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112 神々の抵抗

ご閲覧ありがとうございます。

楽しんで頂けたら、幸いです。

 昏睡状態を抜けたものの、依然として充分に体力とマナが回復せず、療養所のベッドで横になっていたシルビアに、呼びかける声が聞こえる。

 シルビアは、朦朧とする意識を必死に覚醒させて、呼びかけに応じる様に歩みを進める。


 シルビアが辿り着いたのは、エルラフィア王都に有る小さな教会。教会の中に足を踏み入れると、中には光に包まれた女神が手招きをしていた。

 

「あぁシルビア、伝わったのね。かなり酷い状況なのよ」


 その優し気な風貌とは裏腹に、深刻な面持ちで女神フィアーナは話しかけた。魔道大国メルドマリューネにおける状況を、かいつまんでシルビアに説明をした。


「これから私と、アンドロケイン、ドラグスメリアの大地母神三柱で、メルドマリューネの土地を浄化します。だけど、あの国はもうロメリアの領域なの。女神が三柱集まっても、浄化には時間がかかるの」

「フィアーナ様、我々はどうすれば良いのですか?」

「あの国の人間で、モンスター化したのは一部だけ。まだ助かる人間もいる。あなた達は、出来るだけ多くの人間を救いなさい」

「承知しました。しかしフィアーナ様。浄化はどの様になさるんですか?」

「エルラフィア、グラスキルス側と、ペスカちゃんが通った帝国側の、三方向から浄化を始めるわ。国境沿いならまだ、ロメリアの支配に染まりきって無いし」

「承知しました。直ぐに陛下にお伝えし、前線への連絡を致します」


 シルビアは、女神フィアーナに頭を下げると、覚束ない足取りで教会から出る。満足に動かせない体を懸命に動かして、王の下へ急いだ。

 ようやく、邪神に対抗する二つの勢力が、手を取り合う時が訪れる。バラバラだったパズルのピースがはまる様に。

 

 女神がその力で大地の浄化をする、その間に出来る限りの命を救え。


 エルラフィア王都から、シリウスとサムウェルに連絡が入る。そして中央部をひた走るペスカ達、撤退を続ける東部の三国連合にも、情報は共有された。


 シリウスは、ライフルでの狙撃は行わず、敵兵を誘い込む様に、国境沿いに撤退をする。三国連合軍は既に撤退し、国境門を守りながらサムウェルを中心に、ようやく到着した魔攻砲で攻撃を繰り返した。

 

 相手を倒す戦いでは無い。相手を無力化させつつ命を救う。敵の人命を救う戦いは、単純な戦争よりもよっぽど難しい。


 しかしシリウスは味方を鼓舞する。


「挫けるな! 我等は女神の剣だ! 奴らを見よ! 哀れな壊れた人形を! 女神様は、仰られた! あれを救うのだ!」


 モーリスとケーリアが体を張り敵兵を抑え、サムウェルは味方の部隊を指揮し、魔攻砲で沈黙させていく。

 心が通じた者同士、巧みな連携が力を発揮する。


「おいモーリス。もう、限界か? 老いたのか?」

「馬鹿な事を言うな、ケーリア。まだまだ、これからだ!」

「おい、てめぇ等。あの老いぼれ達に負けんじゃねぇぞ! 俺達には女神様がついてるんだからな。魔攻砲、放て~!」


 想いは少しずつ交差し始める。エルラフィア軍、三国連合軍の必死の抵抗を、女神の力が後押しする。エルラフィア国境付近では、女神フィアーナが神気を解き放つ。

 

「女神フィアーナの名にて命ずる。大地よ我に答えよ。その身に纏った穢れを脱ぎ捨て、永久の安らぎを」


 グラスキルス国境付近では、女神ラアルフィーネが神気を解き放つ。 

 

「女神フィアーナに代わり命じる。大地よ、怒りを捨て、悲しみを捨てよ。慟哭は霧散し、永久の安らぎを」


 元ライン帝国の国境付近では、ドラグスメリアの大地母神が神気を解き放つ。


「これは貸しだからね、フィアーナ。ちゃんと返しなさいよ」


「穢れの時間は、終わりを告げる。荒れた大地よ、我が恩恵を受けよ。怒りを静め、永久の安らぎを」


 三柱の女神の力を持ってしても、容易に浄化は出来ず、力を蓄えつづけた邪神ロメリアと、力は拮抗する。

 

「駄目だわ、力が足りない。冬也君が、中心にいるっていうのに」

「相変わらずの親馬鹿ですね、フィアーナ」

「セリュシオネ! 貴女、手伝ってくれるの?」

「流石に見過ごせませんよ。それに、約束は守ってもらわないと」

「ふふっ。助かるわ、セリュシオネ」


 大地母神の下に集まったのは、女神セリュシオネだけでは無かった。自然の力を有する原初の神々が、大地母神達に神気を注ぐ。

 グラスキルス国境付近では、ラアルフィーネの下にアンドロケイン大陸の神々が集まる。

   

「ラアルフィーネ様、我が力をお使い下さい」

「ありがとね。あの中心には、冬也君がいるんだもの。少しでも力にならないとね」


 ライン帝国周辺には、ドラグスメリア大陸の神々が集まる。


「姉さん、ラフィスフィアの連中に、かなりの貸しが作れますね」

「えぇ。頼むわよ、あなた達」

「お任せください、姉さん。我等ドラグスメリア勢の力を、見せつけてやりましょう」


 神々の多大な協力により、僅かだが均衡が崩れ、大地の浄化が進んでいく。神の恩恵がなかったはずの北の大地に、神々の力が沁みていく。

 

 汚泥は豊かな土に変わり、淀んだ川は透き通った綺麗な姿に変わる。空気は澱みを失くし、穏やかな風が吹き始める。邪神ロメリアに有ら荒れた、元魔道大国メルドマリューネの国土は、徐々に変化をしていった。


 しかし、邪神ロメリアの圧倒的な有利は、揺るがない。何百万もの命を糧に集めた力は、神々の総力を合わせても、容易に覆らない。


 必死に抵抗する神々と、必死に命を救おうとするエルラフィア軍と三国連合軍。二つの意志は交差し、共に背中を押し合う。


 そして、ペスカ達は広い国土の中で、クラウスを見つける。

 ようやく揃った役者達。ステージの上では、邪神ロメリアが主役の登場を待ちわびる。

 まさに、戦いは正念場を迎えていた。

気がついたら、何度も見ていたアニメシリーズ。

第四弾は、とある科学の超電磁砲。


繰り返し見てるのは好きだから。

それ以外に、理由はありません。


さて、とあるシリーズといえば、名言の数々。

中でも私が好きなのは、木山先生の台詞です。

「教師が生徒をあきらめるなんて出来ない」

このシーンを見ると、目頭が熱くなります。


この作品には、色々な要素が詰まっています。

友情、挫折、嫉妬、羨望、抵抗、等々。

誰もが一度は感じた事が有る苦い記憶、それを乗り越えようと頑張る姿は、とても眩しく感じます。

改めて、鑑賞しては如何でしょうか。


次回もお楽しみに。

2019.6.11校正。

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