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進化せよ

作者: オトモダチ

これは真面目な僕が不真面目になるまでのお話。そして、スカートを嫌ってからスカートが履けるようになるまでのお話。

 「オトモダチさんもスカート折りなよ!」卒業アルバム用の写真撮影の前、クラスの派手な女の子たちにそう言われる。彼女たちはスカートの長さやメイクなど普段から校則違反で先生に注意されている子たちだ。女の子の中でもトップの子たちで逆らえる子はいない。

 「折り方ってこれであってる?」いつもはそんなことしないような大人しい子たちも次々と真似をしてスカートを折っていく。

 (できれば折りたくないんだけどな・・・)心の中でそう思いながら見逃してもらえることを願っていた。しかし、無慈悲にも僕のところにもその流れが回ってきてしまいスカートを折ることを強要される。

 周囲の折り方を真似て折ってみると横にいた女の子が「オトモダチちゃんはいいね、細いから。」と呟く声が聞こえた。

 「今年から女子もスラックスを選べるようになったんだって!僕、スラックスがいいな!」学校からのお知らせの紙を母親に見せながらそう言う。「あと1年しか着ないんだから、高いお金出して買う必要ないでしょ。スカートを履きなさい」そう言われて結局スカートを履かされたのだ。


 「スラックスだ。いいな。」演劇部の新入部員の女の子の1人にスラックスを履いていた子がいたのでそう言った。彼女は夏の大会で男性の役を演じていた。僕が1年生の時は1年生は夏の大会は強制的に裏方だったし、初めての大会では男の子の役を希望したが、通らなかった。


 「学校行ってきます。」高校生になった僕。”華のJK”なんて言葉をよく聞くが、制服にスラックスを選らんだ僕に華なんてものはなく、”泥沼のJK”という言葉が似合うような高校生活を送っていた。高校に青春なんてものはなかった。否、僕が高校での青春を選ばなかっただけかもしれない。

 推しのイベントの会場でチェックのスカートを履いている僕がいた。メイクと髪型もプロの方にやってもらって完ぺきだ。髪は推しと同じ色に染めてエクステまでつけた。本当は髪を染めるのは校則で禁止だったが、僕も中学生の時に校則を破っていた子たちや高校でも女子トイレでメイク用品の名前が何度も出ていて校則を破るやつを見る度に変われない不細工な自分が辛かったので試しに破ってみたのだ。

 小学生の頃に年下の男の子から勧められてポケモンを始めて仲良くなった時と同じようなワクワクした気持ちになれてすごく楽しかった。

 結局、公立高校には溶け込めなかった僕は、自らの意思で高校を辞めて通信制高校に逃げた。それでも、推しのおかげで真面目な自分の殻を破れたので進化できたみたいで嬉しかった。

スカートを折るって女子中高生からしたら憧れかもしれませんが、それを嫌がる人がいること。そして、真面目という肩書きは時に女の子を苦しめることを知っておいて頂きたいです。少なくとも僕は、真面目と言われるのは嫌いでした。

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