表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
妹と歩く、異世界探訪記  作者: 東郷 珠(サークル珠道)
混乱のドラゴンとゴブリンの進撃
197/418

193 冬也の抵抗、スールの意地

ご閲覧ありがとうございます。

楽しんで頂けたら、幸いです。

 邪神が消えた後、冬也はスールを呼び寄せた。

 北の大地と大空を埋め尽くす、黒いモンスターの軍勢に対し、このまま手をこまねく訳にはいかないからだ。


「スール。お前は上空の奴らを頼めるか? 地上の奴らが山脈を超えるのは、少し時間がかかるだろうしな」

「承知しました。まさかノーヴェのしでかした事が、役に立つとは思わんでしたが」


 冬也は更に険しい表情になり、言葉を続けた。


「あのな、俺たちは肝心な事を見逃してるかもしれねぇ」

「まさか主、東に張った結界ですか?」

「あぁ。糞野郎は自分の存在と女神の体を生贄にして、この事態を引き起こしやがった。だけど、あいつはただの分体だ。本体はまだ東に居るだろ?」

「恐らくニューラを取り込んだ奴が本体かと」

「役立たずの糞ドラゴンをぶちのめした奴らは、東からやってきただろ?」

「確かに。もう結界に綻びがあると考えて、間違いなさそうですな」

「そうだ。まだ、黒い奴らと渡り合える戦力が整ってねぇ。ここで東の結界が壊れたら、俺たちは詰む」


 スールは寒気がした。

 こちらは各地で分体を滅ぼし、戦力の拡大を続けている。それを阻止する為に邪神が動くのは、至極当然の事であろう。

 大陸に生きる全てを消滅させようとする邪神が、悠長に構えているはずがない。すでに、想定を超える勢いで事態は進行している。


「この周辺には、まだ糞野郎の気配がうっすらとだがするんだよ」

「それは邪神の分体が、黒い奴らに移ったという事ですか?」

「少し違う。あの黒い奴らは、邪神から生み出された悪意の塊だ。肉体を持つがただの邪気だ」


 冬也はスールに示唆した。

 黒いモンスターは、悪意の塊から生み出された物に過ぎないと。ただし、その中には濃密な邪気が宿る。邪神の残した悪意が、北部を埋め尽くすモンスターの一体づつに、僅かに見え隠れしている。


 それらの悪意とは別に、邪神の気配が完全に消えた訳ではない。北の大地から、ひどく僅かだが存在を感じる。

 もし、何処かに潜み機会を伺っているとすれば。恐らく狙いは、モンスターに気を取られた所へ、背後からの奇襲。

 そうなれば、致命傷は真逃れまい。

 

「スール。お前は、上空の奴らを倒しながら、邪神の気配を探れ! 俺は結界の維持をする」

「まさか、お一人で! 無茶をなさいますな!」

「無茶じゃねぇよ」

「何を馬鹿な! 主、あなたは先ほどまで、神域に囚われていたのでしょう? 神気がどれだけ減っているか、儂にはわかりますぞ。反フィアーナ派の連中に神気を奪われてなければ、今頃あ奴は主の剣で両断されていたはずじゃ」

「仕方ねぇよ。過ぎた事をうだうだ言うんじゃねぇ」

「ましてや儂は、主の神気を食い潰す身。今の状況では、足手纏いになりかねん」

「うるせぇよ! そのうち、ペスカが魔獣達を連れてやって来るだろ。それまで耐えれば充分だ」


 冬也は声を荒げる訳でもなく、淡々とスールに答える。直情的で素直に感情を表す冬也が冷静でいることは、返ってスールの心を不安に落とす。

 そんなスールを慮ってか、冬也は優し気なトーンで声をかける。


「俺の事は心配しなくて良い。スール、お前は自分の身を一番に考えろ。これからもっと酷くなるかもしれねぇんだ」


 冬也は、少し微笑む。そして慣れない上空での姿勢を維持し、東に向かって飛行した。東の大地に向かう冬也を見送ると、スールは気を吐いた。


 視線の先には、大空を埋め尽くさんとする黒いドラゴンの大群。冬也なら、一瞬でも消し去ったであろう相手でも、スールには手に余る。

 だが、スールは大きく息を吸い込んだ。


 大気中に含まれる微粒のマナを取り込む。そして、放たれるのは極大なブレス。神気が籠められ、更なる輝きを増すブレスは、大空を黒く塗りつぶす一角を青色に戻す。

 

「主の神気を使い過ぎる訳にはいかんよなぁ。じゃが、儂はこの場を任された。それに応えるのが、眷属の役目というもんじゃろう。さて、奥の手といこうかのぅ」


 スールは呟きながら、鋭い瞳を更に吊り上げる。そして大声で吠えた。

 ぐぁああああ! 遥か遠くまで届く雄叫びに反応し、黒いドラゴンの意識がスールに向く。そしてスールへ迫る数万の黒いブレス。

 だが、スールには一切の動揺が無い。

 

「そのブレスは、儂が貰うぞ」


 神龍となってからの新たな力は、冬也の神気を扱えるだけではない。

 冬也が見せた神気を使った浄化。そこにヒントが有った。

 

 スールは、人やエルフより賢く、魔獣よりも強い体を持つ。全ての生物の頂点に立つ、元エンシェントドラゴンである。そして体は、マナで維持をしている。


 それは、浄化のシステムを理解しなければ、不可能である技。即ち、黒いブレスを浄化しつつ、マナとして体内に吸収する。

 ペスカでさえ不可能な技。恐らくこの地上でスールにしか出来ない技が、威力を発揮した。

  

 黒いブレスは、瞬く間に浄化されスールの体内に吸収される。見る間に枯渇したスールのマナが一気に回復する。


「お返しじゃ!」


 吐かれたのは、さらに威力を増した極大なブレス。黒く塗られた大空に、青色を増やしていった。


 ☆ ☆ ☆


 一方、慣れない飛行を続ける冬也の前には、行く手を遮ろうと東の地から、黒いドラゴンが溢れていた。

 黒一色に塗り替えられた大空は、大悪夢を象徴しているかの様でもある。そして黒いドラゴンの群れは、一斉に冬也へ襲いかかる。

 黒いブレスで牽制しながら、縦横無尽に飛び回る黒いドラゴンの群れ。しかし、冬也には通じる訳も無い。

 神剣を振り抜くと、閃光が走る。そして、切り裂かれ消滅する多数のドラゴン。圧倒的な力の差を示し、冬也は大陸東部へ向かう。

 黒いドラゴンがどれだけの数で、立ちはだかろうとも構わずに。


「いくら出てきても無駄だ」


 まさに言葉の通りであった。

 いくら束になろうと、黒いドラゴンは冬也を足止めすら出来ない。半神であっても神の一柱と、邪気の塊では差があり過ぎる。

 黒いブレスは、冬也に届く事はない。邪悪な牙を冬也に向ける事すらできない。

 冬也の神気を僅かに減らして、黒いドラゴンは次々に消滅していく。

 

 飛ぶごとにコツを掴んでいく冬也は、スピードを上げながら、黒いドラゴンを消滅させる。

 やがて辿り着いた先で見たものは、以前に張った結界の裂け目であった。

 

「原因はこれか? まだ壊されるわけにはいかねぇよ」


 冬也は地上に降りると神気を高める。

 そして、結界の維持をするために、神気を注ぎ込んだ。一瞬で大量の神気が、冬也の体から失われていく。

 だが、冬也はふらつきもせずに、結界に神気を注ぎ続けた。


 根性論では、どうにもならない神気の枯渇。そして、度重なる戦闘に、虚無の空間での出来事。多くの神気を失った上に、肉体的な疲労が重なる。

 それは、冬也をじわじわと苦しめる。


 それでも、冬也は力を緩めるわけにはいかなかった。結界の維持を続ける冬也は、内部を見て吐き捨てる様に呟く。


「こりゃ酷すぎだろ! ガスマスクが必要だぞ」

 

 結界の内部は、さながら地獄のようだった。

 かつて冬也が、メルドマルリューネで見た地獄絵図とは、一線を画す光景が展開されていた。

 淀みきって数歩前すら見えない大気、微かに漏れる悪臭は既に刺激臭に近く、呼吸をするだけでも痛みを伴うのではないかと思われる。

 特に大地の汚染は酷い。汚泥と化した大地の至る所から、ボコボコと沸騰しているかの様に、邪気を出していた。


 それでも冬也が見たのは、大陸東部の一端に過ぎない。深部ではどの様な状況なのか想像もつかない。

 生き物が生活出来る空間など何一つ無い。それが、現在のドラグスメリア大陸東部の状況であった。


 神気を通じて冬也は、結界内で膨大な力の流れを感じていた。

 大陸東部を包み込む邪気は、結界を壊そうと勢いを強めている。もし結界が壊れれば、大陸全土に濃密な邪気が広がり、全ての生物が消える。

 

「ペスカ。結界がやべぇから、俺は東に来てる。あぁ、北にはスールが残ってる、そっちは任せる。それより、どいつの眷属でも良いから、一体よこしてくれ。水の女神がやられた、神格は俺が持ってる。顕現するのは、流石にミュールの力がいる。姐さんに頼んでくれ。あぁ、お前も気をつけろ。糞野郎はまだ消えてねぇ」


 魔法での通信を終えた冬也は、ため息をつく。

 未だ終幕は遠い。戦いは、まだこれからであった。

アンチが悪だと誰が決めた!

まぁ私は、陰口を叩いて他者を貶める行為は、好きではありませんけどね。


ファンのコメントで埋め尽くされて、褒められてばかりじゃ成長は望めない。

否定的な意見があるから、改善点が見えて来る。

そんなもんです。


ただ、はっきりと言えるのは、もっと国語力を身につけましょうという事です。

自称ライターさんが、「これって何が面白いの」と一言だけツイッターで呟いてました。

自称作家志望さんが、「頑張れ」と一言だけ呟いてました。


はっきり言って意味がわかりません。

何が面白くなくて、何を頑張れなんでしょうね。

文字を扱おうとしている人が、その調子では先が思いやられます。


何かを肯定、また否定する事は、想像以上に難しいですよ。

特に、他人に納得してもらうにはね。

それこそ頑張れですね。


御存じかと思いますが、ツイッターには文字制限が有ります。

その制限の中で、簡潔に言いたい事をまとめる。

しかし、簡潔過ぎて意味が伝わらなくては、全くの意味が無い。

ちゃんと言葉を選び、文章を作り上げる。

これは、意外といい練習になりますよ。


さあ、みんなで国語力アップ!


次回もお楽しみに。

2019.8.22校正。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ