第1話 プロローグ
――いったん状況を整理しよう。
俺、柳 蒼真はほかの奴らと一緒にこっくりさんをしていた。
幼馴染のわがままに振り回されてしぶしぶ参加したのだが、どうしてこうなった。
俺は抱えていた頭をゆっくりとあげて、辺りを見回す。
右隣にはご満悦な表情でそれを眺めている幼馴染、白菊 ナツメ。まぁこいつはいつも通りなので気にする必要はない。。
そんで左。大量の机がなぎ倒しにされ、その中心にうなだれた状態で力尽きている、不本意ながら友人の遠野 悠斗。こいつはどうせすぐに目を覚ますからどうでもいいだろう。
そして最後に正面に目を向ける。
今まで俺ら三人でやっていたこっくりさんの紙の上に立っている小柄な少女。巫女服で、狐の耳としっぽを生やしたどう見ても人間ではない童女。
彼女は何とか呼吸を整えると、呼び出した俺たちに向き直って声をあげた。
「おぬしらぁ……、はぁ、はぁ……。わらわを誰だと思っておるのじゃ……?
わらわは冥界における最高峰の株式会社の一角、『百鬼夜行』に属する誇り高き妖狐にして狐狗狸の一柱、レンゲであるぞ!」
先ほどまでのことがなかったかのように彼女は自慢げに自己紹介をし始めていた。
正直俺にとっては割とよくある話なので特に気を付けるほどでもない。でも今回はなぜかこれからの平穏な日常が崩れ落ちるような、そんな気がしてしまった。
どうしてこんなことになってしまっているのか。
俺は目の前の現実から目をそらすように今まであった出来事を思い出すことにした――。