表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
117/227

魔王二号

すいません、寝落ちしてしまいました(泣)。

 「レオ、ちょっと良いですか?」

  「あ?」


 先程の出来事についてじっくり話し合おうじゃないか


 レオと廊下に出て、瞬間に詰め寄る。


 「どういう事ですか……!?」

 「なんかあったか?」

 「とぼけないでくださいっ……!」

 「あ?」


 本当に自分が何したか、自覚がないらしい。


 「だから、さっきみんなに言ったことですよっ……!」

 「おん? あっ、ああ、アレのことか」


 やっと思い出したかのように、手をポンと叩く。


 「それがなんか問題あるか?」

 「大ありですっ」

 「ふ〜ん」


 自分が起こした問題なのに、興味なさげに頷きやがる。


 「そもそも、俺が全部倒すって事は、決まっている順番を崩すことになるんですよ」

 「はぁ……」


 何故か、心底残念そうにレオが、ため息をつく。


 「な、なにか?」

 「そもそも、元の作戦は、俺が初っ端からぶっ飛ばして相手をボコす。そして万一倒れたら、後ろのやつが残りを片付ける」


 そう、作戦を振り返るレオ。


 「んなめちゃくちゃな作戦あると思うか?」

 「そうかもです……けど、上の人が提案して、それで決定したわけで……」

 「その上のやつ……副学院長だったか? そんな奴があんなヘンテコな作戦を考えるはずねぇだろ」

 「どういう意味ですか?」

 「だから、自分達で作戦の穴を見つけられるのか、試しているんだよ」


 レオの言葉に、稲妻で打たれたようなショックを受ける。


 「な、なんだってー!」

 「……」

 「あ、ハイどうぞ続けてください」

 

 レオは仕切り直すように、咳払いをひとつ。


 「だから、作戦を変えることは、何の問題もない」  

 「そういう事だったんですね」


 レオの理解力に、改めて感服していると、チャイムが鳴った。


 「戻るぞ」

 「は、はいっ!」


 見直したと言うように、笑顔で俺は返事をして、レオを追う。


 が


 「ん?」


ーーーちょっと待てよ……


 そもそもレオは、副学院長が提案した、ガバガバの作戦を指摘しただけで、俺に降りかかっている問題については、一切触れられていない。というか、あの作戦のレオの位置を、俺に変えているだけでほぼ変わっていない。


 「ぐぬぬ……」


 騙された。というか、こちらが気づかなかった。


 行き場のない怒りに、ただ拳をプルプルさせるしかなかった。


 

 ▽


 そんなこんなで一日が終わり、途中まで下校しているレシファと別れ、城へ帰宅する。



 「ただいまー」


 いつもの様に、扉を開けると、


 「ん?」


 美女がいた。


 リリィと向かい合って座る、赤髪ストレートロングの、お姉さん系の美女。スラリとした身体だが、キュッと肉が引き締まっている。


 「ども」

 

 ぺこりと軽く頭を下げる。


 「あー、彼が例の……」


 どうやらあちらは、俺を知っているらしい。


 「ただいまなのじゃ、此方の方はフロウ・ハデスさん、お客様といった感じかの」


 リリィがそう、美女を紹介する。


 「初めまして、フロウ・ハデスだ……」


 ご丁寧に自ら名乗ってくれる。


 そして次の言葉に、俺は驚くことになる。



 「サタニウス王国の隣……デモン王国の王として君臨しておる」

 「ふぁっ!?」


 魔王様が、一体魔王様にどんな用事が……魔王同士の話し合いという事は、何か重要な問題でもあるのか……


 そう考え込んでいると、


 「デモン王国とは、昔から同盟を組んでおってな、フロウさんは我の姉のような存在なのじゃ」


 ふと、改めて二人を見ると、堅苦しい空気は流れておらず、和やかな雰囲気が流れている。


 「デモン王国の魔王様は、いったいどうしてこの国に?」

 「え? お茶しに来ただけだが」

 

 何かおかしいか? といったように、フロウが言う。


 「そ、そうですか」


 魔王はみんなこんな感じなのかと、苦笑いする。


 「じゃあ、俺は自室に戻りますね」


 と、退室しようとすると  


 「待て」

 「っ!?」


 ゾクリと、背中が粟立つ。



 レオとは比較にならないほどの、圧の方向へ恐る恐る振り向く。


 「逃がさんよ?」


 やはり圧の正体は、フロウ。


 「……」


 久々の本気で味わう恐怖に、全神経が緊張する。


 「さあ、お茶をしようか」


 圧は消さず、パッと笑顔になる魔王が、そう、俺を追い詰めるかのように言った。


 「わ、かりました」

 「宜しい」


 消えない恐怖心を感じながら、俺はずっしりと重くなった足を、ゆっくり前に出した。

 

いつも読んでいただきありがとうございます!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ