124 邪悪の崩壊
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女神メイロードの神気を内包している邪神ロメリアが、自分の神域を破壊した。その力を制限なく解き放てば、ラフィスフィア大陸そのものが、既に無くなっていたはず。
地上の影響を極小範囲に防いだのは、偏に冬也の奮闘によるものであった。
その結果、亜空間から別宇宙に冬也とペスカは飛ばされた。爆発の影響で冬也は深く傷つき、ペスカも冬也の治療を行う為、多大なマナを消費した。
その間、空は邪神ロメリアに立ち向かう。翔一は、別宇宙に彷徨う二人を探し出し、ロイスマリアに連れ戻した。それぞれの勇気ある行動が、未来の希望を繋げる。
現れたペスカと冬也の姿に、邪神ロメリアは得体の知れない恐怖を感じていた。何故二人が、目の前に現れたのか、全く理解が出来なかった。確信していた勝利が、足元から崩されていくの感じていた。
何よりそれが、邪神ロメリアには許せなかった。
「決着つけようぜ、糞野郎」
その言葉に、邪神ロメリアの怒りは頂点へと達した。呂律が回らない程の悦楽から、冷静を通り越して極度の怒りへと変わる。
「クソガキぃ~! どこまで邪魔すれば気が済むんだぁ! 神に仇なした罰は、その身を持って知れぇ!」
邪神ロメリアの神気は、どんどんと膨れ上がる。ビリビリと大気を震わせ、大地を揺るがす。しかし、足元から大地が汚染される事は無く、大気の澱みが広がる事も無かった。
ペスカは、その身に宿り始めた神気をコントロールして、邪神ロメリアを拘束していた。邪悪な神気が、周囲に影響を及ぼさない様に。
「何したって無駄だよ、糞ロメ。あんたはもう、この地を侵せない」
ペスカの言葉は、邪神ロメリアには届かない。怒りで冷静を欠いた頭には、目の前の二人を殺す事だけが、占められている。
ペスカの体に痛みが走る。簡単な治療で済ませ、ここまで走って来た。マナもほとんど残っていない。
本来ならば戦える状態では無い。
だがペスカの心には、空と翔一からもらった勇気が、業火の如く燃え盛っていた。
人見知りで、友達すら碌に作れない空が、懸命に立ち向かった勇気。争う事が出来ず、喧嘩すら碌に出来ない翔一が、友の為に立ち上がった勇気。
それは、ペスカの中で光り輝き力に変わる。
邪神ロメリアが、どれだけ神気を膨れ上がらせても、ペスカは微塵も恐怖を感じなかった。親友から、眩く輝く勇気を貰ったのだ、邪神など恐れるには値しない。
それにどれほどの力を持とうと、思考を放棄した相手は敵では無い。
邪神ロメリアは当たり散らす様に、神気を鋼球の様に変えて投げつける。だがそれは、冬也の神剣でいとも簡単に切り裂かれる。
冬也の主だった傷は、ペスカによって治療された。しかし、血を流し過ぎたせいで、頭がふらつく。爆発を抑える為に、神気を高め過ぎたせいで、ほとんど神気が残されていない。
しかし、どんな絶望的な状況でも、負ける気がしない。
立ち向かう空の姿を見たから。自分を守り、戦いに向かおうとする翔一の姿を見たから。何よりも、大切な妹を傷つけた奴は、許しておけない。
何度も繰り返し、邪神ロメリアの攻撃は続く。その度に、冬也は神剣で切り裂いた。
「あ゛~、あ゛~!」
邪神ロメリアは叫びながら、力を振るう。ひたすらに暴れ続ける。だがペスカの拘束は、頑として解けない。それは意思の力、決意の証。ペスカの意思が、神の力を凌駕しつつあった。
そして、冬也は神剣を振るい続ける。何度も交わる力のぶつかり合い。冬也は押される事無く、全てを弾き返す。冬也の中に僅かに残った神気は、いま完全に研ぎ澄まされていた。
究極とも言える鋭さで、邪神ロメリアの邪気を切り裂く。
二柱の力を内包する邪神ロメリアに相対するのは、人間と半神である。
邪神ロメリアの神域では、力を制限されて苦戦させられた。悪足掻きとも言える大爆発で、傷を負い力を失った。だが、戦う力は残っていた。そして親友の勇気が、背中を押してくれる。
ここは、意志が力になる世界ロイスマリア。ちっぽけな勇気が、窮地を覆した様に。ペスカと冬也の魂は、邪神ロメリアの悪意を払い退ける程に、輝きを増していく。
「あんたの攻撃は、もう通じないよ。糞ロメ!」
「手前の攻撃は、どれも薄っぺらだ。糞野郎!」
「ぎざまら゛~」
「手前の力は全部借り物だろうが。中身はチンケなままなんだよ、糞野郎」
冬也には見えていた。
確かに邪神ロメリアは、あらゆる手段で力を搔き集めたのだろう。だが、単に力を操っているだけで、自身の血肉になってはいない。
強い力で有る事は、間違い無い。自分を凌駕する、圧倒的な力である。しかし、それは単なる力の集合体。一つ一つを見れば、些細な力である。
それ故に、冬也は邪神ロメリアの攻撃を、簡単に切り裂いてみせた。
もし、邪神ロメリアに油断が無ければ、状況は全く違っただろう。混血や人間などと、蔑んで無ければ、望んだ光景を見続ける事が出来ただろう。
最早、思考を止めた邪神ロメリアには、気が付く事が無い愚かな過ちである。
邪神ロメリアは全力で暴れ続ける。全てを破壊しようと、無造作に神気を放ち続ける。それでもペスカの拘束からは、逃れられない。
冬也が神剣を振るう度に、集めた怒りや憎しみ等の淀んだ感情が、消し飛ばされていく。
もう邪神ロメリアに、大陸を破壊する力は残されていなかった。
追い打ちをかける様に、女神達の浄化が進む。
怒りに身を委ねて無ければ、逃げる術が残されていたかも知れない。今の邪神ロメリアには不可能であろう。ペスカと冬也しか映さず、殺す事しか考えられないのだから。
邪神ロメリアは、段々と追い詰められていく。
一時は、その邪悪な力は大地母神をも凌駕した。しかし冬也の手で、そのほとんどを失った。神々の浄化により、焦がれた景色は脆くも崩れ去る。
これまで長い時間をかけて入念な準備を重ねて来た。
ドルクに目を付けて洗脳し、己の信者達を利用し、大陸中にモンスターを撒き散らした。面白い程に恐怖の感情が集まって来た。大地母神にも対抗出来る力を手に入れた。
そしてクロノスを侵食し、来る戦いに備えた。帝国で皇帝を殺し、兵士達を洗脳し内戦を起こさせた。周辺の国々でも戦争を起こさせた。
極めつけは、異世界で知った最新兵器の存在だった。それを使い、多くの人間達を抹殺した。
そしてクロノスを完全に洗脳し、メルドマリューネを支配下に収めると、北の大地を望む世界へ変えていった。
計算外だったのは、侮っていた混血と人間が、予想以上に抵抗した事だろう。それは邪神ロメリアの野望は、潰えさせるものだった。
これまで振るい続けていた剣を止め、冬也は背後を見やる。その姿に、ペスカが声をかける。
「お兄ちゃん、どうしたの?」
「どうやら、着いたようだ」
冬也の言葉で、ペスカは辺りを見渡す。周囲を取り囲む、神々の姿が見えた。
「お待たせ。冬也君、ペスカちゃん。よく頑張ったわね」
女神フィアーナを始め、神々から次々と二人に声がかかる。
既に邪神ロメリアが作った淀んだ大地は、完全に浄化されていた。この土地を神の恵みが届かぬ場とは、もう誰も言わないだろう。瓦礫の山すら姿を消し、緑が溢れる大地に変わっていた。
「終わりにしよう、ペスカ」
冬也は一歩を踏み出す、ペスカが後に続く。そして邪悪は崩壊した。
カレーの作り方を紹介します。
ただし、かなり特殊な作り方です。
玉ねぎ、にんじん等の野菜とキノコ類、そして大きめにぶつ切りにした豚バラ肉を大きな鍋に入れます。
水をひたひたに張って、中火で茹でます。
当然ながら、豚バラから灰汁が出まくります。
灰汁を取りつつ、鍋の水が半分くらいになるのを目安にして下さい。
この時点で、豚肉のうま味と野菜のうま味が溶けだして、良い感じのスープが出来上がってるはずです。
野菜類、特にキノコ類はこの時点で姿形も残ってません。
次は鍋にワインを入れます。減った水分を元に戻す感じです。
そして中火で、煮詰めていきます。
この途中で、ジャガイモを入れます。
この段階でも、灰汁は出続けるので、丁寧に取りましょう。
水分が鍋の半分位になったら、缶のデミグラスソースを一缶そのまま入れます。
この時点で、シチューと呼んで良いと思います。
少しスープのコクが足りないと感じたら、固形のフォンドボーで調整して下さい。
但し、これからカレールーを足すので、少し薄いシチューって感じがベターです。
デミグラスソースが、全体に馴染んだら、次はカレー粉です。
市販のルーを使いましょう。
私はそうしてます。
私はカレー用のスパイスを調合してますが、最後の味調整で使います。
さて、カレー粉が馴染めば完成です。
スープ作りの行程をしっかり時間をかけて行えば、豚肉はトロトロになっているはずです。
豚肉は火が通り始めた時が一番柔らかく、段々と固くなっていきます。
そして、時間をかけて煮込む事で、再び繊維がほぐれ柔らかくなるんです。
心配な方は、ある程度火が通った段階で、肉だけ引き上げても良いと思います。
豚肉を使用するのは、私が牛肉が苦手だからです。
牛肉がお好きな方は、牛肉をご使用下さい。
ただし、火の通し方が豚肉とは異なるので、ご自分で見極めましょう。
だって、牛肉を使った料理は、得意じゃないし。
完成まで一日は優にかかります。
手間をちゃんとかけると、美味しいものは出来ますよ。
次回もお楽しみに。
2019.6.13校正。