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長いようでみじか……短っ!

すいません……ご想像の通り、寝落ちです。

 「あー……もうダメだ、つーかーれーたー!」


 道中、歩きっぱなしで疲れ果て、力なく座り込む。


 「シャキッとしてください」

 「こどもみたい」


 一方、神ーずはまだまだ余裕のようで、汗一つかいていない。


 「な、なんで二人共そんな元気なのさ」

 

 俺の質問に、二人は顔を見合わせて、再び俺に向いて言う。


 「何って、私達は神界の者ですよ? それだけで説明がつきます。たかが人族や魔族に遅れを取る事は万に一つも無いことですよ」

 「うへぇ……」


 さも当たり前のように……否、当たり前の事をそのまま俺に説明した。はい、文句はないです。


 「んしょ……はぁ、歩くか」


 お散歩だけで見せつけた、神ーずの力の鱗片を目の当たりにし、これ以上駄々こねてもバカを晒すだけだと思い、渋々立ち上がる。


 「さっさと立ってください」

 「のろま」

 「うっせ」


 相変わらずの減らず口な二人だが、別に悪い気はしない。


 「行きましょう」

 「へいへい」


ーーーあー、歩きづれぇ


 疲れる要因は、ただ俺の体力的な問題という事ではない。


 「あぁ! 沈む!」


 一歩一歩、歩く度に足を取られて体力を奪われる。


 「本当にだらしないですね」

 「仕方ねぇだろぉ、だって此処……砂漠だぞ」


 そう、俺達は、行く宛もなく放浪し続けて、気がついた時には遠くに見えていた山や小さな村々がオレンジ色の砂へと景色は変わり、現在、砂漠のど真ん中で遭難。という状態に陥っている。



 足場の悪い砂を、一歩一歩にひぃひぃ言いながら少しずつ進んでいく。


 「はぁはぁ……あ、あれ?」


 ふと隣で歩いている神ーずを見て、違和感に気がつく。


ーーーおい、なんでそんなスムーズに歩けてんだよ


 そして二人の足元を見る。


 「おい、ずるくねぇか?」

 「はて、何か問題でも?」


 この二人、足元の砂を沈む前に固定して、足場を安定させていた。


 「問題はないけどよ、いや、なんでもねぇ」


 ぶつぶつ文句を言っても仕方ないので、これ以上は何も言わない。


ーーー俺もやってみるかな


 足を踏み出す時に、砂を固めさせるイメージで歩いてみる。


 しかし、


 「おわっ」


 失敗した。考えてみれば、ここは砂しかない。つまり、砂の量がとてつもない。それを一部だけ固めようとしても、下にある固めきれていない砂が沈み、失敗する。


 「まだまだですね」

 「あぁ、歩くしかねぇか」


 諦めて地道に進もう。そう決意した時、



 「ふぁえ?」


 勢いよく踏み出した足が、なんの感触も感じることなく空を切る。


 「わて!」


 バランスを崩した俺は、地面に顔面から転ぶ。


 「いたぁあ! 固っ! かったいよ地面!」


 久々の固い感触に、痛みを感じながらも、喜びを隠せない。


 「さぁ、着きましたよ……マスターが目指すべき場所、“天の頂”へ」


ーーー……は?


 理解不能。霧がかかったように周りが白で囲まれた、訳の分からない場所で、俺の頭はショートした。


 「なになに、どゆこと? え? 俺達さっきまで砂漠のど真ん中に居たっしょ? は? それがなに? 目的地着いちゃったってどゆこと?」


 疑問だらけの出来事に、まるで、クラスに一人はいる、先生にウザイ絡みをする奴みたいな言動になる。


 「一言でこれを説明するならば……」


 そこでクレルの説明に入る。


 「女神様の奇跡。と言うべきでしょうか」

 「なるほど! うん、そっか! 女神様なら納得だわ!」


 考えることを放棄した。


 「アカネ、ばかになった」

  「元々はこれより酷いのですがね」


 そんな二人の会話を聞き流し、俺はまっすぐ進む。


 「さあ行こう! そして、早く魔界へ戻ろう!」


 未だに頭は混乱したままだが、もう大丈夫。やけくそだよっ!


 「こわれた」

 「人生リセットしないとですね」


 神ーずは不吉なことを言いながら、俺の後ろをついて行く。


 

 ▽


 それから十分歩き続けた。道は一本しかなく、先も見えることは無かった。


 景色が真っ白のため、本当に進んでいるのか不安になっていた時、


 「ったぁ!」


  固い壁のような物にぶつかった。


 「ここですね」

 「つつ……なんだ、これ」


 壁のような物は、先が霧で覆われているため、その全貌は確認できない。


 「この先がとりあえずゴール。と言うべきでしょうか」

 「え? でも、これ壁でしょ?」

 「扉です」


 聞き取れなかった。


 「……壁でしょ?」

 「扉です」

 「壁……」

 「扉です」

 「か」

 「扉です」


ーーーいや、無理だからぁ! こんなの開けらんないよぅ!


 「馬鹿ですかマスター」


 嘆く俺に、クレルが呆れて言う。


 「へ?」

 「何も物理で開けろとは言っていないでしょう」

 「どゆこと?」


 俺が質問した時、女神が扉の前に立ち、それに手を当てた。


 その途端、強烈な魔力が、女神から放出される。


 「くっ! 何だこの魔力!」

 「女神様の魔力ですよ」

 「知ってる!」


 風圧で体が吹き飛ばされそうになる。


 そして、


 「開け……ごま」


 どデカい、重厚感たっぷりの扉が、女神の魔術? で勢いよく開いた。


 「……」

 「さぁ、行きましょう」


 呆然とした俺に構うことなく、クレルは淡々と言い、女神はドヤりながら歩き出す。


 「よし、行くか」


 先程のことを見なかったことにして、俺は扉の向こうへ進み出す。

いつも読んでいただきありがとうございます!

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