表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

朝の音、終わりの音

少し思いついたから、書き留めておきました。

朝、顔を洗う。だが、今日はひげを剃らない。

朝飯を食う。昨日、食わなかったアンパン。固くなっている。


靴を履く。踵を踏んで足をねじ込む。

靴べらがは探さない。


05時10分。


デジタルの腕時計。一秒の狂いもない。

確認して部屋のドアを開ける。


変わらない。


踏切につく。


始発の列車が通る。

時間通りに部屋を出ると、必ず踏切の遮断器が下りる。

鐘を打つ音。規則正しく点滅する赤い信号。


一分。


そこで過ごす時間。変わらない。


不快な音で寝不足の頭を揺さぶられ、工場までの時間を無駄に浪費させられる。毎日、それを感じる。工場はもっと不快だ。

旋盤で鉄が削られる音。溶接の目を刺す火花。


よりマシな不快。

それがある。それを確認するために、ここに立つ。



雨の日。大雨の日。電車が止まる。

不快を得ずに行った工場。いつもより不快を感じて過ごした。次の日も大雨で電車は停まった。


朝起きる。ラジオを点けると「電車は走らない」と言っている。

朝飯は食わない。昨日、濡れた靴は乾いていない。


デジタルの腕時計は見ない。


傘を差し、踏切に向かう。

はねた雨水が靴下まで濡らす。違う不快に、水を蹴る。蹴られ舞った水の先、踏切に少女がいた。踏切に立ってレールに傘を差している。


「何してる」


「電車が走れるようにしてるの」


「明日には走る」


「どうしてわかるの」


「そう聞いた」


「誰に?」


「ラジオ」


少女は笑った。


「朝の音。また聞けるんだ」


少女をそのままにして、工場へ行く。そして、終業のベルで機械を停める。会社を出ると、雲は晴れ、夕日が赤く空を染めている。

部屋に帰る途中、動き出した電車が通る。踏切が奏でる鉄と機械の音色。


一日の終わりの音だ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ