表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
250/418

246 大地の復興へ その3

ご閲覧ありがとうございます。

楽しんで頂けたら、幸いです。

 魔獣、それも一つ目の巨人と、人間が共に働く。それは、一つの奇跡なのかもしれない。


 確かにペスカと冬也が尽力があってこそ、出来上がった状況である。

 しかしブルの存在が無くては、成し得ない事だろう。例え自衛の為でも、他者を傷付ける事を嫌がる、心優しきサイクロプスのブル。そんなブルだから、人々から恐れを忘れさせる事が出来たのだろう。


 新たな世界の幕開けとしては、これ以上もない。そんな心温まる風景を、ペスカと冬也は顔を綻ばせて眺めていた。

 とは言え、いつまでも眺めているだけにはいかない。まだ問題は山積みなのだから。

 冬也は大声で、ブルに声を掛ける


「お~い、ブル! 俺達はもう行くからな!」

「もう行っちゃうのか? ゆっくりしてくと良いんだな」

「そういう訳にもいかねぇんだ。みんなと仲良くやれよ!」

「わかってるんだな。冬也、くれぐれも気をつけるんだな。何かあったら、必ずおでを呼ぶんだな。二人のあんな姿は、二度と見たくないんだな」

「大丈夫だブル。俺はもう負けたりしねぇ。それにお前が人間達と仲良くしてくれた方が、俺の力が増える。頼りにしてるぜブル」

「任せとくんだな」


 そして、次は集まった人々にペスカが声を掛けた。


「皆さん。この子をよろしくお願いします。この子は良い子だし、きっと皆さんの役に立つでしょう。仲良くしてやって下さい」


 先の演説で聞いた声が、辺りに響く。

 エルラフィア王の呼びかけに応じ、英雄ペスカの力になると集まった、有志の人々である。その英雄ペスカを前に、首を横に振る者など居るはずがない。

 口々にペスカを称える声が上がり、辺りは一時騒然となった。


 ペスカの一声で、帝都周辺はあっという間に騒がしくなる。いたたまれなくなり、ペスカと冬也は姿を消した。

 だが、その行為はペスカの神聖化に拍車をかける事になる。


 既に大地母神すら凌駕する力を持ち始めたペスカと冬也。その二人が向かったのは、女神フィアーナの下である。

 そして二人が辿り着いた先では、女神フィアーナを筆頭に、少ない神気を使い大地の復興に勤しむ神々の姿であった。


「凄い力を感じたんだけど、また何かやったのね、冬也君」

「大地を癒しただけだぞ。人聞き悪い言い方すんな!」


 開口一番に告げられた言葉に、冬也は少し眉をひそめる。

 そして、反撃とばかりにペスカは、女神フィアーナに言い放った。


「この様子じゃ、まだまだ時間が掛かりそうだね。お兄ちゃんの方が、よっぽど大規模な回復したんじゃない? 神様達には、もっと頑張って貰わないと困るなぁ~!」

「ペスカちゃん。いつからそんな嫌味を言う子になっちゃったの?」


 女神フィアーナは、肩を竦める様な仕草をし、ペスカに言い返した。

 アルキエルとの戦いで、神々には神気がほとんど残されていない。神々は消滅寸前の所で、この兄妹に救われたのだ。

 大陸の復興に時間が掛かるのは、仕方がない事である。


 今のラフィスフィア大陸では、ペスカの人気はうなぎ登り。既に神であるペスカにとっては、その人気は信仰と同義となり得る。

 今いる神々よりも遥かに厚い信仰は、歴然とした力の差を生む。大地母神はチクリと言い返す事しか、出来ない現実であった。


「まぁ、上手くやってくれよお袋」

「わかってるわよ、冬也君。でも、今の私達には壊れた世界を、繋ぎ止める事しか出来ない。自分で言ってて、情けなくなってくるけどね」

「仕方ねぇよ。みんなが力を合わせる時だ。神だけが頑張れば良い時代は、終わったんだ。世界は、そこに住む奴らが何とかする。神々はその手助けをする、それだけで良い」

「そうね。あなた達を見ると、実感させられるわね。だけど・・・」

「そっちは、任せとけ。アルキエルの件と一緒に、俺とペスカで片づける」

「お願いね、冬也君。それにペスカちゃん」

「任せて下さい、フィアーナ様」


 女神フィアーナと話し終えた二人は、再び転移する。その転移先では、更なる再会が待っていた。

 

 復活を遂げた山の神達、女神ミュールの眷属神の面々。余りにもか弱い神気は、女神ミュール自体の神気が少ない故だろう。

 そしてペスカと冬也を見るなり、山の神と風の女神、それに水の女神の三柱が駆け寄った。


「無事だったか。いやミュールに聞いて、知っておったがな。姿を見るまで安心出来んかった。良かった、本当に良かった」

「山さん。心配かけたな」

「そうだね、山さん。ごめんね」

「何を言っておる。助けられたのは儂等の方じゃろ? ありがとうな」


 孫の無事を喜ぶおじいさんの様に、山の神は頬を緩ませる。互いの再会を喜ぶ様に、笑みを浮かべる中、風の女神の怒声が響く。


「あんた等、どれだけ心配したと思ってるんだい!」

「姐さん・・・。悪い、心配かけたな」

「まさかあんな事になるなんてさぁ。済まない、あんた等を巻き込んだ私の責任だ。本当に済まない」

「頭を上げて、姐さん。私も予想外だったもん。それに私達を巻き込んだのは、姐さんじゃなくてミュール様だし!」


 怒声が一転し、涙声で頭を下げる風の神を、慌ててペスカが止める。風の女神の謝罪で、少し沈んだ雰囲気に変化を与えたのは、最後に声をかけた水の女神であった。


「でも、助けられたのは事実だよね。ありがとうペスカちゃん。それに冬也君」

「カーちゃん・・・。益々縮んだ? 再生に失敗したの?」

「カーちゃん言うな! なんか、私だけ扱い酷くない?」

「だって、ロリババアだし」

「実物とは初めて話すけど。あんた、けっこう残念な女神だな」

「私の感謝を返せ! お馬鹿さん達!」


 ギャーギャーと喚きたてる水の女神。そのさまに、一同から少し笑いが起きる。

 そして、ゆっくりと女神ミュールが、ペスカ達に近づき深々と頭を下げた。


「あんた等のおかげ、それは間違いないね。この大陸には、諍いが起きていない。この大陸にだけ、悪意が蔓延していない。あんた等のおかげだね。ありがとう」


 まさか大地母神が、頭をさげるとは。しかも、大地母神の中でも好戦的な女神ミュールが。その姿は、山の神ら眷属達すら驚愕させた。

 

「ミュール。礼なら、ズマやノーヴェ達に言ってくれ。頑張ったのはあいつらで、俺達じゃねぇ」

「そうだよ、ミュール様。歯を食いしばって戦い抜いたのは、魔獣達だもんね。感謝してあげて下さいね」

「わかってるさ。それに、私らも考えを改めなきゃいけない。あの子達を見ると、良くわかるさ」

「子離れの時期なんですよ、きっと」

「ペスカ、上手く言ったつもりかい? でも、その通りかもしれないね」


 女神ミュールは、ペスカの言葉に同意を示すと、一同から離れていった。

 その後ろ姿を見送る様にする三柱の神々。そして、静かに山の神が口を開く。


「ペスカ、冬也。無理をするなとは言えん。それに儂らはこの通り弱っており、直接力を貸してやる事が出来ん。これから起きるのは、全て儂等の尻拭いじゃ。それでも、この世界の為に力を貸してくれるかのぅ?」


 重々しく言葉を紡ぐ、山の神。しかし冬也は、そんな山の神に近づき、肩を軽く叩いた。


「山さん! 今更、馬鹿な事を言ってんじゃねぇよ! たりめぇだろが!」

「そうだよ、山さん。みんなは、頑張って大陸を再生して。私達は、好きにやるからさ」

「あぁ、済まんのぅ。平和になったら、必ず遊びに来い! 必ずじゃぞ!」

「全部終わったらな」

「うん。その時は、ブルも連れてきてあげるね、山さん」


 山の神は、ただ頭を下げた。


 この神々が居て、ズマを始め魔獣達が居る。ドラグスメリア大陸は、もう心配することはないだろう。

 そしてペスカと冬也は、安堵した。


 優しく送り出そうとする山の神、心配そうな表情を浮かべる風の女神、膨れっ面が治まらない水の女神。三柱の神に見送られ、ペスカと冬也は転移した。

 行先は、未だ混乱の収まらないアンドロケイン大陸。最悪の事態を防ぐ為、世界を守る為、二人は世界を賭ける。

三つ子の魂百まで


この言葉は、性格は大人になっても変わらない、そんな意味ではありません。


主人公のみつこさんは、残機システムが採用されています。

そして、残機は百です。

その為、九十九回までは死んでも生き返ります。

ただし、百回目に死んだら、ゲームオーバーです。


出典:USOゲームズ、みつこ・ざ・おりんぴあ、キャラクター説明 


2021年にUSOゲームズが、みつこ・ざ・おりんぴあというゲームを発売しました。

オリンピックの影響を受けて、開発に至ったというのは有名な話です。

そして、みつこ・ざ・おりんぴあは、死にゲーとしても大変有名なゲームです。


まぁね、わかってると思いますが、これも嘘ですよ。


次回もお楽しみに。

2019.10.29校正。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ