友情も、所詮は過去の出来事にすぎない。



 「もう、過ぎたことなんだ」



 気付けば、己の唇をなぞっている。

 そして蘇るのは、あの感触。



 「初めて……だったんだよな」



 マウストゥーマウス。交際相手のリリィとすらもしていない。



 「……」



 何とも言葉にし難い複雑な気持ちを抑え、会場へ歩き出す。



 ▽


 「あっ、遅いですよツダ君」

 「すいません」

 「ん?」



 やけにテンションの低い俺を見て、レシファが首を傾げる。



 「それで、今はどんな感じに進んでます?」



  追求されないため、状況確認を急ぐ。



 「現在両校とも二人目、こちらも実力が拮抗しています」



 言い忘れていたが、今大会は団体戦のトーナメント。各校三人一チームが個人戦を行い、先に二つ勝利を上げればそのチームの勝利となる。



 「またそんな感じですか」

 


 すると、レオが首を振った。



 「あの学校、遊んでるな」

 「どこの学校ですか?」

 「ハモン高校」



 確かに見てみると、選手の表情がまるで違う。



 「ハモン高校の人は……笑ってますね」

 「そうですわね、ニンゲ学院の方は疲弊していますわ」



 メンバー二人も、相手選手を煽る様な態度で挑発している。



 「いやー、あんなのと戦いたくないですね〜」

 「「潰しがいがある(ではありませんか)」」



 逃げ腰な俺の横で、目をギラギラと光らせるエリート二名。



 『そこまでぇッ!!』



 試合終了。やはり、ハモン高校が勝利した。



 

 そして第三試合。

 この試合が終われば、次は俺達の試合が始まる。



 「そろそろ行きましょうか」

 「はい」

 「……」



 待機所へ向かう。



 ▽



 『それでは只今より、リック高校 対 ミラ学院の試合を始めます』



ーーーミラ学院か……そして居るもんなぁ、あの人



 『両校一人目の選手前へ』



 リック高校からはがっしりとしたチビな男が、ミラ学院からは、ひょろ長い男が出てきた。


 

 開始のゴングが響き、瞬間、リック高校のチビが倒れた。



 「な、何が起こったんだ!?」



 会場も俺も動揺する。



 「ゴングだな」

 「ですね」

 


 しかしエリート二人は、冷静に事の流れを分析していた。



 「へ? どういう事ですか?」

 「ツダ君の頭でも分かりやすく説明致しますと、ゴングから放出された音の波を、ミラ学院の選手が何らかの魔術を使い、リック高校の選手の耳へと届く音の波を大きくさせた。そしてその影響で脳に繋がる神経に影響を及ぼし、気絶……これが私達の推測です」

 「すげぇ……」



  ーーーこの時間であんな具体的な推測が……



 感服した。




 『勝利、ミラ学院!』



 早くもNo.2の実力を見せつけていくミラ学院。



 「強い……」

 「私達も負けてられませんね」



 俺達が改めて気を引き締めている中、レオはひとり、精神を統一している。



 『リック高校、次の選手前へ』



 出てきたのは、可愛らしい女の子。



 「ちっちゃい子だ」

 「相手を見くびるな」



 レオに怒られた。舐めてかかるとやられるのはこちらだ、と言いたげな目をしている。同時に、ゴングが鳴る。



 「また来たっ」



 開幕の躱すことの出来ない攻撃が、リック高校に襲いかかる。



 「反則すぎだろあの音攻撃」

 


 早速、リック高校の負けを誰もが予想した。



 しかし、



 「うそっ!?」



 俺一人、驚く。



 リック高校の選手は平然としている。



 「耳を見てみろ」

 「え、えぇ、そういう事ね……」



 耳栓。これで解決。彼女は予めおそらく魔術で作り出したであろう、特殊な耳栓で、先制攻撃を防いだ。



 動揺し、一瞬の隙を見せるひょろ長を、植物のつるが拘束する。



 「アタシの植物たちは少し特別でね、逃げ出すことなんてほぼ不可能さ」



 小さな彼女は、そう言い、ひょろ長の腹を殴る。



 それが以外にも重く響き、ひょろ長は意識を落とした。



 『勝利、リック高校!』




 「決着が早いなぁ」

 



 『ミラ学院、次の選手前へ』



 出てきたのは、レヴィ。



 「はは、選手だったとはな」



 今でも少し驚いている。



 フィールドへ上がったレヴィが、こちらに気がつく。



 が、直ぐに目を逸らした。




 「やっぱ嫌われたな」

 「さっきからなんなのです?」

 


 レシファが苛立ちげに、女々しい俺に言う。



 「なんでもないっす」



 俺はそれだけ言って、試合を見届けることにした。

 

いつも読んでいただきありがとうございます!


疲れた……

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ