大きなのっぽの古時計~時計さんの独り言~
これは、作者があの歌をふと思い出して、なぜか泣けてきたので、書きました。勢いです。ごめんなさい。
わたしは、もう古時計と呼ばれるようになってしまったようだ・・・
まぁ、それも当り前、わたしはもう時間を刻むことができないからね・・・
ほんの100年前は新品だったんだけどねぇ・・・
ワタシがここに来たのは、100年前、彼が生まれたときに来たんだ。
彼とは共に時間を刻んできたよ、だから、彼の嬉しい時も、悲しい時もわたしは見ていたんだよ?
彼は、ある日わたしの前で泣いていた、どうやら女の子に振られたらしい、
わたしは何がそんなに悲しいのか彼に聞くことができないまま、
ただただ、時間を刻み共に悲しみが癒えるのを待つだけしかできなかった、
あの時、「そばにいるよ」と彼に伝えれていたのなら彼はもっと早く笑顔になってくれたのではないかと、今でも思うんだ。
彼は、ある日わたしの前で踊っていた、なにがそんなに嬉しいのか分からないけど、
わたしはただただ、時間を刻むことしかできなかった、
そして、彼はわたしを見ると思い出したように泣きだしたんだ、
あの時、彼とともに嬉しさを共有できていたなら共に踊り、
時間を刻むことを忘れることができたのかもしれない、
そうすれば、彼の「嬉しさ」がほんの少し長くなっていたのではないかと、今でも思うんだ。
そんなわたしだけれど、彼はいつもわたしを見てくれていた、
100年間「チクタク」としか言わないわたしをね・・・
わたしはそんな彼のためだからこそ100年休まずに時間を刻み続けてこれたのだと思うよ。
けれど、彼はもうわたしを見てくれることはないんだ。悲しいけれど、わたしは満足だよ・・・
わたしもうごかないけど、
それでも君を眺めていくよ
「おじいさん」。
ここまで読んでいただきありがとうございました。