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ダンジョン攻略(六)

  止まっていた世界がゆっくりと動き出す。


ーーー俺の身体もそろそろ動きそうだな。でも、動き出したのはいいけどこの状況ヤバくね?


  そう、世界は俺が銀狼にとどめを刺される瞬間に止まったのだ。


ーーーくそっ、このままじゃ戻っても一瞬で殺られるぞ!


  朱音の身体がゆっくりと動き出す。そしてそれは、今向かってくる死へのカウントダウンでもあった。


  そして完全に世界が時間を取り戻した。


ーーーくぅっ!


  朱音は銀狼から少しでも身を守ろうとした。

 


  だが、


ーーー………どうした? 完全に時間が戻ったのに俺には銀狼が遅く見えるぞ


  そう、完全に世界は時間を取り戻した。だが、朱音にはまだ銀狼がゆっくりと動いているように感じたのだ。


ーーー《思考加速の影響です》


ーーー思考加速…………そうか、俺の考えるスピードが速くなって他のものが遅く感じるのか


ーーー《その通りです》


ーーーよし、ならまだいける


  俺は神速を使って銀狼の後ろにまわった。それはまさに目にもとまらぬ速さであった。


ーーーっ、速すぎるぞこれ……


  そして銀狼が振り向く。その顔は困惑を隠しきれずにいた。

  困惑をしたが、相手がいきなり自分でも捉えることが出来ない速さで自分の攻撃を躱し、しかも背後を取られた。その事実で銀狼はその人物が脅威であると感じ……


  「グルァァァァァァァアアア!!」


  銀狼に光が纏う。


  本気を出したのだ。


  相手はかなり素早い。ならば自分にも最強のスピードがある。速さには速さを持って全力で叩き潰す。そう銀狼は思ったのだ。


  本気になった銀狼が俺に迫る。


ーーーはやっ!


  だが、俺はそう思っても難なく躱す。


ーーー思考加速さんすげーな


  スピードをあげた銀狼でも、さらに集中すればそれでも遅く感じるのだ。


ーーーそろそろ反撃開始だ


  俺は鬼力を使い、まだ効果が切れていない神速のスピードを活かし、銀狼をぶん殴る。


  「グァァッ!」


  たった一撃で銀狼は血を吐き、立つのでやっとの状態になっていた。


  「グ、グゥゥ………」


  その一撃で銀狼を纏っていた光が消えた。


ーーーか、勝ったのか?


  銀狼はもうこっちへは襲ってこない。だが、フラフラになりながら攻略の証である杖の前に立ち、こちらを睨みつけていた。


  「そんなになっても守ろうとするって、どんだけ大事なんだよ……」

  『お前には関係の無いことだろう』

 

  と、いきなりそんな声が聞こえた。


  「だれだ!?」

  『ふん、いきなり来た侵入者に負け、今では立つのがやっとのみっともない狼だ』

  「なっ、お前喋れんのか!?」


  俺はこの銀狼が喋っているという事実に驚く。


  『当たり前だ』

  「じゃあ、なんで今まで何も喋らなかったんだ?」

  『侵入者に口を利くわけなかろう』

  「それもそうか………で、その杖が欲しんだけどくれないか? 別に無駄に命を奪いたい訳では無いからな。殺したりはしない」

  『我はこの杖を守るために生きている。例え殺されようと最後までこの杖を守り抜く』

  「つっても、お前もうボロボロじゃん。しかも声的に女だろ? 俺はそんな鬼畜じゃねぇからんな事しねぇよ」

  『だが杖は奪うんだろう?』

  「ああ、まぁ別に杖じゃなくてもいんだけどな」

  『なに!? それはどういう事だ?』


  俺の言葉に銀狼はグイッと顔を近づけて聞いてきた。


ーーーち、近い近い……


  「俺はある事情でこのダンジョンに来た。そこでこのダンジョンを攻略した証が欲しんだよ」

  『それが手に入ればこの杖には手を出さないと?』

  「ああ」

  『本当か?』

  「当たり前だろ。それに、本当に欲しかったらお前なんてとっくに殺してるっつの」

  『それも……そうだな』


ーーーあ〜、ちょっと自信なくさせちゃったかな


  「だから攻略したという証だけ欲しんだ」

  『そうか、なら暫し待て』


  そう言って銀狼はどこかへ行った。


 

  それから一分、銀狼は戻ってきた。


  『お前にこれを渡す』

  「これが攻略の証か?」

  『そうだ。これは全てのダンジョンにあり、ダンジョンの核の欠片でもある』

  「ふーん、これってちゃんと証として持ってけんの?」

  『ああ、核はダンジョンの最下層にある』

  「ここって一番下じゃなかったんだな」

  『と言っても、この下だがな』

  「なーんだ。まぁいいや、じゃあね、ありがと……っとその前に」

  『ん?』


  俺は銀狼に鑑定を使った。




  神獣 ウルフェルド  Lv70


 ATC 70

 DFC 70

 SPD 70



ーーーいや、情報少なすぎだろ


  「やっぱりあてになんないか……」

  『さっきから何をしている?』

  「いや、何でもない。ありがとな!」

 

  と言って俺は王室へ転移する水晶を割った。

いつも読んでいただきありがとうございます!

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