2. 魔猪退治
朝、二度寝しようとするオレは無理矢理起こされた。寝ぼけているオレをビンタして、強制的に目覚めさしたラスは
『寝ぼけてないで、支度してさっさといいクエストを探しにいくよ。』
パンを食べながらオレは心の中で
(ラスも一緒にギルドに行くということは、楽なのは選べないし、難易度高いクエストを確定で選ばされるな。めんどくさいなー)
などと思いつつもなす術がないため諦めた。
支度ができ、2人でギルド行くと早速ラスは最高ランクの一つ下の難易度ランク4のクエスト中身を持ってきた。内容は、森の奥をナワバリにしてる巨大な魔猪2体の討伐だった。
オレはすぐさま断ろうとしたが、既に時遅く受注した後だった。オレはラスに
『無理 面倒 死ぬ』
と言ったが、ラスは
『無理ではない。お前なら私の援護アリならこの位のクエストはクリアできる。それに、お前には今より強くなってもらってランク4以上のクエストでもっと稼げるようになってもらわないと駄目だ。』
と、一蹴された。
出発の準備する為にギルド近くの商店で回復薬などの必要なものを買っていると、横から
『珍しいな。高難易度のクエストでも受けたのか?』
振り向くと、店長のロイがいた。
『そうだよ。ラスのやつが勝手に受注してきたから死なないように準備している途中なんだよ。』
オレはため息混じりに言った。
『ハハ、いいじゃねーか。お前も早く経験積んでもっと稼げるようになったら、その分、家で長い間休んでいられるぞ。』
ロイのオッサンは続けて言った。
『それにお前の世話を焼いてた身からするとラスちゃんにはお前の世話をしてくれてるだけでこっちは助かってるんたよ。』
ロイのオッサンには昔からよくしてもらってので、頭が上がらない。
『でも、高難易度のめんどくさいクエストとってくるか普通?』
オレが文句言ってるさまを見て、ロイのオッサンは
『そのうち、受けてよかったなと思える様になるさ。ハハッ』
と、笑った。
準備が整ったので、さっそく魔猪のいる森の奥に向かって出発した。道中は、最初は全く魔物には会わなかったものの、奥に近づくにつれて人並みにでかい昆虫型の魔物や魔犬が出てきて苦戦しながらも、なんとか、魔猪がいる地点まで到達した。
近くで見ると魔猪は、一匹10mを超える高さがあり、普通の冒険者が1人で立ち向かったら即座に返り討ちにあうような見た目で、オレは少し怖くなったが、幸いにも相手はこちらに気付かないどころか昼寝をしていた。
戦闘は、オレが最初に奇襲をかけてから始まった。オレは火魔法の『ファイアボール』を相手に浴びせるも、魔猪共にはほとんど無傷でだった。魔猪共も攻撃されたの気づき、すぐさま戦闘体制に入った。
ラスが魔猪一体の目に向かって、痺れ薬と電気属性を纏わせた矢を放った。それのおかげで一体は無力化できたので、
(オレも頑張らないとな)
と思いつつも若干めんどくさく感じていた。魔猪がオレにむかって突進してきたので、間一髪でかわして足に剣を突き刺そうとしたが、硬くてなかなか入らず、弾かれてしまった。
こんなの相手にするなんてめんどくさいな、だるいなと思いつつも、なんとかしないとなと考えている途中でも、魔猪は何度も突進してきて、イライラしてきたのでもっと楽にするためにラスに
『こっちも手伝ってくれ。』
と頼んだ。しかし、ラスは
『魔猪1体なら1人で倒せ。』
と断ってきた。
(ハァ?)
と心の中でラスに対してキレそうになったが、それよりも先に魔猪を倒さないとなんともすることができない。無尽蔵の突進をかわしつつ、
(硬いなら溶かせばいいのではないか?)
と、考えた。そして、オレは剣の先端に火魔法で熱を集め、これならいけるかと思い、突進してくる魔猪に剣を突き刺して攻撃してみると、硬かった肌が溶けて攻撃が通るようになった。
そして、攻撃を続けると速かった突進攻撃がだんだん遅くなっていき、魔猪は最終的には足を動かすこともできなくなった。こうして、1体は討伐することができ、痺れが取れた2体目もラスの援護なく倒すことができた。
戦闘後、オレはラスに
『ちゃんと援護しろよ。』
と、文句を言ったが
『お前の特訓のためにやったことだ。後、2体同時相手にさせなかっただけでも優しい方だぞ。』
確かに、2体同時ならオレは絶対に死んでいたが、
『お前が援護してくれてたら2体同時でも倒せてただろうが!!』
それを聞き、ラスは
『お前のことだから、自分は適当に逃げ回って全部私に押し付ける気だっただろう。』
正にその通りだったので、反論出来ない。
そして、討伐した証として毛皮をラスの文句を聞きながら黙々と剥ぎ取り、持って帰った。
その後、ギルドで報酬を受け取った後、ラスと一旦別れて、ロイのおっさんと酒を飲みに行った。
ロイのオッサンが酒を飲み干して言った
『お前の世話を焼いてくれる女なんて他にいないから逃すんじゃねーぞ。』
オレは少し嫌な顔しながら
『あんな図々しくて、小言が多いのはごめんだね。』
ラスのことは最初は美人だとは思ったがその性格故に合わないと思っており、今では顔意外で何がいいのかがよくわからなくなっていた。
酔っ払って帰りながら、ラスの事をもう一度どうだろうと考えてみたが
『ないな』
と、思いながら家に帰った。