コケて転移しました。
下手かも知れませんが読んでみてください!
2023.7.20 大幅編集やっぞー
「何処だ、ここは?」
俗に言う転生か? いや、この場合は転移?
「まぁどっちでもいーや」
俺、津田朱音は学校帰りにコケて気がついたら、なんか城っぽいところの中に居た。
そこには、王様っぽい人とその娘さんっぽい人が、豪華な椅子に座って俺を見据えていた。
「おい貴様」
何だ、俺に言ってんのか?
立派な髭をたくわえた、王様っぽい人(いや、本当に王様か)が俺に何か言ってきた。
「貴様だ間の抜けた面をしたガキ」
口悪いな〜
「貴様に申しておるのだぞ勇者よッ!」
「ひぇ!?な、なんでしょうか」
いきなり叫ぶなよ! びっくりしただろ!
「はぁ……この方、本当に勇者様ですの?」
娘様っぽい人がため息をついている。
ん、勇者?
「うむ、召喚の儀は成功した。間違いはないだろう、其奴が勇者だ」
「へ?」
何を言っているのかさっぱり理解出来ない。
「お前は勇者として、この私が召喚したのだ」
王様は偉そうに腕を組む。
「はぁぁぁぁぁあ!?」
ようやく理解した俺は、様々な気持ちが溢れ、取り敢えず叫んだ。
びっくりしたから。戸惑ったから。ちょっと嬉しかったから……
「煩い!」
怒られた。
「てかなんで俺!?」
「まぁ、事情くらいは説明してやろう」
王様は、面倒くさそうに語りだす。
前提として、この世界には魔界と人間界がある。
人間は魔界に行くことが出来ず、魔界の住人(魔人)は人間界に行くことは出来ない。
それぞれの世界を行き来するには“魔力”と呼ばれるエネルギーを使用するのだが、あまりにも膨大な量を消費するらしく、できない無理です無理無理!絶対無理なのですという感じらしい。
それ故に、お互いの世界は干渉することはなく……と言うよりきゅーじゅーきゅーてんきゅーきゅーきゅーぱーせんとの奴らは別の人種が存在する世界なんて知る由もなく生活していた。
では何故、お互いがお互いの世界を確認出来たのか。
というのは五千年前、ある鏡が発見されたのが原因だそう。
鏡は人間界と魔界の両方で存在し、鏡を覗き込んだら見たことがない光景が広がっていると両の世界は大騒ぎだった模様。
二つの世界は当然交流をしようと試み、様々な方法を実行するが、どれも失敗に終わった。
今から千年前、人間界のとある王国のとある王により、選りすぐりの魔術師達が集められた。そして彼らに打開策を見出すよう命じた。
無理難題な要件を押し付けられた魔術師たちの、血と汗と涙とありとあらゆる汁を搾り尽くして頑張って頑張って頑張った成果として、魔界へと通じる転移門が誕生した。
が、転移門を開くには膨大な魔力を消費しなければならない。
そこでさらに多くの魔術師を集め、人間界に一つしかない最強の秘宝、禁忌魔道具(魔力高めるドーピング)を使い、魔術師全員の魔力を七百倍に高め、なんとか転移門に大量の魔力を注ぎ込み、こじ開けることに成功する。
魔界探査に名乗りを上げた人物は、当時最強と謳われた魔術師、アルス・ウィザードという男。たった一人で向かうという絶対の自信か或いは傲慢ともとれる彼の言葉に、あらゆる魔術師がいる中、誰一人として反対の声はあがらなかった。
いよいよ転移門を使い魔界探索だ! がんばっぞ!
―――予想外の出来事が起こった。アルスが一歩、二歩、と魔界へ足を踏み入れた途端、転移門は崩壊しアルスは魔界に閉じ込めらてしまったのだ。
慌てた国王は鏡でその様子を確認すると、彼はもがき苦しみ、最後には見るも無残な姿になって死亡したとされている。
それをきっかけに人間界は魔界への進出は断念。
それから時が経ち、今から二百年前。
魔界にとてつもない魔力を保有する新たな魔王(人間界で言う国王)が君臨し、何らかのアクションを起こし次元に歪みを生じさせたという。
その影響は人間界にも生じ、至る所に小さな空間の亀裂ができ、それが綻んで魔界の獣(魔獣と言う!!)が人間界に侵入してきた。
それ以来、今日に至るまで魔物による農作物や人的な被害等々、人間界の人々を脅かしている。
そこでこの国、スーン王国の王は国内の魔術師を集め、勇者召喚の儀式を行った。
結果、召喚されたのがマヌケ面のガキ―――つまり俺ということらしい。
まあ、どうして召喚されたのが俺なんだという質問に関しては、分からないということらしい。ふざけんな
「あ、あのー、召喚されたのは理解しましたけど俺に何をしろと……」
「そんなもの決まっているだろう」
“何言ってんの? 馬鹿なの?”みたいな表情。
「いや、分からないんですけど……」
「魔王討伐に決まっているだろう」
「ムリムリムリムリ! なんすかそれ!」
さすがに舐めすぎ。叩くぞじじい
「そのために召喚したんだ」
「俺には絶対にできませんって! 死にますよ絶対!!」
「なら今死ぬか?」
「うぐっ……」
じじいはじじいでも一国の王。威風のある睨みに思わず縮こまる。
小一時間前までは普通の高校生。でも今は魔王討伐の為に召喚された希望の勇者。
聞こえはいいが現実は部活にいるパワハラ顧問も真っ青のクソ環境。
「では、今この世界を守っているのは魔術師なんですね? 今まで耐えていたならそのままでも……」
言っても無駄だとわかっていても、微かな希望に縋ってしまう。
「魔術師は貴様を召喚するために力尽きて三分の一が死んだ」
多くの犠牲をはらって出てきたのが俺。なんかごめん。
「そしたらこの国危ないんじゃ」
「国どころか、このままでは最悪人類が滅亡することになるな。いや、あまりにも人間が多すぎて寧ろ数調整になり都合がいいのか? ガハハ!」
こいつ魔王だ魔王。魔界の環境でも快適に過ごせるべ
つかとりま逃げるか。ここにいてもろくな事にならない。
異世界転移後の第一目標、この城……いやこの国からの脱出。
やっぞー!
この決断が予想だにしない結果を招くなど、今の俺には知る由もない。
ここまで読んでくれてありがとうございます!